表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/251

2-4-03 警護一筋…権堂 勇魚 21/11/27

20211127 加筆修正

2103文字 → 2395文字





 権堂です、ご無沙汰しております。

 昨年、天河家の警護任務についた時は、警視庁警備部警護課第四係で主任を務めていました私は、この春から晴れて専属チームとして発足した第五係の係長となりました。

 警護任務とはハードな職場でなかなか昇級試験も受けられない事の方が多いのですが、我らのチームは受ければ全員が合格という輝かしい成績をおさめ、恥ずかしながら私も昇進を果たし警視となりました。

 役職は係長だが階級が警視ともなると、県警のトップと同じ階級でノンキャリアとしては次の警視正が事実上最上位の階級になります。

 普通ならどっか所轄の警察署長にでもなって定年まで数年おきに移動をするところなんですが、荒垣事務次官から上層部に掛けあってもらい(……圧力ともとれる内容だったらしい……)私はこのまま万年係長で良いからと新設の部署を作ってもらったのです。

 早い話、このままだと自衛隊に全部美味しいところを持って行かれますよって事を強調したのですよ。

 むこうが本格的に囲い込みをする前に我々で、綿密な警備体制を確立してしまえば後から防衛省がしゃしゃり出て来ても何とかしてみせますよと上層部と取引した訳です。


 どうしてこんな裏取引が成立したのかと言うと、昴君のところのタイゲタさんと情報交換を行い、現在警察が使用している装備一式を見直し、村で使用している装備やテクノロジーで問題の出ない範囲を提供してもらえる運びとなったからなんです。

 警視庁には装備部という部署が有りますが、使われている装備のほとんど、防弾チョッキや盾や警棒の他に拳銃など全てが輸入品で、独自に改良や改造を施すことはありません。

 官給品なので故障や事故などが起きた場合の保証や捜査時の証拠として使用される事を考慮して、警察側では一切の手を加えていないのが現状です。

 中でも問題になるのが拳銃に依る誤射や暴発による不幸な事故であり、そう言った事故は現在も後を絶たないのです。

 実際に射撃や捕獲術など警官個人のスキルに頼りきりで、装備面で安全に容疑者を追跡し捕縛専用に考えられた装備が少なすぎるのが現状なのです。

 警察官も人間です。

 容疑者の誤認もあれば反撃を受ける場合のリスクなど咄嗟(とっさ)の判断が明暗を分ける場合のなんと多いことか……、少しでもそれらのリスクを減らし円滑な警察業務を執行できる様に装備面で協力できる事が沢山有るのでは無いのか?

 イヤッ、減らせるリスクは無くす努力がされて然るべきと熱く語った処、嫌な顔をしながらも現場での実証実験が許可された訳なんです。

 実はこの時に添付されたタイゲタさんとアステローペさんのシミュレート資料が、大きな説得力を発揮した次第なのですけれどね。

 安全な警察業務とは聴いて呆れる公務執行に付随する危険リスクと、実際に掛かってくる費用対効果。

 この場合は、現職の警察官が殉職したり障害者となった場合の一時金や怪我の保証に治療費、その他掛かった必要経費などに加えて、警察官の過剰勤務に掛かる負担や経費を算出し、どれだけの費用対効果が見込めるかを誰でも分かる数字にして資料化したものであった訳です。

 この資料の説得力は、警察内部に大きな反響を呼ぶこととなり、実際に実現可能であるかの実証実験が開始される事となったのです。

 そこで銃撃戦等の危険を排除し、容疑者を安全確実に捕縛する事、そして場合によっては人質等の安全を同時に確保するための装備(ツール)を独自開発し試験運用することを名目に、問題の資料を作成した事になっている我々に白羽の矢が立ったのです。

 所謂(いわゆる)、実証実験チームの創設ですね。

 今回は特に、昨今問題が大きく取りだたされているテロ対策の為という事もあり、要人警護の第一線に居る我らには基本的に捜査権は無いに等しいのですが、特別に関係性の有る事件の捜査及び情報収集においては認められる事となったのでした。

 当然といえば当然の結果ですが、我々護衛チームというか天河家周辺は数えるのも嫌になるくらい各国の非合法工作員の襲撃を受けており、その尽くを実際に撃退しているところの実績からも今回の実証実験チームに抜擢された理由とされています。


 しかし、ここで問題が発生しました。

 新設のチームということもあり人手が欲しかった私は、取り敢えず20名ほどの増員を人事課に申請したのですが、何処からこの情報を聞きつけたのか日本全国から数百人もの転属願いと推薦状が人事課に集中したのでした。

 この惨状に悲鳴を上げた人事担当官は、書類でハネられなかった残り138名の選考を全部私にぶん投げて来たからたまったもんじゃない。

 何でこんな事になってるんだか……、調べるまでもなく答えは直ぐに明かされました。

 そこに添付されていた推薦状のほとんどが全国に散っているプレアデスナイツの影からの推薦に依るものだったのです。

 ……勘弁してくれよ、ほんとにもう……。

 全員仲間に引き入れたいところではありますが、現在の職務を辞めさせて引き抜くわけにも行かず、これを合法的に天河家に接触させる為にも今回は都合よく独立した新設の警視庁警備部警護課第五係に転属させる方針で動く事になったのだ。

 まったく、直接自分の手を汚さずに人に押し付ける姑息なやり方の最たる物じゃないか?

 みんな、汚いぞ!

 全部俺に丸投げしやがって!

 恨み言を言っても仕方がないので、今までの人員14名だったところを50名体制にまで引き上げる事にしました。

 そして今回選考から外れた人員には、今後ローテーションを設けてメガフロート分署で循環させる事にしました。

 最初は今回弾かれた連中から非難轟々の嵐が吹き荒れる事になりましたが、メガフロート分署へ島流しにしてやる旨の辞令が降りるよう取り計らった処、一転手のひらを返したように称賛とお礼の手紙がドッと届いて大いに呆れたことをここに記しておきましょう。


 メガフロートの公開とともに、世界が大きく動こうとしています。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ