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実は俺、宇宙船を育てています《イイエ、育てられているのは、ア・ナ・タ》  作者: 夢見る黄龍
第1期 第4章 転

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1-4-01 メガフロート…これは卑怯だろ~! 21/5/18

20210518 加筆修正

5313文字 → 5923文字




 メガフロート、ご多分に漏れず海洋施設にも日本では許認可が必要である。

 まず、海を管理する海上保安庁へ建設開始の1ヶ月(30日)前に申請を行い、許認可を得なければならない。

 どうも最初に施設の使途よりも、廃水や廃油など汚水に関する設備が整っていないと許可してもらえないという事らしい。

 日本では、三○重工などで実証済みであるにも関わらずまだ建設には至っていない。

 その理由は、造船、建築等族議員による既得権益の取り合いにより、建設を進めることが出来なくされてしまい白紙に戻ってしまったそうだ。

 地震に強く、土地の買収も要らない施設として、大きな利用価値がある事は実証済みであるので、関係する企業からの圧力は相当のものだったらしい。

 海上施設なんだからと造船族、施設の建設なのだからと建設族、その他発電族なども絡み、最終的に資材の調達が難しくなり白紙撤回されてしまった……なんと愚かな……。

 馬鹿ばっかりです。

 コイツラは、協力という言葉を知らないのだろうか?

 結局利権の取り合いから三睨みの後、話は立ち消えとなり、一度悪い前例が出来ると誰も触れなくなるのは、日本政治行政の悪癖(あくへき)だと思うんだけどな~。

 色々と問題がありそう……だけども、何処(どこ)も未だ手を付けていないなら、ウチで作っちゃっても良いよね♪

 調べたところでは特に問題ないようなので、建設に関わる申請書を1月28日必着の書き留めで海上保安庁に送っておいた。

 3月1日、小笠原諸島の先端からズイッと東に飛び出して、南鳥島の南側、海上1Kmに建設予定と申請しておいたが、冷やかしだと思ったのか割りと呆気なく許可が降りてしまい、肩透かしを食ってしまった。

 俺たち(おれとキャプテンとSP二人)は、前日まで母島に滞在して翌朝大型プレジャーボートをチャーター、トローリングなど沖釣りをしながら現地に向かった。

 建設当日は、夜釣りと言う訳で船上で一夜を明かす予定にしてある。

 実は、夜釣りなんかしないんだけどね。


 ここに取りい出しましたる銀色のトランクケースが24ケ、これを1つづつ海に放り込んで行く。

 ボートから100mほど離れたところで、それぞれが膨らみ始めひとつが10m四方のフロートブロックになり、勝手に動き出した。

 24ケのブロックが自動的に連結して、50m×60mの浮島(フロート)となったのだった。

 この浮島(フロート)は、極薄のチタン繊維で四角い袋を作り、水に反応して数千倍に発泡するウレタンが入っている。支柱にはやはり水と反応すると時間とともにカチカチに固まるポリマーが使われていて、例えバラバラになっても、水には沈まないし、鋼鉄を上回る強度で海水に対しても優れた耐食性をしめすことが分かっている。

 出来あがった浮島(フロート)の片側が30m×20mに凹んでおり船着き場になっている。

 其処にチャーターしていた大型プレジャーボートを寄せてもらい上陸、浮島(フロート)の真ん中に口を開けているフロートブロックの無いスペースに、これまでより二周りは大きなトランクをプレジャーボートから取り出して放り込んだ。

 そのトランクは一度沈み込み、代わりに開いたスペースを埋めるようにプレハブにしては立派な小屋が水の中からせり上がってきてピッタリと隙間を埋めたのだった。

 プレジャーボートはそのまま係留してもらい、今日の釣果と食材を下ろしてバーベキューを始めるのだった。


 大皿とビール片手に、船長がつぶやいた。


「ホイ、刺身が出来たぞ。シーラの刺身は美味いぞ~、早く食え食え。それにしても、あっという間に小屋付きの島が出来上がったのには、ぶったまげたな~」


「俺に掛かればこのくらい、なんて事ないのさ。チョクチョク遊びに来るからさ、近くに来たら船長も寄っていってよね」


「ああっ、是非寄らせてもらうよ。だが、本当にこのまま此処にあんたらを置いて帰っちまって良いのかい?」


「うん、この(あと)追加分のフロートを持ってヘリが迎えが来てくれるから心配はいらないですよ」


「そういう事か分かった。また船が入り用になったら声掛けてくれよな!」


「了解です。今日はありがとうございました」


「BOSS、酒も入ったし今夜は起工式のパーティーと洒落込もう。追々後続の連中も到着するだろうしな」


「そうだね、それじゃメガフロート着工を祝って、乾杯!」


「「「「乾杯!」」」」


 ……バタ……バタ……バタ……バタ……バタ……バタ……


「オッ、噂をすればだ♪ 御出(おいで)なすったな……」


「冴島先生も好きだよね~♪ 忙しいのに、こんな所まで出張ってくるんだから……」


 ネットで下に荷物を吊ったヘリコプターがこちらに向かって飛んできた。

 ネットの中には、数え切れないほどの銀色のトランクが吊られている。

 一度浮島(フロート)をオーバーテイクしたヘリコプターは、ゆっくりと旋回を始め浮島(フロート)を囲むように、次々とトランクの投下を始めた。

 ざっと200ケほどを投下すると、そのまま上空でホバリングを開始した。

 程なく今しがた投下したトランクが膨らみ始め、次々と連結をしてあっという間に20,000平米の浮島(フロート)が誕生し、昴達のいる小屋のある浮島(フロート)に連結したのだった。

 小屋の後ろ40mほどにヘリコプター用のマーキングが浮き上がり、上空でホバリングしていたヘリコプターはそこに着陸した。


 ……バタ……バタ……バタン~……バタ……キュン……キュン……


「お~い! 昴くん。凄いよ~、あっという間にヘリが下りられるフロートが出来上がるなんて、夢見てる様だよ。最初に今度の話を聞いた時には、まさかと思ったけど、これなら短時間で広大な陸地が出来上がる。いや~参ったよ!」


 興奮冷めやらぬ様子で、(まく)し立てる冴島先生に、キャプテンが缶ビールを渡して一気に開けさせた。


「プッハ~っ、これは画期的だよ。昴くん、あのフロートは市販するのかい?」


「いま新案特許出願中です。そろそろ申請が通ると思いますよ。これ、イザって時のレスキューにも使えるでしょう?」


「使える! 使える! 真ん中にテント張れる様にしてやれば完璧だよ。救難ボートのような物は存在するが、地面を作っちまうとは驚いた。これの表面は昴くん得意の発電素子だろ、そして、夜は埋め込まれたLEDが光る事で安全を図りながら居場所を知らせる事もできる。さっきは、上からでも直ぐに分かったよ」


 実はこの浮島、外周をぐるりとLEDで光らせていて、上から見ると牡牛座の星座イラストを映していたんだ。


「君は、ここで何を始める気なんだい? 僕に教えてくれないかな?」


「ええ、いいですよ。チョット新型のシャトルを、打ち上げようと思いましてね。民間での有人宇宙飛行を実用化して、宇宙開発を加速させようと思うんですよ」


「新型シャトルだって、その言い方だと、すでにある程度形になってるんじゃないのかい?」


「先生は鋭いな~良い勘してますよ。当たらずとも遠からずといったところです。ま~見てて下さい。これからドンドンびっくり箱を開けて行きますから、絶対に退屈はさせませんよ」


「お手柔らかに頼むよ、大人としてフォローするのもこれで結構大変なんだからさ」


「今年は、宇宙開発に関する新しい法律や研究機関が発足するみたいじゃないですか。今のうちに少し突っ走らないと身動き取れなくなりそうなので、俺、がんばちゃいますよ」




 ◆




 おはよう御座います。

 俺は今、浮島(フロート)で一夜を明かして、海から顔を出した朝日を見ながらいつもの体操をしています。

 コントロール小屋で寝た大人たちは、まだ寝ています。

 昨夜は、みんなでしこたま飲んだようで船長とヘリのパイロットは二日酔いで潰れています。

 まるで死人のようだ。

 うちの関係者に、体調不良を訴える人間は皆無だけど、なんでだろう?

 後でハコにでも聞いてみよう、なんか核心に迫ると話をそらされているような……、ま~気にしてもしょうがないかな。


「もしもし、父さん、おはよう。起きてる~?」


『おはよう、昴。船酔いしてないかい?』


「大丈夫だよ。そっちの準備はどんな感じ?」


『ああ、ほぼ整ったぞ、基蓋(きがい)部分は最初の予定数が揃ったよ。およそ5Km四方分は直ぐに送れるぞ』


「了解、それじゃ5分後にゲートの傾斜角をマイナス90度で放り込んで、こっちはそのまま海に向けて直接放り込むからね、宜しく~♪」


『了解、じゃ、5分後に……』


 コントロール小屋の納戸(なんど)から、展開型ゲート(縦横2mシャッターの付いた厚さ1mのBOX)を引っ張り出して、浮島(フロート)の一番奥に引いて行き固定、フロートの角にある電源コネクターの防水用のフタを外してゲートに接続した。

 ゲートの側面にあるコントロールパネルで地下ドックの父さんの所と接続して準備完了。

 シャッターを引き上げて約束の時間になりました。

 ゲートの中から音がします。

 ヒューンと何か物が落ちてくる様な音です。

 すると……。


 シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン…シュポン……


 ゲートから銀色のトランクが次々と飛び出し、太平洋に消えてゆきます。

 海に流れて行ったトランクはしばらくすると勝手に膨らみだし、昨夜と同じ様に独りでに連結を始めるのでした。


 日本本土、東京からここまでは1950Kmあります。

 千分の一に圧縮されたゲートの中を、およそ2000m自由落下してきたトランクがその加速度のまま放り出される仕掛けです。

 このペースなら1時間もすれば第一期工事分は、終わっちゃうかな。

 メガフロントの地下ドックで大量生産されたトランクを、下向きにベクトル操作されたゲートに落とすだけの簡単な作業の方は、父さん、貴方に任せた!

 ちなみに、ゲートの傾斜角度のベクトルを0にすれば、2Km歩いて日本と往き来する事もできます。



 ◆



 朝7:30、みんながやっと起き出してきた。

 そして、みんな外に出て目を見開いてさけんだのでした。


「「「「「なんじゃこりゃ~~!」」」」」


「流石はBOSS。やることがデカイ♪」


「取り敢えず第一期工事は、5Km四方完了~。みんな、お疲れ様~♪ 朝ごはん食べたら帰ろうか。俺、ヘリコプターって乗ったこと無いんだよね」


 最初、みんなで走り回って騒いでいたが、ひとしきり騒いだら気が済んだらしく、冴島先生が一言。


「一夜城ならぬ、一夜島か~♪ 文字通り巨大浮島(メガフロート)の完成だね」


「一夜島………ワンナイトアイランド。それ良いですね♪ アハハハ。先生も忙しいんですから、早く帰りましょう。最後にもう一度びっくりしてもらう事も有りますから♪」


「ほう、それは楽しみだ。昴くんは期待を裏切らないからな~」


「俺は長いこと船乗りしてるが、海底火山の噴火以外でこんなにびっくりしたのは初めてだ。坊主、おめ~は偉くなれっぞ!」 


「ありがと~、じゃ、朝ご飯にしましょう」


 さっきのゲートは片付けて、コントロール小屋の地下3階にある開かずの間の電源を入れてきた。

 そこには移動用のゲートがあり、システムのコントロールルームが存在する。

 普段は、ハコかプレアデス達が見て管理しているから問題無いけど、警備員手配するまでは、海に沈降させておこうと思う。

 無人島にしておくと、勝手に住み着いて先住権主張するバカがいるからね。



 ………バタ……バタ……バタ……バタ……バタ……バタ……


「ヘリコプターってうるさいね~、これはヘッドホン無いと難聴(なんちょう)になるよ~」


「帰りは荷物も無いから、飛ばしていくぜ~」


「すいませ~ん、一度メガフロートの上を旋回して下さい。一寸(ちょっと)やることが有るので……」


「了解! オーケーだ」



 さあ、始めようか。

(ハコ、聞こえる。こっちはメガフロートを離れたから、一度沈めといてくれるかな)

([肯定。了解しました、メガフロートの沈降を開始いたします])



「オイオイッ、昴くん。島が沈み始めたよ。あれも君がやってるんだね?」


「そうです。放置したままにすると、勝手に住み着く(やから)が居ますから、海に沈めて置きましょう」


「此処は自由に沈降も出来るのか……、隠れ家には最適かもしれないな~」


「一応、台風やシケ対策なんですけどね。ホントの使い道はまだ秘密です♪」




 ◆




 ……バタ……バタ……バタ……バタ……パタ……バタ……


「昴くん、()いておきたいんだがあそこの発電量ってどのくらいだい?」


「え~と、メガソーラーの基準がおよそ3ヘクタール単位でしょ。メガフロートは今2500ヘクタールで俺の光変換素子の変換効率は60%だからおよそ3倍として……2400MW位かな……」


「! ……昴くん、その数字が間違っていなければ、最新の大型火力発電所を超える発電量だ。1つの都市、小国位ならまかなえる発電量だよ。いったい何に使うんだい?」


「種明かしをするとあそこには海中都市を作る予定なんです。豊富な電力と海底のレアアースや鉱物資源を提供するための前線基地として提供する代わりに、今度発足させる宇宙開発企業の打ち上げ基地として使用します」


「海中都市? 海底都市ではなく?」


「そうです。あのフロートは都市の基礎なんです。ビルを建てるんじゃなく海中にぶら下げる形を取ります。だからあそこは基底基礎部じゃなくて基蓋(きがい)、フタなんですよ。水圧に対応した建造物をブロック構造でどんどんぶら下げていけば、事実上どんな巨大建築物でも作れますよ。ただし海中にですが♪」


「そうか、其れでわかったよ。こんな南の日本の端っこに来た理由が……。まずは立地、隣の南鳥島には自衛隊の滑走路と気象庁の観測所が有って、国の監視と足の確保が出来ている。マ~昴くんには要らないかもしれないが一般的には交通手段が必要だ。そして日本で唯一太平洋プレートの上にある南鳥島は、日本海溝の東側に有ってプレート型地震の影響を受けないし、ここの海底は鉱物資源の宝庫だ。日本海溝が邪魔して思うように調査できていないようだが、プレートの露出している部分は宝の山だろうな。さらにここの気候、亜熱帯気候で降雨はあるがスコールで短時間だ。一年のほとんどが晴天で安定して光発電が出来る。昴くんが言っている宇宙開発にも立地は最適だ。赤道に近いからね」


 パチ、パチ、パチ、パチ、パチ


「正~解! それに深海の海洋研究はまだ謎のままですよね。フロートからなら無人の海中ドローンでの調査や定点カメラの設置なんかも出来ちゃいますよ」


「よし、海洋研究関係の知り合いを集めてセミナーだな。ハァ~また仕事が増えたか~……」


「海の下は先生に任せますよ。俺は宇宙(そら)の方に頑張りますからね!」


「あんまり頑張らないでくれると助かるんだがね、頼むよ昴くん」


「そんな嬉しそうな顔で言われても一つも説得力が有りませんよ、先生……」



 ……バタ……バタ……バタ……バタ……パタ……バタ……






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