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第3期 プロローグ 22/2/24

20220224 加筆修正

1446文字 → 2000文字





 その年、世界中の目と耳は、太平洋の一箇所に集まる事となる。


 世歴2004年4月1日。

 メガフロートの多目的広場には、同じ制服を着た男女が多数集まっていた。

 人種もバラバラで年齢は12歳から20代後半、チラホラと30代40代の人物も見受けられる。

 半数は日本人だが、残りは世界各地から集まった者達だ。

 中には、純粋な地球人には見えない人種も含まれていた。

 そして、ここに整列した男女の数倍のVR通信講座を受講する予定の学生達が立体映像で参加していた。


 ここに設立されたプレアデスアカデミーは、総合マルチスクールだ。

 ここで使われた総合マルチとは、学ぶ事以外の垣根を全て取り払ったという意味で使われている。


 マルチスクールと云うと、専門学校によく使われる言葉だが、ここでは必要な単位と学術論文さえクリアすれば、ほぼ年齢性別に関係なく博士号さえ取得可能な日本で初めての学府となる。

 そして、集まった者達を見て分かる通り基本的に12歳以上であれば、卒業までの年齢も関係がなく、入学から最短1年~最長6年での卒業と成る。

 6年は短いようだが、VRと睡眠学習を利用したカリキュラムの内容は、実質16年分にも及ぶ。

 6年間で最低でも大学院までの知識を詰め込まれる事になるのだ。


 ここでは、睡眠学習を行う事で知識の獲得は、その言葉通り寝ていても出来る。

 問題はその使い方であり、その道のプロから血の通った指導を受けることで、習熟度を上げ卒業時には独り立ちできるだけのプロフェッショナルを養成する。

 そして同時に、技術と研究開発を進め、技術職・研究職の育成をするのだ。


 かたや通信講座を受講する者達も立場は一緒だ。

 現在の職を続けながら、または在学中の学校に通いながら睡眠学習により知識を得て、VRカリキュラムを熟すことで、頭でっかちなマッチ棒ではなく、その知識と技術を実践し使いこなせる魔法使いの杖と成るのだ。


 初年度の入学者は500名、VR通信講座受講者は半年ごとに3000名を受け入れる予定であり、既に後期受講生以降3年先まで予約済みである。

 ちなみに毎年の入学者500名は、厳しい書類選考と内定調査(意識調査を含む)にクリアした者のみが入学を許され、どんなに国や組織から圧力を掛けられても基準に達しなければ入学は許されない。

 如何に本人が優秀であろうと、尊い血筋だろうと、世界一のお金持ちだとしても人格に問題の有る者は入る()きの欠片も無い物となっている。


 VR通信講座は、ここまで厳しくは無いが、提供される睡眠学習の段階で根拠のない横柄な性格や特権階級に根付く人種に依る差別などに対しての意識改革が行われる事を同意させられる事となる。

 当然として出来上がるのは、他者に対して公平でフラットな性格に矯正された聖人君子となるのは自明の理で、その同意を迫られた本人はサインする事を嫌がり、その家族や友人知人に至っては、これは洗脳ではないかと最初大きな騒ぎとなった。

 だが、直ぐにこの性格改善が非常に有益で有ることが証明される。

 後日、騒いでいた家族や友人知人には逆に大いに喜ばれる事になるのだった。

 後日談だが、家族から云わせても、余程に嫌な性格だったらしい。


 更にもう一つ特殊な教育過程として、メガフロートに併設されている各大学の研究室や企業の研究機関、更には個人の技術開発者を担当講師として指名したり、共同研究を行ったりする裁量が認められる事だ。

 ただし、自分で直接交渉し相手を納得させこれに認められなければ成らない。

 そして、其処に発生する様々な予算を自ら捻り出さなくてはならないのだ。

 ただし、1からそんな事をしていたら学習などままならない事は自明の理である。

 でもここは、AIに管理された地である。

 学習に関係のないところはAIに手伝ってもらおうよ……と言うよりも、有能な助手として補助してくれると有り難いんだけどな~……。

 だってホラッ、あそこに実際に使ってる人達が居るんだから……そう、昴達の事である。


 多忙を極める昴達は、AI達を手足のように使い倒す……彼らは元からそのために作られたのだから。

 兎に角AIにお願いしてみる……AIが必要と認めた場合、これが補助されるという仕組みが何時の間にか構築されてゆき、教育内容がその濃さを増していった。

 そしてこれらは、自ずと他の研究施設や研究機関にも流用されてゆくのだった。

 更にはアカデミー内で研究開発されたものは、単独・共同を問わず国際特許に登録され、許可無く盗用されない様に守られると共に、その利益が不当に扱われない様に管理される。


 アカデミーは、実力主義を教育方針に(株)タウルスと日本国政府による出資の半官半民の教育機関でありながら、授業料と生活費は免除され一切かからない。

 実力さえあれば、学びながら研究し稼ぎを出し、或いは仲間や出資者を集め起業する事さえも可能である。




 太平洋のド真ん中に、そんな学校が設立されたのだった。






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― 新着の感想 ―
[一言] 夢見る黄竜さんは知らんだろうが? 昭和の技術屋は学研を洋の東西に拘らず嫌ってるよ? 嫌うと言うより根深し不信感で見てるよ? メガフロートで働いてる 昭和の匠は学研を泥棒扱いしてるよ? 彼等は…
[一言] 夢見る黄竜さんは知らんだろうが? 昭和の技術屋は学研を洋の東西に拘らず嫌ってるよ? 嫌うと言うより根深し不信感で見てるよ? メガフロートで働いてる 昭和の匠は学研を泥棒扱いしてるよ? 彼等は…
[一言] フシギな事にその研究者の文化にレイシズムが強い民族 国民から優秀な研究者科学者は産まれ難い様です! イスラム教・ヒンディー・儒教徒の多い文化文明から 優秀な発見発明はないよ?漢族から日清製粉…
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