自然な導入!ようやくの海![マグロ漁船でレッツゴー]
「私の隠された邪眼、その力は数秒先の未来を見透かす能力を持つのです」
「・・そんな力は無いぞ?私はお前の目に嵌まっているが、崩壊する刹那・数十秒を
むりクリ引き延ばして、本体の能力の残り万分の処理力で世界を見ているだけなのだ」
「つまり?」「つまり、ただのカメラだ」
「・・まぁいいか、へんな能力に目覚めてもつまらないだけですし」
「・・・本当に良かったのか?お前が人間になる事を優先していれば・・・・」
「あの結果は、彼女のお陰です。最大の功労者に最大の恩賞を与える、ソレを間違えば世の中の
人間は働く事も、努力する事も止めてしまいます」
・・・人間に戻る手段はまだあるんです、神様の力を使うまでも無い。自分の復活は
自分でかせいだ金で。それがゾンビ=ロメ雄のスタイル!
がんばれ私!死んでも資本主義の奴隷な気がしますが・・・生前も?違いますよね?
(とは、いう物の・・私からの餞別[せんべつ]したので・・ふところに余裕が・・)
復活しても、お金が無ければ、無一文で人間世界の放り出されては飢えて死ぬ。
(コストを考えれば、ゾンビという体も・・・悪く無い・・って思い始めたのは、
この体に毒されて来たからでしょうか?)
「つまり、金、金!です!金があれば大体なんで手に入る、大体なんでも出来るんです!」
そう解っている者に限ってお金が無いんですけどね。ふふふ、笑える。。。。。
「自虐ギャクはエエとして、その目玉が役に立たん事はわかったから・・次ぎはどんな悪事で金稼ぎするんや?詐欺もネズミ講も偽札作りも・・そうか!偽金や!金の純度を落とした偽金を鋳造するつもりやな!」
この犬、私をなんだと思っているんですか。あと目玉の神様、
『そうだったのかぁぁ』とか、驚く感情が伝わってくるんですが、違いますよ?
悪事はしませんからね。
「違う!霜降り肉牛の投資詐欺とか、エビ養殖詐欺とか
(新しい世界通貨を作って現実通貨をだまし取るか?・・・通貨の発行元が私なら・・
刷り放題ですし・・世界銀行に私は成る!)・・・イヤ違う!
通貨とは信用です、通貨の信用を先ず作るのにどれだけの先行投資が必要か・・う~~ん」
「・・通貨偽造の上をいく、世界通貨やと!なんて事考えてるんや!」
「偽通貨も世界通貨も同じだ、ようは使う人間が信用するか否かだ。
世界の人間が信用する偽通貨を作れば、それは本物の貨幣と変らん」
目玉のお陰で悪事にIQレベルが上がった気がする。
「どちらにしてもです、その準備と根回しには何十年の時間と、何百億$の金・先行投資が必要になるのですから、むりです」現実を見ましょう。
それに今の私には命の危機でもあるのです、大体ね?探偵業とか、スペランカー空間とか、空売り投資とか、そんなの異世界冒険じゃありません!
「男なら・・男の稼ぎ方があるんです!」
そう金が無いなら・・船に乗れ、マグロ漁船か、蟹漁漁船だ!
後悔なんて公海に捨ててこい!航海の後で更改すれば良いんだ!
山師という言葉がある、投機[とうき]的な事業でお金儲けを企む人間達の事だ。
なら真面目に生きるなら海でしょう?つまり漁業なのです。
「無茶苦茶やな、マグロ漁船なんてごめんやで、だれが望んで海のアルカトラズなんぞに生きたがるかい!」
「そう言うと思って、普通の(異世界的なマグロ)船にしましたよ。とにかく、私は海に出ないと駄目なのです」わかるでしょう?命が危ないのです。
「知らん!喰われるのはお前さんだけや、ええなぁモテモテやないか」
・・・あの屍食鬼さん、野球帽さんの死体を喰おうとしたんですよ?
なんとか私の腕をかじらせて、がまんして貰いましたが。
(鳥葬?水葬?死者の体を食べさせて埋葬する方法があるとは聞きますが・・
異世界の・・屍食鬼の習慣を人間社会に持ち込ませませんよ?)
死体とは言え、共に旅した仲間を喰うなんて・・私のエゴかも知れませんが、許しませんよ。
(宗教観の違いかもしれませんが・・)いや、やっぱり駄目です。
「解りますか?自分の腕をもりもり食べる者がずっとこっちを見ているんですよ?」
ヤツが頭を噛んだ時の音、私は忘れていませんからね。
「金も貰えて、逃げ出せる。まさに一石二鳥、さらに海の上にいれば金を使う事も無いので貯金も出来るし、食事も出る」正に今の私にもっと旨味な仕事でしょう。
・・・たとえこの体が・・【薬草】で再生するとか、非常識な作りだとしてもね!
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「おらぁ~新入り撒き餌だ、奴らの鼻っ先にぶち込め!無駄遣いすんなよ!」
ロメ雄は屈強な船員の怒声に合わせ、魚の内臓やら小魚の混じった撒き餌を海原に放り投げた。深い海は潮の流れと共に赤い撒き餌を飲み込んで行く。
「馬鹿が!ケチケチすんな!バンバン撒けよ、マグロが逃げちまうだろうが!」
(無駄使いするな)か(景気良くバラ撒く)のかどっちなんですか!
今度はひしゃくに山盛りの撒き餌を打ち込む、放物線は要らない。
ドボンと海面が立ち上がり海中の影が走る。
「阿呆、入れすぎだ!マグロが針に食いつかねーじゃねえか!」
・・・・・・・・理不尽大臣め!
住所不定、経歴不明のロメ雄が金を稼ぐなら、炭鉱夫かマグロ漁船その選択は間違って無かった!。
啓示にも似た閃きで現在、大海原に漂う漁船に乗り込んだロメ雄達。
後継者不足のお陰か、それともボロボロの姿をしたロメ雄に同情したのか、船長は何も聞かずロメ雄達を船に乗せた。で・す・が・
「納得いかん!犬が班長でひょこさんが副船長の補佐とか!なんでなんです!」
「あおら!新入り・モツとエラ、抜いたらとっとと氷に付けねーか。
海じゃぁお前なんぞよりマグロの方が偉いんだ、丁寧に・素早く・氷に御寝かせして大事に連れて帰る!そこまでが仕事だ」
「へい、ただいま」
そしてロメ雄は一番下っ端の雑用、釣り竿すら触らせてもらえず船内を走り廻って怒鳴られるのが仕事である。
「おう!下っ端。全部済んだら飯だ、だらだらすんなよ!」
「へい!がってんでさぁ」
ロメ雄は皮のミトンを嵌め直し、ブ厚い包丁を握りエラを切り取り、腹を割く。
「しっかしよぉ、手荒れかなんか知らんが、漁師になんなら皮膚鍛えんといかんな!今の内にたっぷり海水で腕でも締めて鍛えとけよ!」
・・・・
「へへへ、先輩にはお世話賭けます。その分、早く仕事憶えていつかは一番竿で大物釣って見せますんで。ご教授よろしくッス!」
「おおっ?口だけじゃマグロは釣れんぞ、手を動かせ!オレの仕事っぷりを見て早く一人前になってからだぜ」がはははっ
船の全員が一丸となって一つの目的の為に動く。
ロメ雄の先輩である男も、50に見える深い皺を真っ黒に、日焼けした肌に刻み
白い髪の毛が混じりこの世界では孫を抱いていてもおかしく無い年齢である。
「おめーも丘じゃぁ色々有ったのかも知らんが、海(ここ)じゃあ同じ釜の飯を食う仲間だ。やる気のある奴・返事のいい奴は好かれる。
頑張っていりゃ丘で美味い酒も飲める、後4ヶ月、お前も竿を持たせてもらう位頑張れよ」
船員の殆どが脛に傷もち、借金や家族・なにか、から逃げ出した男達である。それらのモノをすべて飲み込み海は流れ、男達は船板一枚上で懸命に生きている。
(私が逃げ出したのは、私を喰おうとする女性ですが)
先輩達の流れるような包丁捌きは一頭、また一頭と解体されたマグロ達を凍り水に泳がせる。(比喩的表現)
だが、ロメ雄はゾンビである。素手でマグロの解体などしてゾンビマグロを出せば本当の意味で泳ぎ出す。ソレを避ける為より身長にならねばいけない。
揺れる船内で包丁祭りが終わる頃、料理番の助手をしていた男が走ってきた。ようやく飯の時間だ。
前半章終了、そして唐突の後半章のスタートですね。




