ゾンビとひよこ。
ガキと年寄り・信者と畜生、話して通じない相手は、自分と同じ世界の道理・原理・法・社会で生きていない物だ。ゾンビだけどソレは知っている。
この怒りっぽい鶏は多分[女性]、そう思うと気が滅入る。
気の強い女性・手の早い女性と話しても、いいことがあった例しが無いと本能が言う。
それはもう面倒くさい左寄りの・いや真っ直ぐ真左の思想とか、
[ああっ言葉が通じないとは、この事なのか]と本能は言っている。
「おい!ゾンビ野郎、お前いま鶏を馬鹿にしたな!家庭の優秀なタンパク源、卵・肉どっちを取っても経済的最優秀賞ナンバーワンの鶏を「YOU、CHICKENG、Girl」と
馬鹿にしたな!その侮辱・・・バック、トゥー許さん!「オレをチキンと呼ぶヤツは、たとえビフでも許さん!」決闘だ!」
ヘイ!ドクゥタイムマシンの時間だ、タイムマシンを寄こせ。デロリアンを出前館だ。
勢いだけが人生だ、後悔はタイムマシンに乗ってからすればいい。
鼻息で捲し立て最早ゾンビの私にも手が付けられない。
「あ~チキン・ガール?そんなヒッチハイカーみたいに手を上げても[デロリアン]は来ないから、タイムマシンに乗っても世紀末のチキン・ジョージにも会えない」
「最近の[デロリアン]はヒッチハイクカーを乗せないと言うのか!
それとも私のセクシーさが足らないとでも言うのか?」
そもそも異世界にデロリアンは走ってない、そう突っ込むには私はまだこの世界を知らない。
(走っているのかデロリアン?)
器用に翼を上げ、ウフンとかアハンとかポーズを変えるチキン。
だがタイムマシンの起こす風すら吹く気配無し、むしろ秋田降ろしの空っ風が虚しく吹き下ろす。
「クッ殺せ!」
オレはゾンビになって始めて鶏ゾンビの「クッ殺」を見たような気がする。
ガッカリと項垂れ小石を突く鶏に、僕はどう言葉をかければいいのか解らない。
「まぁいいじゃ無いか?最近のタイムマシンも無人化されて、スマホが無いと呼べないのかも知れないし。少子化の波はタクシー業界だけで無くタイムマシン業界にも響いているんだよ」きっと。
「全く人間ってヤツは卵を産まないからな!遅れているからな!」
元気を取り戻した鶏は、やけに卵を産む事を主張してラジオ体操の動きを始めた。ここで産卵を始めるのか?
「ソレとだ・お前・・・確かロメ雄だったか?お互い初対面なんだ、
自己紹介くらいしろ。私は『チキン』と呼ばれるのが大の不快なんだ、
次ぎに『チキン』と言ったら神の紹介でもぶん殴る。さあレディーファーストだ! お前から名乗れ!」
レディファーストならまずはそっちからじゃないか、とは言えない。
そこは[言わぬが花]だ、仕方無いので紳士たる私から名乗ろうか。
「我こそはゾンビ、名も無く・産まれも知らず・歳も知らぬ、されど心がそうさせる、オレの名はタイラント=ジョージ・A・ロメロ。訳して平 ロメ雄、底辺クリーチャーをやっております」保険の外交員なら後半はキートン先生ぽくなるのですが。
「ならば我も名乗ろう!偉大なる食卓の女王にして、あらゆる国の食卓に並ぶ者の一席。鶏ゾンビの[ピヨコ]もう卵も産める年頃なんだからね!」
・・・
ひよこちゃんは最後なぜかツンデレ風に言った。そして自ら自爆した。
自爆覚悟で自己紹介は新一年生の自己紹介でも見習って欲しい。鉄の心臓だ!
「触れるな!臆病と呼ばれぬための予防線が、地雷原になっただけだ!生涯の黒歴史をまた1ページ増やす所だった」
そう、ヒヨコちゃんの切れやすい所や高圧的な所は、全て臆病から来ていたのだ。
自らを守る為の堅い棘、うにのような心、まだ卵の殻を持つ鶏だった。




