3-1-11 タウルス定例報告会…害虫駆除? 22/8/19
加筆修正 20220819
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世歴2004年10月4日(月曜)
この日、(株)タウルス定例報告会では以下のような議事が述べられていた。
(この会議にはオブザーバーとしてVRで外務大臣、文部科学大臣、経済産業省事務次官も臨席)
・今後のVR技術の可能性について
ハミルトン博士達有志により提唱されたVR空間内での言語理解・同時完全翻訳の果たす役割は非常に大きい
これは、地球上の学者・研究者への福音である
民族・種族・人種の区別なく会話を含めた意思疎通に依る相互理解を図る
言葉の壁が取り払われる事は、全ての人類活動に大きな影響を及ぼすだろう
・日本の電力事情を3年で塗り替える道筋、同時に原子力発電の廃炉計画
発電機器メーカーの全面協力のもと、水素発電ユニットの全国展開の実施
同時に不要な送電線や電柱の撤去、売電用ケーブルは地下に新設される
順次VR仕様による各種ワーカーにより原子炉の廃炉事業を進める
・衛星通信をメインとして放送及び通信のプロトコルを整理する
通信機器の無線化・衛星化を進める
放送受信機の衛星化を進める
デジタル化したテレビ等の衛星通信に電話等の圧縮通信を乗せてしまう
旧式化しアナログ放送機器を刷新し、同時に電話通信をTV電話に移行する
音声だけの通話には気をつけよう、成り済まし詐欺予防には効果テキメン!
・日本のゴミ事情を3年でゴミ需要に置き換える
産業廃棄物はもとより同時進行で核廃棄物ほか有害科学物質の処理計画を推進する
これ迄は、ゴミを資源にと言われている程の効果を示して居なかった
国内需要という意味では利益の出ない産業分野であったが、これで180度方向を変える
文字通りゴミを資源に変えるのである
・教育改革、一般への催眠学習とVR通信教育の普及を進める
教職員の減少に繋がるので他事業への受け入れ先の確保
学校施設の集約化を進め、教職員への無理のないスキルアップを同時に進める
・雇用形態の変化に伴い職業斡旋のシステムの見直しを提案する
職業のあり方、職業教育の見直しと費用の見直しを推し進める
VR仕様による各種ワーカーのオペレーターとして、職種を募集する
VRによる身体障害者や療養者の職業参加を緩やかに進める
国内で溢れた雇用は、VR仕様による各種ワーカーを危険な場所、国や地域に派遣する
その際のオペレーターとして雇用する事で、安全を担保し仕事を斡旋する
VRによって言葉や距離が障害とならない環境を作り、たとえ地球の裏側でも仕事ができるようにする
例として、日本のハウスメーカーが海外で受注した日本家屋を、VRオペレーションを使用して日本の大工が作り上げる
時差を上手く使えば、現地人が昼間作業をし、夜間は日本からVRオペレーションで棟梁が仕上げる、何て事も夢ではない
(実際にインドのIT企業が海外で受注したプログラム作成をリモートで行っている実例が存在する……らしい……ほんとか?)
工期短縮・移動の時間も滞在費用も要らないので大幅なコストカットに繋がる
遠距離の出張や単身赴任のストレスも発生する事がすくない
これはレスキューや被災地のボランティアにも活用できる
全世界の被災地へレスキューVRワーカーを派遣し、日本からオペレーションを行う
・行政サービスのリモート化・自動化を進める
本人確認は、遺伝子登録をもとに指紋、耳紋、静脈照合、網膜照合、声紋の5つの内3つ以上の一致をもって個人の確認を行う
今後、正式文書の印鑑による契約書には、契約者本人の血印が必要とする
(遺伝子・指紋)
携帯端末によりリモート照合を実現することで、窓口業務を縮小、自動記録により来歴追跡を可能とする事で各種不正の入り込む余地を無くす
リモート受付は、基本24時間対応とし受付対応に不公平をなくす
・医療現場及び介護労働力の確保と軽減、長時間勤務の低減化、緊急時の労働力の確保
(リモート診断、VR介護ワーカーの導入)
・追加事項
これらVRを利用した作業用ワーカーは、顔面部に作業者の顔を表示する事
相対する作業員及び患者や要介護者に安心感を与え、言葉の通じる人が相手だと伝える事が大事である
今後必ずこれらのVRを 軍事利用しようとする国家及び団体が現れると予想できる
それらに対する安全対策を徹底し、場合によってはVR技術其の物を取り上げる
これらのことが、話し合われ密かに政府主導で実行に移されてゆく事になる。
これら必要最低限の費用により営利目的の他者の介入を寄せ付ける事の無い改革が進むことに成る。
最初、公正取引委員会が独占禁止法に抵触するのではないかと法を盾に煩く騒いだ(甘い蜜に群がるゴミ議員の陳情による)が、ここで使用されている技術を放出したところで現在同じ物を再現できる企業及び国家は地球上に存在しない。
では近い将来、同じ技術が開発されるのかといえば、それは不可能に近く、これらの(株)タウルス由来の技術製品やサービスは、独占禁止法には抵触しないとの見解に至らせ黙らせた。
自由競争の原則からは外れるが、そもそも競争そのものが成り立たない技術である事を理解しろよな。
こちとらボランティアでやってるようなもんなんだ。
他人のふんどしで甘い蜜を吸おうなんて、お門違いも甚だしい。
この技術の将来性を鑑みて、新しい商売でも考えようとは思わないのかね?
◆
[以前より調査してまいりました、あの宇宙ナメクジの実態がある程度掴めてまいりました]
「うん、報告して! あれはいったい何なの?」
[肯定。現在判明した情報を開示いたします。対象は、シリウス方面より飛来しておりますので、探査プローブを向かわせた処、発生源または繁殖源と見られる星系を発見いたしました。起源がそこで在るかは未だ不明ですが素となったと思われる文明の痕跡が見受けられます。多分、文明ごと食いつぶされたものと思われます。素の星系を食いつぶしたので、最寄りの恒星系に餌場を移したものと思われます。そして、先の個体は斥候部隊ではないかと予想されます」
「へ~、あれってシリウスの方から来てたのか?」
[肯定。現在、太陽系内で同様の物体と思われる個体が複数確認されております。先のサイコノイズが呼び水になったようで、現在活発な活動を開始しております。今後は取りこぼしの無い様に個体の特定を進めております]
「フ~ン、それでいったい何匹ぐらい見つけたの?」
[肯定。特定済みの個体は現在までに69個体です。端から地球防衛軍が殲滅に動いております。現在、ゲーム内イベントとして順次ミッションを立ち上げ、殲滅にあたっていただいている最中です。今回ポイント獲得が多めに設定されておりますので、争奪戦の様相を呈しています]
「エッ、もう始めちゃってるの?」
[肯定。ミッションプランはこちらで作成してプレイして頂いておりますのでご安心ください。これは、飽くまでも前哨戦です。今のうちに少しでも慣れて頂きたいと早めに動いております]
「前哨戦って事は、この後決戦に突入するってこと?」
[肯定。探査プローブからの報告では、万単位の敵性個体が太陽系に向かって移動中との事です。サーベイヤーとラーフが間引きに向かいましたがかなりの広範囲に広がっているため全てを殲滅する事は現実的に不可能でしょう]
「そうすると2隻の取りこぼしが、太陽系まで来るって事だね」
[肯定。ほぼ半数以上7割ほどは、太陽系迄到達すると思われます]
「地球は、大丈夫だよね? 防御シールドも在るし……」
[肯定。月を要にした防御シールドは、現在もアイドリング状態で稼働中です。強力な太陽風や障害になりそうなデブリ、今回のような敵性体の侵入には万全を気しております。最悪の場合は通り過ぎるまで防御シールドごと地球を位相差空間に転移させる準備も進めております。ただしこれを行った場合、一時的にですが地球の抜けた太陽系各惑星の重力バランスがどの様に働くのかを現在計算中です。自然回復のボーダーラインを超えた場合、各惑星にどの様な影響が発生するのかはまだ未知数のところがあります。星は常に動いていますからね]
「ほえ~、大変そうだけど、ここに来る前に全部迎撃出来れば良いんだよね?」
[肯定。それが理想ですが、先に述べたようにかなりの広範囲に及びますし、どうも彼らには撤退するという思考ルーチンを持ち合わせて居ない模様ですので、1匹も漏らさず徹底して駆除する必要が有るものと思われます。単純に物量でこられるのがここまで面倒臭いんですね、よく分かりました]
「あれの詳しいデータは取れてたよね。対ナメクジ用に俺も何か作ろうか?」
[肯定。我々の用いる兵器は汎用性とエネルギー効率は折り紙付きですが、物量で飽和攻撃をされた場合それを支えるためコチラも数を揃えなければなりません。最後には物量と継戦能力に補給線の確保となるのは、世の兵法に倣うところです]
「OK、想定される敵の数を教えて。5割増しぐらいに製造して一気に片付けよう。下手に時間を掛けるとどんな馬鹿でも対応するのが生命の神秘ってところだよね」
[肯定。それでどの様な物をお考えですか?]
「そうだね……、確か……小癪にもビームで迎撃してくるんだったよね。外郭に対ビームコーティングを施した簡単な思考魚雷で良いんじゃないかな? 2段弾頭にして2段目の内郭に敵個体の動力炉の周波数に反応する信管と金属ナトリウム打ち込んでやればあとは勝手に破裂するでしょ。普通の宇宙船ならただのビックリ箱だけどね」
[否定。手痛いビックリ箱になりそうですね。我々の誘導弾または光子魚雷は対象を破壊もしくは消滅させてしまいますが、マスターの弾頭ならうまく使えば相手を消滅させずに無力化出来るかも知れません。我々が使用するガードスーツの様な物を常時身に着けていれば別ですが……それでも送り込む物によっては酷い嫌がらせによって戦意を削ぐことが出来るでしょう。以前使用した瞬間接着剤や鳥もち、弱毒性のガスや化学兵器も考えられます。それに質量が残る倒し方は戦後のリサイクルが可能です。失った物資は撃破した敵のマテリアル化によって補給再利用します]
「うわっ、結構えげつないね!」
[肯定。場合によっては一瞬で蒸発していたほうが良かったと思うかも知れません。ただ、そう思考できるのも生きていればこそですが……]
「逃げてくれたほうがこっちは楽が出来るんだけどな。痛い目に遭うから近寄らないって思ってくれるのが一番いいんだけど、そういう生物的思考は無いってことか~。面倒臭いね、まったく切りが無いじゃないか? こちとら弾頭一つだって安くないんだぞ」
[肯定。しかし、マスターがそれを云いますか? 装備にほとんどお金は掛かっていませんよ]
「だって、面倒臭いじゃない! 神経はすり減るし何かしらのコストは掛かるんだし、結局作るのは俺だし……」
(マスターの思考は、結局そこに落ち着くんですね……)
◆
『みなさ~ん! 今回はVR地球防衛軍の特設イベントにご参加を頂きありがとうございます。今回の総合GMのケラエノで~す。宜しくお願いしま~す♪』
ワ~ワ~ワ~~ ケラエノさ~ん!!!
ワ~ワ~ワ~~ サインくださ~い!
ワ~ワ~ キャ~キャ~
『ご声援ありがとうございます。では早速イベントの説明に移らせていただきます』
『今回の特設イベントの敵対勢力は、皆さんご存知の宇宙ナメクジです!月とガードステーションを拠点に太陽系と地球を守り切るのがクリア要件となります。時間制限は有りません。敵の全滅を持ってイベントクリアとなりますので頑張ってください。敵を1匹倒すごとに1000ポイント(1000円相当)獲得となります。今回は特に専用弾頭を装備したミサイルを500ポイントで購入できますのでご活用ください。使わなかった場合は半額の250ポイントで買い取ります』
「そのミサイル、少し高くないか?」
『そう、少しお高いんですが、一発必中だそうなので効率を考えた場合は釣り合うようですよ。光子魚雷(700P)よりはリーズナブルじゃないでしょうか。敵の数は数え切れないほどだそうですから、頑張って数を熟してくださいね』
『では、これよりイベントスタートです!!!』 プァーーン♪
Go~、Go、~Go~
・
・
「どうじゃ、進捗の方は?」
『今の所、太陽系外縁部で塞き止めている状態ですね。補給に戻る船が出てくればそこから系内に侵入されるでしょう。それに大きく迂回してきている個体群も居るようですので、これからは防衛線の薄い方向からの侵入が懸念されます』
「昴は居らんのか? 一緒に出ようと誘いに来たのじゃが……」
『マスターと手の開いてる者は、ルナベースのプラントで缶詰になってますね。特殊弾頭の製造が追いついていませんので、泣きながら作っているようです』
ケレスの存在はまだみんなには秘密です。
現在ハコの直掩艦隊500隻を残して護衛艦5000隻が最大戦力です。
阿修羅族とデーヴァ族駐留艦隊は15隻ずつ木星ステーションに存在しますが、燃料代が勿体無いとVRで船をレンタルしての参加となっています。
「まったく、駐留艦隊の連中まで参加しておるそうじゃな。誰が一番良い成績を残すか競争しておるらしい」
『良いんじゃないですか、訓練にも成るでしょう?』
「確かにそうなんじゃが、妾は面白うない!」
『どうせこの後、防衛ラインはどんどん下げる事になるでしょう。往復の時間も勿体無いですし近場で楽しんだらいかがですか……そういえばメローペの人型強襲艦の量産型がロールアウトしたみたいですよ。先行量産型で50隻ほど……詳しくはメローペに聞いてくださいね』
「ほう、それは面白そうじゃな。確かオリジナルは、ヴィシュヌ女王のハヌマーンと互角に渡り合ったと云うではないか?」
『ええ、しばらくの間、互角にド突きあっていましたよ。格納庫の中でしたからお互いに物理で撫であったていどですが……』
「それは楽しみだ♪ チョット見てこよう」
[ちゃんと調整してもらってから出て下さいね。痛い思いしても知りませんよ]
「任せるが良い。阿修羅族の戦い方と言う物を見せてしんぜよう。ワハハハハ……」
……自分の一族のことを脳筋呼ばわりしている脳筋がここにも一人……
◆
「特殊弾頭なんか考えなければ良かったと、今猛烈に後悔している俺が居る!」
[肯定。言い出しっぺはグズグズ云わない!早く手を動かしてください。ルナガード3から10000追加です。ルナガード2からも5500。ふむ、敵総数が確認されました、31万9428との事です]
「ヒィ~~!!バクーンは居ないの?」
[肯定。サーベイヤーと遠征の方に出てますね。状況によっては敵の起源惑星の破壊も視野に入れる必要がありますので、間引きしながら向かってもらっています]
「ア~、本業の方か~。そっちが専門だもんね。ということは、今回のはバクーンが仕事をサボってたからとも言えるのかな?」
[肯定。やっと気が付きましたね。大体こんな大事にならないようにするのがバクーンの仕事です。後始末が大変ですから]
「ウッガー、帰ってきたら責任取らせてやる~。……セントラル~」
[なんですか? 昴様]
「罰ゲーム考えといて! バクーンの嫌がりそうなやつ!」
[ホォ~ホホホ♪ お任せあれ!]




