ゾンビは漁船で下働き。
黄金チキン4ピース・・・
それとは別に、魔物が出た漁場を迂回し、ロメ雄達の漁船は比較的浅い海での漁にシフトチェンジしていた。
遠浅の浜では網を入れても直ぐに海底に届き、ソレをガレー船の船員のように引いてから網を上げる。肉体労働の極限、これこそが異世界の漁だ!
コケッ・コケッと鳴く声に続き太鼓が打たれ、そのリズムに合わせ半裸の船員がオールを引く。
熱気が逃げず、気化した汗で空気のむせ返る船底はまさに地獄。
その中で、全く疲れを感じさせないひよこちゃんが拍子を上げる。
コケッ・コケッコケ、コケッ・コケッコケ。
デン・デンデン・デン・デンデン
「オッシャー・野郎共、網の引き上げだ!ノロノロしてたら魚が逃げちまうぞ!
さっさと上がって網を引けーーーー」
船長の声が伝達管から響き、汗まみれの男達は階段を上る。
船尾の両端にしばり付けられた網は、海底に張り付いているかのように重い。
「引き上げ開始ーー」オーエス・オーエス・・今度はイヌが号令を掛けてロメ雄達が網を引く。
男達は両手には革手袋を付けているが、それでも網は手の平に食い込み、気を抜くと引き手ごと海に引きずり込まれそうになる。
「新入り、手で引くんじゃねー。手に網を絡ませ、肘と肩で持ち上げ腰で引くんだ!
足で踏ん張るのも忘れるな!」
海の男の厳しいが優しい指示が飛ぶ、誰もが命がけの仕事は生きるも死ぬも一連託生、
丁寧では無いが適切な指示でないと自分の身も危なくなる。
だからこそ海の男は強くたくましい、
いや汗に磨かれ、強くたくましくなるのだろう。
山のように上がった物の中から、売れる物・売れない物、高い物・キズ物を分けて氷に放り込む。
ヒトデやミズクラゲは貝殻と共に踏みつぶし、次ぎの網にかからない様にしてから海に流す。
こうする事で次ぎの網上げも少しは楽になり、魚の餌が増え漁獲量が増えるそうだ。
そこまでやって一度休憩に入れる。汗をかかないロメ雄の身体も、海水と海の汚れで滅茶苦茶になっていた。
「おい、多少辛くても海水で身体を流すなよ。塩が身体に染みて傷みで休めなくなるからな」
漢はそう言って樽からひとすくい貴重な真水を取ると、海水で洗ったタオルをすすぐ。
汚れは海水で洗い、出来るだけ真水で身体を拭く。
「おらよ」漢が洗ったタオルを投げ寄こし、ロメ雄に振り返る事も無く去って行った。
チキショウ(同じ魚人でも強さの違いありすぎだろ!兄貴と呼んでやる)
ちなみにロメ雄が共感出来るのは、一番弱く一番悪ぶって見せた魚人の男である。
(弱いから虚勢を張ってしまうのは仕方無いよね)
人間より、すこしだけ腕力が強いだけなんだから、バレないようにメッキするなんて涙ぐましい男なんだ。すこしイキッテ見ただけなんだ。
鼻がギザギザで武器もいかつい、家をヒックリ返す程度のイタズラだけにしておけば・・・
後々出番だってあっただろうに・・殺しは駄目ですよねぇ。
(偉大な海に入った今なら、バネ男にも瞬殺されるだろうけど・・)
腹は減らないけど、人に混じって仕事するソンビはヒドイ小食、しかも彼岸〇ほどに長袖と長ズボン。
甲板の上ならカッパの着用が出来るのでさほど違和感は無いけど、船内では変人その物、
違和感しか無いはずですが・・・
「名前も素性も正体も、隠したいヤツは一人や二人や無い。周りも気にしてへんからロメ雄も
ジロジロ見てやんな」
この腕に日本刀を仕込むような改造も、そう遠くは無いだろうか。
吸血鬼VSゾンビ、本来交わらない怪物同士の戦いが今始まる気がしないでもない。
「B級ホラーですけど・・・・・童貞ゾンビの私が血を吸われたら吸血ゾンビに進化しますかね?」
処女・童貞が吸血鬼に血を吸われたら吸血鬼になるらしいですし。
「・・血、流れてるんか?じぶん?」
「心臓は止っていますが、[熱い魂]的な物は流れいます!」多分。
ん?船底が揺れた?
本日二度目の網上げも終り、次ぎの漁場へ移動するまでのインターバル。
この昼間の休憩時間に働いている漢などいない。
・・・外海で漁をする漁船は一流、内海での漁は二流、金に困った船しか漁をしない。
異世界の海は人間の住む領域では無い、海底にも魔物が住み着き岩場・断崖・砂地・
暖流寒流に関わらず、怪物達の領域。
だから海産物は陸では高値で取引され、陸の人間が漁が出来るのも海の生物と長い時間をかけた
契約が有るからこそ出来る。
当然海の住人が住みやすく、漁をしやすい場所を明け渡すわけが無い。
「人間の漁師が魚を取ってる場所に安全・大量・無事故無違反のゴールド免許は存在せんのや!」
怪物達の住処に近い危険海域ギリギリの場所を、工夫をしながら漁を行なっている。
中でも陸に近い場所は水生人類の居住場所が多い。
「カニ!デカいカニが船に足乗せてる」カニ〇楽の看板が、店の屋上へよじ登る姿に近い。ただ一つ違うのは、そのカニが[タラバガニ]ではなさそうな所ですか。
な・・なんなんだ?あの背中は?




