表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/251

4-4-05 地球への帰還3…一家団欒?

少し間が空いてしまいました、すいません。

今後は0の付く日が更新日となります。

少しボリューム多めにして行きますのでお許しください。


5561文字




「にいちゃッ、ア~ン♪」


「あ~ん、うんっ美味しいね~。……天音(あまね)は、まだ2歳になったばかりなのに随分としっかりしてきたんじゃないの」


「そうでしょう、もう8才児の知能レベルは超えちゃってるのよ。脳が柔らかいって凄いわよね~」


「ッ……なんでそんな事になってんの? 少し異常だよね……」


「そんなに吃驚することじゃないのよ、当初から予想はされていたのよ。昴には特段知らされていなかったというだけでしょうけど、自分の子が全員天才で生まれるなんて信じられないでしょうね。それに、この現象はこれ迄の地球人のレベルが低すぎたからであって、宇宙レベルでは普通のことみたいよ。まあ、生まれた後の生活環境がそれをフォロー出来るのかが大きく関わっているということも否定は出来ないんですけれどね」


「俺も希美も既に遺伝子レベルで元の地球人とは別物になってるんだ。これは先祖返りを人工的に引き起こした様な状態らしいんだ。そして、そんな俺達の間に生まれた子が元の地球人のハズがないじゃないか。しかし、予想はされていたけれどこうも結果をハッキリとした形で目の前に突きつけられるとチョット来るものが有るよな~……」


「そんな、他人事(ひとごと)みたいに、……って言うことは俺の子もみんな宇宙レベルの天才児に成るとか?」


「それはどうかしら……、もっと予想以上の限界突破してきそうだけど、ウフフフフ」


[肯定。天音様はとてもナチュラルにウンサンギガ一族の特質をお持ちですが、今の段階では飛び抜けて居ると言うほどではありません。ハイブリッド種として今後の伸びしろはまだ予想の範囲でしかありませんがとても優秀な部類に入るでしょうね。しかし、マスターのお子様は更に特別な存在に成ることが予想されています。(そうなるように弄りましたから……このわたしが)]


「えっ……(犯人は、お前か~い!)」


「まあ良いじゃないか。今更目鯨を立てたところでどうなる物でもなし、俺たちの子孫繁栄が約束されたようなものだと考えて置くとしようじゃないか。ところで昴、結婚式(どくりつ)は何時にする予定なんだ。その為の挨拶回りに地上に降りてきたんだろう?」


「うん、そうなんだけどね……時期は来年の6月にしようかと思うんだ。母さん、そっちのお肉とって……」


「ハイハイ、たくさん食べてね。そう、6月か~、ジューンブライドって事よね。銀河チャン達は喜ぶんじゃない(私はその頃丁度臨月よね、大丈夫かしら……)。それで、彼女達はどう言ってるの?」


「邪魔の入らな宇宙船(ふね)の上で式を挙げようってことになったんだ。天の川銀河連合(あっち)来賓(王様達)の件もあるからね」


「当然と言えば当然の意見だな。地球で式なんて挙げてみろ、地球人類滅亡の危機だ……」


「まさか、そこまでは行かないにしても地上で結婚式挙げるなんて情報が漏れただけでも碌なことに成らないだろう事は俺にでも分かるよ。たださ~、披露宴に呼ぶこっち側の身内関係者だけでも1000人を超える規模になりそうなんだよね。どうしよっか?」


「それは飲み込むしかないわね。なんたって昴は一族の当主なわけだし、これからは国を背負っていく事になるんでしょ、今までは隠してきたけれどそれなりの事が出来るって事をある程度見せるなりしないと笑われるだろうし、これはあなただけの問題じゃすまないのよ。お嫁さん達の今後の立場を強固にするっていう意味もあるの。いいかしら昴、一族と一族……国と国の血の繋がりは切っても切り離せないわけだしね。冠婚葬祭(こう云う事)って結構大事なのよ。特に国や一族が舐められないようにするのにはね、ド~ンとやっちゃいなさいな」


「ハハハ、昴が何もかも一人で背負う必要はないのさ。これからはみんなで分け合えばいいんだ。喜びも悲しみも痛みさえもね、そうだろう? それに周りのみんなだって大概のことは任せられるぐらいには頼れる存在に育ってきてると思うんだけど、どうだろうね」


[肯定。天河家は別格として、他の方々の水準も格段に伸びてきております。銀河さん達はセバスチャンがテコ入れした事もあって既に系内活動に限れば何の心配もありません。現在はオールトの海にて太陽系外苑防衛ラインの構築とその前線基地となるプラント衛星の建造に当たられておりますよ。ある程度の裁量権を与えてどこまで独自に進めることが出来るか検証しております。明後日、大晦日にはこちらに戻ってまいりますよ]


「へー、地球で見かけないと思ったらそんな事してたのか~……お正月はこっちで迎えるんだよね」


[肯定。その予定です。覚悟して置いた方がよろしいかと……]


「???」


「お分かりになりませんか? 彼女たちは、ニビルからマスターと一緒に地球に帰って来る気でいたようですが私がお止めしましたので、その反動が凄いことに成るのではないかと……」


「……どうしてまた」


「それには僕から答えよう。天の川銀河上層部での昴の功績は、ある程度父兄には伝えているんだけどね。今更の話、知らない中じゃないしどちらかと言えば親戚にも近しいお付き合いをして来たからね。でも、これから本当の家族になる前に直接お前の口からちゃんと伝えるべきだと思うんだ。昴のこれから進もうとしている未来は誰も予想のできない苦難の道だからね」


[否定。マスターに苦難の道などはございません。私達が付いているのですから尚更です。今すぐ銀河支配ぐらいなら成し遂げてご覧にいれましょう]


「イヤイヤ、やらないでね。面倒くさいだけだから駄目だよ……(出来そうだから困る)」


「それは最終手段よね。でも、今現在関わってる事柄から一気に手を引いて『ハイ、さようなら』って言ったら天の川銀河は詰んじゃうんじゃないの?」


[肯定。おそらく詰みますね。まだ時間的な猶予はありますが、マスター以上の救世主が現れない限りは破滅へまっしぐらでしょう。まあ、天の川銀河系は広い方なので今から準備すれば逃げ出す事は出来るでしょうけれど、現時点ではなんとも……]


「銀河間を渡るとしたら、現実的に考えても永久機関の開発から始めないと駄目だよね。ほんとに何も無い空間がず~っと続くからね……宇宙は広いから……」


「多分、今後の銀河系勢力は血眼になってウンサンギガの取り込みかパイプ作りに動くだろうね。そう云う意味でも国家の体裁は整えておいて損にはならないさ」


[肯定。既に銀河サミットの折りに参加した国家や種族からの接触は今も続いています。今回、時空神主導のプロジェクトですがチャッカリと此方との繋ぎを取ろうと中央情報集積惑星(ライブラリー・スター)に居座っている者も存在します]


「帰らないの、帰れないの、どっちさ?」


「多分このまま手ぶらじゃ帰れないってのが本音なんじゃないのかな。種族によっては命がけの航海だっただろうしね」


「……だから、『無理して来なくてもいいですよ、来られる者達だけで』って伝えたんだけどね~」


「そこは頑張ったと褒めて上げるところだろうさ。弱小の種族にしたら、こんなチャンスは又と無い話だからね。現存する時空神の縁者とのコンタクトなんておとぎ話にも出てこないような壮大な話だし……、天音はおネムかな……」


 食事も粗方終了し、天音はもうコックリコックリと船を漕ぎ出していた。


「天音を寝かせてくるわ。後片付けをお願いね」


[肯定。お任せください]


 母さんは天音を寝室に抱いていった。

 後片付けはハコが請け負ったがほんとに大丈夫か?

 肘から先が見えないぞ、食器を壊すなよ。


「昴、チョット付き合え。下で話がある」


「了解」




 ◆




 俺達が向かった先、地下シェルターの更に下、広大に拡張された秘密ドックでは休み無く大小のモノキュラーマシンが巨大な宇宙船の建造を進めていた。

 このドック、山むこうにあった秘密ドックをここまで拡張して繋げたらしい。

 一体どのくらいの広さになったんだ、これ。


「チョット見ない内に随分と広くなったんじゃないの……」


「その説明もあったんだ。まあ、順番に話をきいてくれ。まず、ここはお察しの通り山むこうに在った偽装倉庫地下のナノマシン調整ドックをこっち側に拡張して繋げたものだ。昴が使ってた時は奥行き600m✕幅500m✕高さ300m=9000万立方メートルだったが、今では奥行き3000m✕幅2000m✕高さ600m=36億立方メートル、ザッと40倍の広さになっているんだ」


「へ~、随分とまた大きくしたね。びっくりしたよ」


「実はこれ、セバスチャンと銀河ちゃん達の仕業(しわざ)なんだよ」


「えっ、どうして又?」


「昴の留守にしていた2年の間にここで彼女達は宇宙船を作ってメンテナンスするための英才教育を受けていたのさ。もう一端のメカニックとして通用するんじゃないかな。あの端に見えてる未完成の宇宙船は左から(たける)くんの工作艦に双葉ちゃんの高速連絡艇、そして愛子くんの輸送艦だよ。彼らはまだアカデミーがあるから仕上がるのにあと半年ってところだろう。聞いてると思うが銀河ちゃん達は半年前に飛び級でアカデミーは卒業したよ。今は自分達の組み上げた宇宙船でエッジワース・カイパーベルトに出張(しゅっちょう)がてらの慣熟航行ってところだよ」


 巨大なナノマシン調整ドックの一角を指さしてそう説明した。

 如何にも触れるのが嫌そうに目の前に存在する巨大宇宙船を視線から外して。

 この広いドックのほぼ一杯を締めている宇宙船(ぶつ)を説明する目的でここに居るんだろうにである。


「ウンウン、みんな頑張ってるんだね。……それでこのデカブツがどうかしたの?」


「ああっうん…、前回コウリュウをカスタムした時の改善点やアイディアなんかをね際限なく全部ぶち込んでいたらさ、どんどんと艦型が大きくなってしまってね、最初に予定していた中型の次元転換炉では役不足とセバスチャンにダメ出しを食らったところなんだよ。昴も帰ってきたし、少しでいいんだ知恵を貸してくれないかい」


「ふむ、調子に乗ってやらかした……って訳だね。でっ、中型の次元転換炉ってあれだろ……クルーザーに載せてた奴……」


「そうそう、昴がここに置いてった奴だ。銀河ちゃん達はみんなあれで研鑽を積んで自分の宇宙船にも使ってるよ」


「うーん、あのモデルは俺が最初のうち中小型船舶用にって出来るだけ制御が簡単なローカライズモデルとして作った奴で、出力は頑張っても100m級の慣性制御がやっとだよ。プレアデスアークⅡ世は、ずっと小型化して余剰分を亜空間の定着に使ってたけどあの船は武装がないから出来た裏技だし……、自由に使っていいよって置いて行ったのは俺だけど……」


「うんうん、みんな次元転換炉の出力調整には苦労していたよ。航行制御に必要な出力と艦体とのバランスや武装の大小なんかでね。現実的に亜空間固定技術や炉の大型化については現時点で昴以上に技術者はこの銀河には存在しないそうだから、残り2基のエンジンでは八方塞がりって訳さ、ハッハッハッ……」


「いやいや、それ笑えないから……。銀河達の苦労を見ておきながら、父さんがそれをやるかな~、少しは自重しようと思わなかったワケ?」


 凄んだら変なプレッシャーが出ちゃったみたいだ。

 父さんの視線が泳いでいる、冷や汗がタラタラだ。


「……希美さんが昴にエンジン作らせれば良いって……、ごめんよ~」 


 シュンッ、今にも俺に土下座をしようとした父さんの前に母さんが転移してきた。


「譲さん、一家の大黒柱が無闇に土下座なんかしちゃ駄目よ。昴ならチャンと話せば分かってくれるでしょ。昴もそんな凄まないのよ、あなた自分で思ってるよりも存在感みたいなのが半端なくなってるんだからね、それ自覚してないでしょ?」


[肯定。マスターは一般の人類なら睨んだだけで心停止に持っていけるほどにその存在の密度が上がっております。今はご家族だから耐えられますが、村の外に向かう場合はリミッターが必要になるでしょう。ブレスレットの無い一般人とは同じ空間に居るだけで死人が出るレベルです。ご自重ください]


「聴いてないよ~、ナニソレ! どこの魔王……」


[肯定。マスターは時空神とタメ口で雑談して、天使や悪魔を顎で使ってますよね。これが魔王意外の何者だというのですか、まったく自覚がないったら在りゃしない……]


「ええっ!?」


「「そうよね~」アアッ、納得!」


[この家族は……、兎に角マスターは今後一切、映像等以外での露出はお控えください。高位の精神生命体とはそういう者達ですし、既にマスターもその同類なのですから……存在自体が災害に成る場合もあるのだと認識してください]


「……はい」


[否定。だいたい次元転換炉の1つや2つ、私に声をお掛け頂ければどうにでも成りましたのに、セバスチャンも歳の割に変なところが抜けていますね。とりあえず大型高出力のアーキタイプ(ハコ謹製)を3基ご用意致します。設置と調整はマスターが行ってくださいね]


「了解、炉に火を入れて調整するだけなら直ぐだよ。一から造ると成ると大事だけどさ」


「おおっ、頼む♪ 持つべきものは優秀な息子と出来るメイドだな」


「ハイハイ、宇宙船の話はその辺にしてもっと他に話すことが有るでしょう」


 その後、披露宴に招待する名簿の話や嫁さんの実家への挨拶回り、ウンサンギガ独立に向けての話し合いなどを家族で夜遅くまで話し合った。

 翌日から早速挨拶回りと根回しに動き、みんなが帰って来る前に全ての段取りを済ませてしまおう。

 大人たちには災難だと思うけど、少し苦労して貰おうとおもう。

 実際には、少しどころでは無くてんやわんやで、その後寿命が縮んだと散々愚痴られる事になるのだがその話は後日詳しく語ろうと思う。


 2007年大晦日、銀河達が帰ってきて村は一気に賑やかになった。

 そして昴は、地球での最後のお正月を久しぶりに一家団欒で楽しんだのだった。


 多分、地球での最後のお正月と地球人としての最後の休暇を……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 夢見る黄竜さん、この処良く思うのですが、銀英伝の 作家田中芳樹の描く人類と 私の知ってる人類はステージが違うのではと思ってます! 20世紀の人類は一部特権階級の存在を許さないよね? だから2…
[一言] 今の昴ならサタンも睨んだだけで消滅でしょう? 国津神と天津神の中間存在が今の 昴の階位でしょう? 其の辺の空き屋に行けば事故物件が 綺麗になりそうね? 居るだけで悪霊や怨霊が消滅しそうね! …
[一言] どうなんでしょうね?昴が迂闊に其の辺の神社に 初詣行くと祭神が土下座して出てくるのでは? 本来磐座に居るべき存在の天津神が受肉して降臨したら 国津神だと腰抜かすわ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ