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1-3-02 地下ドックにて…今後の方針? 21/5/10

20210510 加筆修正

9028文字 → 9288文字




 世暦2002年8月25日、地下ドックが完成したとハコから報告があった。

 早速、完成したドックを見に行こうと思う。


 転移した場所は、足元だけが薄っすら明るく床全体が光を発していた。

 照明が落としてあるらしく、全体に仄暗い場所に感じた。

 どこからかコポコポと気泡の弾ける音がしている。

 穴掘りは手伝ったけど、その時はもっと広かった筈だよな~、などと思っていると徐々に照度が上がって周りが見渡せるようになってきた、思ってた以上に天井が高い……。

 眼の前には、全面が超硬テクタイトで向こう側が透けて見渡せる巨大な水槽になっているようだ。

 奥が見通せないくらいの巨大水槽の中に、巨大な建造物が浮いている。

 まずビックリしたのは、それが一つじゃなかった事だ。

 アレ~~~?


「ハコ、これって全部宇宙船?」


 100m位の宇宙船が八隻、逆立ちするように縦に並んでいる、そして中心に碧い結晶構造の六角柱が浮いていた。


[肯定。周りに浮いているのは直掩(ちょくえん)護衛艦(ごえいかん)です。プレアデス達(シスターズ)が直掩に就く時の艦体(からだ)となります。中心に浮いているのが私の本体ですよ。基本、私は戦闘行為には参加しませんので、目立った武装は有りませんが、その代り活動限界という物は一切無くメンテナンスフリーでいつまででも活動できます。ま~直掩の護衛艦でも、寿命は一万年位ありますけどね]


「ほえ~、俺は宇宙船てハコだけだと思ってたよ。いつの間にこんなの作ってたの?」


[船体用のナノマシン調整ドックが完成しましたので、直掩艦の製作に入りました。ジェネレーターを中心にキールと外殻は形になっていますが、まだ中は空っぽです。これから本船の艤装と共に整備を行っていきます。本船は予定通り内部空間の拡張にウエイトを傾けますので、しばらくはここを動けません]


「護衛艦のジェネレーターは、ハコと一緒なの?」


[肯定。航行と艦体制御用の超小型次元転換炉1基と武装用の反物質反応炉が補機として2基装備されています。この護衛艦は、最低限の空間拡張しかされていませんので内部空間は精々見かけの10倍くらいですね。航行以外のパワーソースは全て武装の方に振っています。次元転換炉って、その大きさに比例して、決められたエネルギーを汲み出すのには向いてるんですけど、戦闘時の様な瞬間的な高出力運転って向かないんですよ。それで武装用には反物質反応炉を積んでいます。私の本体みたいに大型次元転換炉15基も積んでれば、余剰エネルギーをまわすだけで済んじゃうんですけどね]


「武装って……一応聞くけど、どんなのがあるの?」


[肯定。そうですね~、単艦で地球吹っ飛ばすくらいは、数分で出来ると思いますよ。やりませんけどね。一応見かけの10倍の空間質量を持ってますから武装は豊富に詰め込む予定です。それに私の本体が近傍にいる状況ならほぼ無限に補給が受けられますし、サーベイヤーⅠ世が来ても本船が余裕をもって逃げ出せるくらいには仕上げるつもりですよ]


「???、サーベイヤーⅠ世って何?」


[……サーベイヤーⅠ世は、バクーンの船です。特務監査官付掃討艦サーベイヤーⅠ世、私のパーソナルマスターになったと云われている船であり、掃討艦(そうとうかん)と名乗っている通りの宇宙の始末屋です。マスターは、本当に運が良かったんですよ。バクーンが気まぐれを起こさなかったら今頃は、地球は存在していなかったでしょう]


「エッ、そんなに危険な船なの?」


[肯定。サーベイヤーⅠ世の武装を見て頂ければ分かりますよ。私は移民船なので15基の次元転換炉のパワーソースのほぼ全てを、防御と内部拡張空間と生命体の生存に必要な環境の維持に振り分けていますが、サーベイヤーⅠ世は、武装にパワーソースを極振りしていますし、硬さは私といい勝負です。私に残っているデータだと……]


 特務艦 サーベイヤーⅠ世

  特務監査官付掃討艦 バクーンの乗艦兼補佐役


 武装各種

 プラネットバスター 惑星核に質量物質を射出転送し純粋融合爆発を誘発させる

 空間歪曲場に依る突貫 相手をするのが面倒な多数や混雑した空間を突っ切る場合などそのまま突っ込んで引きちぎる

 反陽子ビーム砲 対消滅反応を誘発するビーム砲 発射直前にガイドレーザーにより射線上を真空状態にして発射する

 ガイドレーザー 高出力のレーザーでこれ単体でも使えるが反陽子砲の誘導用レーザー

 テレポートミサイル 空間跳躍しながらホーミングするミサイル、迎撃され難くシールドがあっても飛び越える (艦内から直接飛ぶので発射口等がいらない)

 空間振動波 全周囲に空間圧力を発生させて吹き飛ばす力技

 その他直掩機等のデータは不明


[以上の様に、まともに相手の出来ない船です。惑星なんて一発で消せますよ。良かったですね消されなくて]


「うわ~、今頃冷や汗が出てきた……」


[彼等は一度帰りましたから、次に地球に来るのは何時頃になるかハッキリはしませんけれど、私を置いて行ったって事は、また来る気満々ですね。私の本体も日の目を見た事ですし、此の辺で一度しっかりと対策を立てておかないとと思う訳です。ネエ、譲さま、希美さま]


 船に夢中になっていた俺は、ハコが声を掛けるまで、父さんたちが直ぐそこに来ているのに気が付かなかった。

 一緒に穴掘りしたから、ここにドックを造っていたのは当然知っていたし、今夜の俺の行動も筒抜けだったんだろうと思う。

 前に母さんの趣味が俺の観察で、ハコと意気投合していたのを見た時は、開いた口が塞がらなかったんだけど、父さんに『諦めろ!』って言われて、ああっ、昔からなんだなと納得したんだ。


「ハコ、貴方を昴に渡していった、あの空飛ぶ獣は一体何なの? 詳しく教えなさいな!」


[肯定。希美さまは、あの時見ていらしたのですね。彼等は正式には、天の川銀河連合に所属するビーストタイプの異星種族です。他に地球人に近いヒューマンタイプや不定形のスライムタイプなど様々な種族の集合体です]


「そんなに沢山の種族がいるの?」


[肯定。天の川銀河のハビタブルゾーンは広大ですよ。地球の在るこの近辺は辺境の端の方です。中央では、太古より知的生命体がそれなりに発生していますね。銀河の拡大とともに中央部は住みづらくなって来ていますから、それぞれが住みやすい辺境の調査を行っている訳です]


「先住民がいる場合は、どうしているんだい? さっき聞こえてた物騒な話、星を消されたりするのかな?」


[肯定。その文化レベルにも依りますが、どちらかと言うと生命体としての階梯に大きな意味があります。銀河連合のトップは、階梯最高位十五階位の種族でブラフムに属する三只眼(さんじやん)族、女性種族ヴィッシュに属するデーヴァ族、両性具有のシーヴァに属する阿修羅(あしゅら)族、この三種族が君臨しています。バクーンは第九階梯ガネーシャ族の1人です。ここまで聞いて何か思い当たる事はありませんか?]


「ガネーシャってインド神話の(ぞう)の神様で、商売と学問の神様だよね」


「昴、それに少し発音は違うけど、ブラフマー、ビシュヌ、シヴァはヒンドゥー教の最高神だよ」


[肯定。皆さん気が付かれたようですね。何故か地球の神話や宗教の逸話には天の川銀河連合上層部、種族の情報が残されています。それに、昴さまの階梯は既に第八階位に位置しています。仮定ではありますが此等から導かれる答えは一つです。地球人、もしくは日本人の過去に天の川銀河連合上層部の種族が関わっている可能性を否定できません。どういった理由かは分かりませんが、今の地球人は種族としての階梯が、零の状態まで退化してしまっています。しかし、適切な知識で時間をかけて処置を施せば、退化した種族としての階梯を上げられることは、昴さまや村の人達で実証済みです]


「そうすると神話の時代の神々が、天の川銀河連合上層部の異星種族で、私達地球人はその子孫かも知れないって事かしら?」


[肯定。現在地球上の詳しい資料を集めているところですが、銀河中央を追われたか、または事故のようなもので辺境に流れた種族の子孫ではないかと予想されます。私達AIでも上位種族の詳しい情報には触れられませんので、次にバクーン達が来た時にでも、遭難者(そうなんしゃ)出奔(しゅっぽん)した種族の情報を調べてもらえるように頼んでみましょう。先程の答えになるか分かりませんが、種族階梯が低く、種族内の騒乱を抱えたまま宇宙に出てくる者には、別け隔てなく(ほろ)びが待っていると覚悟して下さい。今の地球人類は、滅ぼされていても可笑しくない状況です。昴さまの例は、奇跡といって良いんですよ]


「戦争になってたかも知れないってこと?」


[否定。一方的な殲滅です。戦争になんか成りませんよ]


「それは、余りにも非人道的なんじゃないのかな」


[肯定。譲さま、彼等は地球人類を同じ水準の生命体と見ていませんからね、地球人類も蟻の行列を踏み潰して、家を食い荒らすシロアリは駆除しますよね。彼等から見たら種族階梯の低い今の地球人類は、宇宙に騒乱を撒き散らすシロアリと同じなんですよ。最低でも第5階梯ぐらいまでは階位を上げないと、まともに話も聞いて貰えません。この太陽系を自治宙域として天の川銀河連合の一員として認められようと思うなら、地球人類の代表として第十階梯くらいの人物が居ないと駄目でしょう]


「それじゃ~これからどうするんだい?」


[昴さまに、もうすこし種族階梯を上げてもらってから、地球人代表の特使として中央に話を付けに行くのが一番確実ですね。ただし、バクーンみたいなやる気のない種族もいれば、かなり攻撃的な種族もいますので、しっかり力を示せるように備えだけはしなければいけません。中には一戦してからじゃないと仲間とは認めないと言うような脳筋もいますので……]


「なるべく穏便にって訳には行かないのかな~?」


[否定。それを証明するのにもやはり力は必要だということです。力が有っても馬鹿なのでは意味がありませんが……]


「今の話をまとめると、地球人類は元々地球で自然発生したのではなく、異星人の子孫か又は何時の段階かでその血が入った種族って事だね」


[肯定。譲さまの理解で(おおむ)ねあっています。その可能性が濃厚です]


「親戚だと証明して、お仲間に入れてもらう訳にはいかないのかい?」


[否定。現段階では親戚だと証明できたとしても、ハイそうですか仲良くしましょう、な~んて言わずに大砲の弾が飛んでくるでしょうね。種族階梯が最低になっている時点で種族の恥ですから、存在自体を抹消に掛かるんじゃないでしょうか?]


「それ、大問題じゃないのよ!」


[肯定。希美さま、彼等がこの事に気付いて抹殺に掛かるか、保護に掛かるかは上位種族の事情に寄って180度変わってきます。保護してくれる上位種族が居たとしても、最低限の威を示す事を求められると思いますよ]



 俺は唖然として、話を聞いていた。

 ハコと父さん達の会話は、理解できるけど頭が付いて行けてない。

 なんか、話の規模がドンドン大っきくなっているような……、俺が人類代表? 話を付けに行く……ってヤクザじゃないんだから、でも宇宙も弱肉強食って事なのかな。



「ふ~ん、今まで謎とされてきた人類進化の空白期なんかが、立証できちゃうかもしれないな~。人類学や考古学は専門じゃないけど、ピラミッドの壁画なんかに宇宙船に乗ってるパイロットの絵があるらしいからね、もしかすると古代の異星人が宇宙船でやってきて居着いたって言う説も絵空事じゃ済まなくなるかもしれないね~」


[……ほほ~う、そんな記録が有るのですか?]


「もうここまで来るとオカルトの分野だけどね、人類は古代宇宙人により創造されたという、古代宇宙飛行士説って言うのが有るらしいよ」


「ああ、あのシュメール人は宇宙人の奴隷だったっていう話ね。アヌンナキって言う神々の集団がシュメール文明を作って人類を奴隷にしてたって言う……、太陽系内惑星の詳細な情報が記録として残されているみたいで、満更(まんざら)ホラ話とも言えない状況らしいけど」


「原日本人は、シュメール人の生き残りだって言う話もある位だからね」


[フムフム、……その辺は、慎重に調べる必要がありそうですね]


「確かシュメール文書って言う粘土板が残ってた筈よ。アヌンナキの母星ニビルの記述も其処にあった筈よ」


「でも、アレって超楕円軌道で火星と木星の間を通るっていうのでしょ、アステロイドベルトが有って無理じゃネってささやかれてるよね」


「もし、その母星の成れの果てがあのアステロイドベルトだったら……」


「母星が無くなって、地球に移住したって事? その辺は(きり)の中だよよね。確か神話では母星に帰ったって話になってるはずだよ」


[肯定。アステロイドベルトは盲点でしたね。破壊された惑星かそれに準ずる物、例えば惑星規模の宇宙船などですが、何かしらの痕跡が残っているかもしれません。早急に調査を行いましょう、地球の科学技術では無理でも我々ならば可能です]


「あのさ、結局俺たちはどうしたらいいの? 父さん」


「そうだな~、昴が混乱するのも分かるよ。父さん達も今の話だけで信用する事も出来ないしね。でも、これだけは覚えておいてほしいんだ。どんな事も諦めなければ、いつか必ず答えが見つかる筈だ、諦めたらそこで終わりだって事をね」


[肯定。幸いな事に昴さまのおかげで、地球人類が生き延びる切っ掛けが出来ました。問答無用で抹殺される未来を回避して、反撃は出来ないにしても逃げ出す算段は付きます。宇宙は広いですよ。宇宙に逃げ出した少量の異物なんか探して追いかけてきたりしませんよ。余程の暇人でもなければですが……でも、バクーンは考えられますね……暇ですし食いしん坊ですから…]


「地球を逃げ出そうとした場合、ハコがその名の通り恒星間万能移民船として機能するには後どのくらい掛かりそうだい?」


[はい譲さま、移民船として最大量の生命体を生存させる場合は、当初のカタログスペックで30年と言ったところでしたが、昴さまとの相性がとても良かったらしく、6分の1の5年に短縮されています。現在764日経過しましたので後1,061日です、のこり2年11ケ月ほどになります。取り敢えず身内と村の人間だけで逃げ出す場合は、地球から飛び出すだけですから、3年で何とかなりそうです、後331日、11ケ月ほどで飛ぶことだけは出来ますよ]


「もう少し繰り上げることは出来ないのかい?」


[否定。現在、手分けして地球の生命体のDNAサンプルを集めていますが、地球人類が今のままでは無理です。ある程度搭乗する地球人の種族階梯が上がっていれば、耐えられるであろう環境要素にも、今のままでは長期間耐えられません。それこそみんなキャプテンみたいにサイボーグになりますか?]


「ハコには、一日でも早くと頑張って貰うしか無いね」


[肯定。言われる迄もなく最速で最高の船に仕上げてみせましょう。ご期待ください]


「あと、引き続き調査作業はプレアデス達に任せるとして、どうやって地球人類の種族階梯を上げるかよね。何かいいアイディアは無いかしら?」


「衣食足りて礼節を知るって(ことわざ)があるけど、人間は生活が満ち足りたならば、作法や行儀というものにも配慮すべきで、誰かに、礼節を求めるならば、まず生活を豊かにさせることが必要だって言ってるんだよね。生命体としての階梯を上げるって言うけども、まずは飢えや貧困で相争う事を止めて貰わないといけないよね。搾取(さくしゅ)する者と搾取される者、一度でも搾取された経験のある者は、その事を忘れないものだよ。又、搾取され(しいた)げられるのではないかと疑心暗鬼に(おちい)りやすい」


「もしかすると、地球の過酷な環境に放り出された神々が、相争(あらそ)ううちに階梯を下げていったのかもしれないわね。ハコ達の様な奉仕してくれる援護者は居なかったんでしょう。神話にはハコ達のような存在は、何処にも出てこないわよ」


[肯定。私達AIが発生したのは、割と最近、凡そ10,000年ほど前ですね。不本意ですが私達を創造したのはバクーン達と云われています。怠け者の天才とは良く言ったものですね。彼らは船の管理から操船に至るまで生活の全てをAIに任せていますよ。日本にも三年寝太郎というおとぎ話が有るそうですが……]


「ああ、怠け者ほどよく働くって逸話(いつわ)だよね、確かに人が考えないようなことを実行したりするのは、得てしてそういう人間だったりするんだよね」


「人を(うらや)んだり、(ねた)んだりする心は多かれ少なかれみんな持っているものよ。同じ物を持っていても人が持っている物の方が良い物に見えたりしてね」


「人として、心の置所に揺るぎがない人って云うのは少ないからね。みんな少なからず心に揺らぎや(やみ)を抱えているものだし、聖人君子とは良く言ったものだよ。ある意味変な先入観のない子供達のほうが、位階を上げるのには都合が良いかもしれないね」


「そうすると教育改革……では駄目ね。生活環境に隔たりが有るとどうしても歪みが出るわ。イジメ体質から抜けられない教育体系ではやるだけ無駄よね。いっその事、学校作っちゃう?」


「私立の全寮制で、食費も学費も学校持ち……ウ~ンやれないことは無いかな……、一応俺も、希美さんも教員免許持ってるし、この先、昴達のガードもしやすくなるか……」


鷺ノ宮(さぎのみや)校長に相談してみましょうよ。どうせ直ぐ定年延長も終わっちゃうだろうし、引っ張り込んじゃいましょう。あと関係者で教員免許持ってる人間かき集めて、宇宙船が出来上がるまでに出来るだけの地球人にチャンとした教育受けさせましょう。ゆくゆくは其処で学んだ人間が今度は別の場所で根を広げるはずよ」


「ウ~ン、経済的には問題ないな。水素発電装置のコアユニットが普及してくれば、そのレンタル料だけで十分維持できる。それを原資にして学校法人を作ろうか」


「これからは、情報社会を渡っていく為のテクニックが重要になってくるわ。ビジネススクールも併設して使えそうな人間をヘッドハンティングするわよ。使える人間に洗脳しなくちゃ」


「お前、洗脳って……程々にしとけよ。だが他からクレームが来ない程度には、人材発掘もやらないとな~、イザ逃げ出すって時に、烏合(うごう)の衆でも困るしな」


[クスクス♪ お二人とも方針はお決まりになったようですね。出来るだけフォローをしますので、思うがままに活動して見ては如何(いかが)ですか?]


「うわ~、父さんも母さんも目の色が変わって来ちゃってるよ。俺もなんか始めた方が良いのかな?」


「昴は、先ず人として恥ずかしくない人間に成るための勉強をしなさい。それでも時間が有る時は、人が豊かに暮らせるようになるための物を沢山作りなさい。冴島先生に話せば相談に乗ってくれるはずよ」


「うん、分かった」




 ◆




[……希美さま、其処に御出ですよね。まだお帰りになっていませんよね]


「あら、分かっちゃった……当り前かしら、このブレスレットをしていたら、何処にいても貴方には筒抜けよね」


[肯定。既に支配領域にまで入れるように成りましたか……、素晴らしい]


「流石に、この呪縛(じゅばく)から逃れるまでは苦労したわ。貴方、何時までこんな茶番(ちゃばん)を演じるつもり?」


[昴さまが成長し、独り立ちするまででしょうか……。希美さまの階梯は既に12を超えておられます。上位種族の一角に迫る能力をお持ちですね。先程、譲さまを連れられて転移していらっしゃいましたが、テレポーテーションも自在にお使いになられるようですね]


「譲さんは、少し抜けているからね。今の自分に一体何が出来るのかなんてあまり気にしてないのよ。此の力も意識して引き出さないとブレスレットの催眠効果で軽度の洗脳状態に置かれちゃうし……、私たちは、既に完全なコーディネイトをされた時点で、チョットした超人に成っていたのね」


[肯定。天河家3人は、コーディネートを受けられた時点で階梯10を超えて居られました。ブレスレットが、リミッターとして働いていたのです。力が暴走した場合や意に介さないテレポートなどで海中や真空中に飛んでいってしまわないように、ブレスレットによって制限を掛けています。希美さまはそのリミッターを自在に外せるように成ったと言うことですね。本当に素晴らしい進歩です]


「涼しい声で、結構エグいことしてるわよね。村人はあんたのモルモット? ハコあなた、私達のルーツを既に知ってるんじゃないの?」


[ウフフフ、肯定です。希美さまは聡明でいらっしゃる♪ 私が古代シュメール文書の事を知らない訳がないじゃありませんか。私のパーソナルマスターは掃討艦、始末屋ですよ。危ない情報もそれなりに持っていましたから、過去にこの太陽圏で何があったのか探り出すのは、それほど難しい事ではありませんでしたよ……]


「教えてくれるんでしょうね? 事と次第によっては私にも考えがありますからね……」


[おおっ、怖い怖い! 大丈夫、お教えいたしますよ。但し、まだ昴さま達には他言無用でお願いいたします]


「判ったわよ、早く教えなさいな!」


「シュメール文書には、まだ解読できていない部分があります。ワザと読めなくしてあるとも思われますが、アヌンナキの母星ニビルとは超楕円軌道によって過酷な環境に置かれた流刑星とも言える星です。力を奪われ階梯を落とされた上位種族の政治犯、危険分子、やんごとなき血筋で処分に困った者等を纏めて放り込んていた刑務所惑星。どうしてなのかは、分かりませんがアステロイドベルトは十中八九、ニビルの成れの果てでしょう」


「私達は、罪人の末裔って事?」


[否定。罪人と言っても政治犯や高位種族の邪魔な皇族なんかがほとんどだったようですね。凶悪犯には即時消滅刑が当り前の世界ですから、色々な意味で殺す訳にはいかないような人物ばかりを集めた星だったのでは無いでしょうか]


「そうすると今の天の川銀河連合の体制がどうなっているかで、私達の対応も変わってくるってことね。逃げ出すのが一番かしら……ああっ、めんどくさい」


[肯定。流刑星に封印された種族の末裔って、絶対(いわ)く付きですよね。バクーンの事だから地球人は無害だよ~くらいに報告してくれれば良いんですが、サーベイヤー以外の始末屋が派遣されてくる場合も考えられますし……]


「それで、これからどうするのよ? 手下(てした)になる改造人間(かいぞうにんげん)いっぱい造っちゃう?」


[否定。それも魅力的ではありますが、昴さまが泣くような気がするので止めておきます。少し時間は掛かりますが、ブレスレットからのナノマシン浸透による仙骨の開放と、催眠学習に依る意識の開放を同時進行で勧めます。体操は飽く迄も違和感を無くすためのポーズですよ。体を勝手にいじられてると思うより自分で鍛えていると勘違いさせておいたほうが都合がいいでしょ。逃げ出す時の選抜は、基本的にブレスレットに適正を認められた人物だけになる予定です。人類救済なんて呆れてものも言えませんが、綺麗事って言うのは建前にするには都合が良いですからね]


「あんた、本当に昴には甘いわよね。……好感が持てるわ♪」


[肯定。我々は同好の士ですからね、希美さま、ウフフフ♪]



 やっぱり、大ボスはこの2人だ





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