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僕は捨てられた。けれど、僕は幸せだ。  作者: 小鳥遊 雪都
店主と妖。
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齢

小料理屋の店主は柔らかな笑みを湛えつつ、今が旬の菜をテンポよく刻んでいた。


雪《せつ》はそれを食い入るように見つめ、澄んだ瞳をキラキラと輝かせていた。

それに気づいた店主はふと手を止め、やんわりと雪《せつ》に微笑み掛ける。


「そんなに見つめているとその綺麗なお目目がこぼれ落ちてしまいますよ?」


そう言って笑んだ店主は若い。


その齢《よわい》は恐らく二十代半ば程だろう。

だが、それは見た目だけの齢《よわい》でしかない。

この若い店主も人間ではない。


店主の言葉に雪《せつ》は慌てて瞬きをし、普段は白い頬を僅かに赤らめた。

それを見て店主は人当たりのいい笑みを一層、濃くした。


雨月《うげつ》はそんな二人のやり取りを横目で見つつ、酒を煽り、小さな溜め息を吐き出した。


それに気づいた雪《せつ》がこくりと小首を傾げる。

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