1-3-07 コロンビア…レスキューミッション 21/5/13
20210513 加筆修正
8013文字 → 8870文字
世暦2003年1月16日の深夜
ヒュアデスを通して、NASAのライブ映像を送ってもらいみんなで見ている。
今日は、スペースシャトル・コロンビア号の打上げの日なんだ。
機長のマック・ライオットは、キャプテンの空軍時代の後輩である。
マギーさん経由でキャプテンへ手紙が届き、最近はずっと延期されていた打ち上げが今日になった事を知らせてくれた。
「ドキドキするよね。スペースシャトルの打ち上げを中継してもらってライブで見られるとは思わなかったよ♪」
『マスターに喜んでいただけるのであれば、これからも優先的に打ち上げ情報を押さえましょうね。でも、NASAではチャレンジャーの打上げ事故の後、相次ぐ不祥事が続き予算を削られてしまって厳しい様ですよ……』
「マックの手紙にもあったんだが、コロンビアは初飛行から今年で22年目のオービターだ。随分と機体の老朽化も進んでいてメンテナンスが大変らしい。前回の打ち上げ中止も燃料系の不具合が原因だそうだ」
「予算が無くて新しいオービターの開発が出来てないんだね」
「ウ~ン、俺の巻き込まれた新型オービター事故の影響も有るんだろうな。結局あれから新型の開発計画は、ストップしたままなんだ。当事者としては責任を感じるよ」
『現在の新素材や技術の進み具合なら、かなりのコストダウンも見込める筈なんですが、9・11から始まる今のアメリカの情勢では、スペースシャトルの打ち上げにお金を使うよりもミサイルや弾薬の予算に幾らかかるかの方で、思考が麻痺して居ますからね……』
「やっぱり戦争が始まっちゃうの?」
『戦争など始めたくはありませんが、何かしら国民が納得の行くだけのケジメを見つけなれば、もう収りは着かない所まで来てしまって居ますね』
「そっか~、殴られた方は殴り返さなくちゃ気が済まないんだろうけど、殴った手が痛いだけだと思うんだけどな~。ほんとに人間は肉体言語が好きだよね~、痛がりなのに……」
『マスター、もうそろそろ打ち上げのカウントダウンが始まりますよ』
「うん、ありがとう♪ ヒュアデス」
予定通り打ち上げは、無事に終了したように見えた……んだけど……何か途中で剥がれたな~……
「ハコ、今の打ち上げ変じゃなかった?」
[肯定。打ち上げには問題がなかった様に見えましたが、パージされた外部燃料タンクの接触を確認しました。外壁に一部剥落が見られますね。重要な部分でなければ良いんですが……]
「ヒュアデス、NASAに剥落した部分の映像を送って機体のチェックを指示してあげて! 必要ならキャプテンに上に行ってもらうから……」
『了解しました。結果は、後ほどお知らせいたします。それではこれで交信を終了いたします。皆様、お疲れ様でした』
「ヒュアデスもありがとね~。キャプテン、多分レスキューが必要になると思うんだけど早めに装備のチェックを始めとこうよ」
「BOSS、成層圏の外までレスキューに行くのかい?」
「うん、問題ないよ。俺が行ければ修理なんか直ぐなんだけど、多分許可が貰えないと思うから、レスキューにはキャプテンに行ってもらう事に成ると思うんだ」
「OK BOSS! ミッションプランを立案しよう。必要なことは聞いてくれよ、これでも元宇宙飛行士だからな!」
「うんうん、なんかドキドキしてきたね~。不謹慎かもしれないけどさ……」
「まあ、男は逆境に立った時に、縮み上がって震えているよりも、興奮して武者震いするくらいじゃないとな♪ 俺もこんな事で友人を失いたくないから、遠慮無くBOSSの手を借りるとしよう」
「任せてよ! 絶対に後悔はさせないからね」
えーと、今回のコロンビア号のミッションプランSTS-107は、15日間で80件ほどの各種実験が予定されている筈だ。
15日たったら否応なく無条件で下りて来なくちゃいけない。
空気や食料だってギリギリしか積んではいないだろうと予想される。
何か問題が有っても、地上に下りて来るしか解決の手段がないのだから。
船外作業がプランの中にあれば、ついでに機体のチェックも出来るんだろうけれど、応急修理用の資材だって載せているのか不安な状況だ。
多分自力での修理は無理だろうと思う。
[マスター、ヒュアデスから通信です。司令室のメインモニターに出します]
『こちら、ペンタゴンのヒュアデスです。先程、打ち上げ時の詳細な解析データと映像をNASAに送ったところ、びっくりしていましたよ。安全確認のためペンタゴンに機体撮影の指示をもらいたくて連絡してくる所だったようです。ついでだったので、損傷箇所の予測と再突入時のシミュレーションをつけてみました。同じデータをそちらにも送りますので参考にしてください。マスターの予想通り、このままだと再突入時に燃え尽きる確率は、98.6%を超えますね。軌道上での修復が必要とのコメントをNSAの相談役権限で添付しておきました、以上です。何か動きがありましたら又御連絡いたします』
「ありがとう、ヒュアデス。こちらでもレスキュープランを立案しておくよ、又ね♪」
[マスター、ヒュアデスの纏めたコロンビア号の機体データと再突入時のシミュレーションを見てみましょう。メインモニターに出します]
うんうん、まずは再突入のために減速の逆噴射をおよそ3分、進行方向にお尻を向けていたシャトルが右旋回180度回頭して進行方向に頭を向けた。
ここまでは、……問題なし。
そしておよそ30分後(映像は10倍速で3分に短縮されています)、高度120kmで大気圏に再突入(ここからの映像は通常速度)、このときの突入速度はおよそマッハ24と表示されている。
突入後6分間で機体の表面温度は1400度に達した。
高度75km付近で光跡を引いて輝きだし、再突入から11分後機体温度は1700度に到達、さらに4分後にコロンビア号は爆発四散して消え去った。
誰も一言も喋らない、言葉がでてこないのだ……ハコが口火を切った。
[マスター。これが、ヒュアデスが計算した生還率2%以下の予想映像です。ほぼこの通りになるのは間違いないでしょう]
「これ、NASAにも送ったんだよね? ハァ~…たぶん今頃は、蜂の巣を突付いたような騒ぎになってるのは間違いないね」
「BOSS、俺でも思いつくのは救出船を向かわせる方法か自力で船外に出て修理するかだが、現状はどっちも無理だろう。多分、NASAで今動かせるオービターはディスカバリーくらいの筈だが、どんなに頑張っても2週間で打ち上げまで準備するのは無理だ。自力で修理をするにしても、コロンビアには船外作業用のロボットアームが無い。命綱だけでの修理作業は厳しいだろうし、補修用の素材も禄に積んでないだろうな……」
[肯定。キャプテンの予想に間違いはないでしょう。現状での生還は100%望めません、絶望的ですね]
「うーん、修理キット持っていって、キャプテンに船外作業で修理してもらうのが一番現実的かな~。バスコンで乗り付けて乗員だけ回収するっていう手も有るけど、コロンビア号置いてきちゃうのも問題が有るでしょう?」
「最悪、乗員だけでも回収出来れば、コロンビアはNASAが後で取りに行くだろう」
[肯定。それよりも、簡易型でも宇宙船を個人所有していることがバレると後々国際問題にもなりますね。日本にはまだ法律はありませんが、正式には打ち上げには認可が必要ですし……、ま~ウチのはロケットじゃないので他に被害や落下物も出ないんですけどね]
「やっぱり今回は、こっそり行って、ササッと修理して、こっそり帰ってくるのがベストかな~。なるべく何処にも察知されないように……、あっ! ハコ~」
[何でしょう? マスター]
「あのさ、すご~く簡単な方法思いついちゃったよ! どうせ顔出しはNGなんだから、強化行動ユニットに修理用の改造してシスターズの誰かに行ってもらおうよ。位相差ステルス使いながら修理箇所に補修材吹き付けるくらいなら直ぐでしょ?」
[肯定。十分可能ですね。仰々しく宇宙船で乗り付けるよりも、小回りの効くプローブ単機で行って補修して帰ってこようという事ですね、こっそりと……]
「そう、こっそりと♪」
「ホウッ、こっそりとネ~……」
◆
「BOSS。俺ならBOSSのこのレスキュープランに、さらにバックアップを付けるな。その方が不測の事態にも対処出来るだろう? 俺が補給物資を積んでバックアップに付こうと思う。改造ハイエースを使わせてもらえれば1ケ月くらい余裕で張り付けるはずだ」
[肯定。補修材がどの程度必要になるかまだわかりませんし、その都度地上に戻るのも面倒です。キャプテンにはバックアップの第二陣として現地入りしてもらい、後衛に張り付いてもらいましょう]
「うんそうだね。誰とチームを組んでもらおうか~?」
……さっきからピンクの円筒が視界を行ったり来たり……チラチラと……
[ハイッハイッ! 私が行きますよ。マスター、私、ワタシ!]
「メローペ……。君、そんなに行きたいの?」
[肯定です、肯定。私、レスキューしたいです!]
「ウ~ン。キャプテン、どうしようか?」
「いいんじゃないか。色々経験したほうがプレアデス達も成長するんだろう?」
「それじゃ~第一陣は、メローペにお願いしようか。ヘマだけはしないようにね!」
[了解です~! メローペにお任せですよ、ウフフフ~♪]
◆
その頃NASAでは、シャトルへの連絡にNSAから届いた情報を伝えるべきか否か検討というより青い顔突き合わせて、頭を抱えているスタッフ達の姿があった。
NSAからのあまりに早い対応だったので、全ての打ち上げスタッフがまだそのまま残っており、事情を確認した管制スタッフと取っ組み合いの殴り合いになりかかっていた。
「完全な整備が出来ていない機体を打ち上げるから、こういう事になるんだろう。お前らどう責任を取るつもりなんだ? 7人の命がかかってるんだぞ」
「こっちは少ない予算をやり繰りして、なんとか機体を維持してるんだ。前回半年も延期になったからと急遽予定を繰り上げたのはそっちだろう」
「やめるんだ! こんな所で仲間同士いがみ合っていても状況は好転してくれないぞ。なんとか無事にシャトルを地上に下ろす為の知恵を絞り出すんだ。兎に角、出来る事をピックアップしてくれ、二週間で出来ることは多くは無いぞ」
今回のペンタゴンの早すぎる対応。
シャトル打ち上げからまだ一時間も経っていないのに届いた、完璧なデータとシミュレーション。
そして、それらのデータを算出したNSAの相談役『ヒュアデス』とは何者なんだ?
兎に角、シャトルには正確な情報を伝えて、パニックを起こさないようにフォローしなければ……。
誰が連絡するんだ?
……やっぱり俺がやるしか無いのか、ハア~胃が痛い……。
そんな緊迫した状況の中、シャトルとの通信が繋がったようだ。
その時、水を打ったように管制センターからは音が消えた。
『ザッザザー、こちらコロンビア。機長のマック・ライオットだ。NASA、応答を乞う』
「此方、NASA管制センター、感度は良好だ。マック、3時間ぶりだな。気分はどうだい?」
『上々だ、やっぱり宇宙は良いな~。打ち上げの時にチョット変な振動が有ったが機体内に異常は見られない。それにしてもそっちはイヤに静かじゃないか? いつもならまだ賑やかなのに、みんな寝るにはまだ早いだろう……』
「ァァウン、マック、落ち着いて聞いてほしい。打ち上げ時にコロンビアの外壁に損傷を受けた様だ。現在、損傷箇所の補修プランを立案中でね、心配しないでそちらは落ち着いて予定通りミッションプランの消化にあたってくれ……」
『ツッ!、了解した。詳しい状況が分かり次第連絡を頼む』
「了解した。落ち着いて行動するように船員にも伝えてくれ」
ううう~、このままじゃ落ちるなんて言える訳無いだろ~、ドウスル、ドウスル……。
ミッションディレクター(以降MD)
「迎えのシャトルを打ち上げたらどうだ?」
メカニックチーフ(以降MC)
「このままじゃ間に合わん。シャトルの整備はなんとかなるが打ち上げ用の補助ロケットは、海に落ちたのを回収して整備していては絶対に間に合わん。予備のSRBを使うにしても外部燃料タンクは、ほとんど燃え尽きてしまっているから一から作り直さなきゃならん。どんなに頑張っても、2ケ月は掛かるぞ!」
MD「そこを何とか出来ないのか?」
MC「老朽化しているにしても、オービターは機密情報の塊なんだ。外注に出す訳にもゆくまい。打ち上げた途端にドカンといったら、チャレンジャーの二の舞だぞ。ミイラ取りがミイラに成りかねん。この緊急時に新しい棺桶打ち上げてどうする?」
MD「何とか降下までの期間を伸ばせないのか? 国際宇宙ステーションはどうだ?」
MC「去年の11月に組み上げとスタッフの交代でエンデバーで上がってから、組み立て作業は止まったままだろう。長期滞在組は居るにはいるが、ギリギリ3人分の物資しか無いところに、7人で厄介になったらISSの3人の生存にも関わる。許可できん!」
MD「ロシアに頼んでロケット打ち上げてもらったらどうだ?」
MC「ソユーズは3人乗りで、打ち上げには2人乗るから物資は少し持って行けるかもしれんが、人は1人しか下ろせんぞ。それに誰がロシアに頼む? お前、上に掛け合う度胸あるか?」
MD「助けられるなら掛け合うが、1人しか助けられないと成ると……」
MC「……手がネ~な……。民間で有人ロケット持ってるとこなんて聞かね~しな~」
MD・MC「「八方塞がりか…」だな…」
◆
コロンビア号の打ち上げから、すでに5日が過ぎようとしていた。
NASAでは打つ手が全く無く、未だ救出の見通しは立たない状態である。
CIAでは、今回のコロンビアの損傷もテロではないのかと疑っている様子だ。
その大きな理由が、船員の中にイスラエル空軍のイラン・ラモーンが含まれていたからである。
だが、NSAの分析では、たまたま巻き込まれた運の悪い軍人という評価である。
「ヒュアデス。こっちは準備が整ったから、今夜0時にミッションを開始するよ」
『了解いたしました。ですが本当に公表はしなくてよろしいのですか?』
「うん、コロンビアが地上に下りた後は、少し騒ぎになるかもしれないけど、無用なトラブルは遠慮したいからね。今回は、隠密裏に事を運んで、事が済んだら『な~んだ、心配して損した~』って感じにおさまってくれると有り難いかな」
『大山鳴動して鼠一匹ですか……。マスターは、謙虚過ぎるような気がしますが……』
「BOSS。この騒動が終わったら考えて欲しいんだが、俺達で『新型オービター』作って打ち上げる民間組織を作らないか? 俺がロケット好きの人間やアストロノーツOBの友人に声を掛けて、デブリの除去や今回みたいなレスキューを表立ってできる様にすれば、俺達だって胸を張って表に顔が出せるし色々と交渉も出来るだろう。それに、コソコソ隠れて活動するのも辛くなってきてるようだしな」
[肯定。キャプテンの言う通りです。水素発電装置のユニット提供の発表から既に半年が過ぎて、譲さまは協会の設立役員になっておりかなり多忙なようです。希美さまは、会社の経営の他、全世界から集まって来る情報の掌握にもう少し時間がかかるようです。確度の高い経済予測まで出来るようになってきているようですが、現在の天河家は経済的な問題からは開放されつつありますので、入れ物の方が落ち着いたら、信用できる人間にそちらを任せてしまうのも一つの案です。天河家のライフワークである天文、特に宇宙開発の方に大きく舵を切るのも良いのではないでしょうか……]
……この星を逃げ出す事は大前提として、せめて近傍の星域にセーフハウスを構築して緊急時にやり過ごす位の事が出来るように準備を始めないといけません。
一々宇宙船で行き来しなくてもゲートを使えば移動できますし、ほんとにマスターは良い物を発明してくれました……。
「民間の宇宙開発会社か~、確か個人での星の所有って法律無いからまだフリーなんだよね」
「そうだ! 国際宇宙法は国家が月とその他の惑星及び宇宙空間を利用するにあたっての協定だが、今の所は企業や個人には該当しない。今までは、有人ロケットを打ち上げて宇宙開発するなんて無駄金使う企業も個人も居なかったってだけなんだがな。ま~国連辺りからは、クレームが着くかもしれんが無視すれば問題ない……」
[肯定。キャプテンの言うとおり、実現しているのは企業として人工衛星の打ち上げまでですね。人工衛星に関しては厳密な取り決めが有るようですが、それは失敗した時のスペースデブリになるリスクまで含んでの事なので所属する国家の管理責任となります。日本も民間の人工衛星を利用していますが打ち上げは文部科学省管轄で宇宙開発事業団が一手に引き受けていますね。年内に他2団体、宇宙科学研究所と航空宇宙技術研究所を吸収して独立行政法人を発足させる流れの様です]
「日本にも、アメリカのNASAみたいな組織ができるんだね♪」
「ほう、ジャパンでも本格的に宇宙に乗り出すのか。俺たちもウカウカしてはいられないな」
[肯定。日本が一つに纏まってくれるなら、今後交渉する場合も一度で済みますね。但し、これからは日本も法律の整備を始めるでしょうから、今のうちに既成事実を作ってしまいましょう。後からとやかく言われる前に.現実を見せつけて世界を黙らせる手です。現在の地球の技術で再現できそうで出来ない新技術の構想を新案特許として申請中ですので、もう少し希美さまに頑張って頂いて、昴さまには新基軸の地球製宇宙船を作って頂きましょう]
「あの迫力ある打ち上げは魅力だけど、ロケットって色々と無駄に問題も多いからね、特に燃料とか。なるべくクリーンなのを考えるよ。もう構想は有るんだけどね~、この間出来た位相差空間ゲートで最初の失敗の応用でさ、放り出された時の方向と距離をコントロールしてやれば短距離転移に近い移動ができると思うんだ。後はそれを繰り返せばハコ達が使う空間置換とは違う推進法として使えると思うんだよね。この方法だと断続して空間を飛ぶことで、継続した空間圧縮が起きないからほとんど熱を出さないと思うんだけど、実際には実験してみないとね」
[肯定。でも少し乱暴な方法ですね。位相差空間に入ってワザと失敗して空間から弾かれた反発力で飛ぼうっていう事ですか? ……でも空間の反発エネルギーは強力ですから、上手く使えば随分と省エネで万能な移動方法になりますが、一歩間違えると純粋融合を起こす可能性も有りますので慎重にお願いしますね]
「おいおい、話がドンドン脇道にそれていってるぞ。まず、コロンビア号のレスキュープランを成功させる事に集中しようじゃないか。今回のプランをおさらいしておくぞ、いいな」
1、第一陣としてメローペが改造されたAI用移動強化ユニットで軌道上に上がり、コロンビア号の船体をスキャニングし破損状況の分析を行う。
2、そのスキャンデータを元に、第二陣としてキャプテンが改造ハイエースで資材と補給物資を持って上がる。
3、その後、キャプテンの運んだ資材でメローペが補修作業を行い、キャプテンは不測の事態に備えてサポートを行う。
「これで、合っているかい?」
「うんうん、その手順で大丈夫だよ。一応、ここで装備のおさらいもしちゃおうね。まず今回メローペの装備する移動強化ユニットは、以前の移動と情報収集に特化したユニットから、パーツを組み替えれば何にでも使える万能ユニットに進化してるよ。今回は、スキャニングに特化した空間機動用パーツで上がってもらって、必要な補修を行う為のナノマテリアル噴射ガンとマテリアルタンク、マテリアルの焼き付け用レーザーを装備したマニピュレーターの付いた修復補助パーツに換装してもらうよ。キャプテンが今回使う改造ハイエースには、ハコがリモートでナビゲートして軌道上まで行ってもらうね。帰りはメローペがナビゲートして帰ってきてもらうよ。それでね、今回使う改造ハイエースも万能ユニット化したんだ。本体は今までどおりハイエースとして使えるようにして、前後から外装パーツを装着することで、多目的に使えるようにしたよ。前部外装パーツには、船外活動用予圧室を付けたから、キャプテンも外に出られるし、最悪の状況の時は、そのままコロンビアの予圧ブロックにドッキングさせて、乗員を乗せて上げられる様にしたよ。後部外装パーツには、修理用の資材とメローペのパーツ換装システム、コロンビア慰問用の各種アイテムを載せてあるよ。キャプテン、友達に会いに行くんでしょ? 序でにお土産持っていってね♪」
「うっ! BOSSにはバレバレか。地上では話も出来ないからな、チョット顔を出して来ようと思う」
[肯定。キャプテン、強化スーツの装備チェック時に認識阻害用の機能があることを確認していましたね。その時点で、私とマスターには筒抜けですよ。補足しておきますが、その機能を使っている時は、人も機械も誤魔化せますが直接の話は出来ません。部分的に解除することも出来ますが生首が空中に浮いている様な外観になりますのでご注意下さい。心臓の弱い方の前では絶対解除しないことをオススメします]
「それじゃ何か? 不用意に挨拶に行ったら、ズドンと撃たれるかもって事か~……、マックが空軍時代の符丁を覚えててくれれば良いんだが……有る意味賭けだな、こりゃ~」
「間違って撃たれてもスーツには傷も付かないから安心だけど、跳弾で他に被害が出ないように注意してね。でもシャトルに拳銃なんて持ち込めるの?」
「了解だ、BOSS。私物としては持ち込めないが、確か船内装備の中に数丁有ったはずだ。余程のことが無ければ使用はしないが、今回はその余程の事になるだろう?」
[肯定。ふむ、撃たれても文句は言えないかもしれません。その時は諦めて撃たれて下さい]
「おいおい、勘弁してくれよ♪」
 




