4-2-13 迷走する者達4
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短いです……。
俺は、宇宙なんて生物に無慈悲な空間を管理している代物に、善も悪も無いような気がしている。
自分の所のテリトリーに入ってきた奴らがいる…『使える物なら何でも使え!』的に、俺に白羽の矢が立ったのだろうと予測しているが然程違ってはいないと思う。
ただ、退屈しのぎに遊ばれているだけのような気もするが……。
俺が使えてる内は敵にはならないで居てくれるだろう……などと楽観視するぐらいしか気が休まらないが、こればかりはどうしようもない。
「くよくよ考えても始まらないさ。神様とお近づきに成れたって事で良い方に受け取っておこうよ」
「フフフフ、お主は相変わらず呑気じゃのう♪ まあ、逝くときはみんな一緒じゃ……安心しておれ」
「シャシ~、それ、あんまり安心できないんだけど……」
[否定。別の銀河に逃げ出すという手も取れますが、ああやって直接顔を出したくらいです。すぐにどうこうして来ると云う確率は低いと思われます……既にしている場合はこの際自力でどうにかする必要に迫られるでしょう……]
「あの~、もしかして今回の騒動の元凶って……『ラクシュ、そこまでにしておきなさい。この件に関してはアンタッチャブル! 各方、今後この件に関しての発言を禁じます』……お母様!?」
「ヴィシュヌ様、ご無沙汰しております……先程の件はご覧に成っていましたか?」
『婿殿、そちらは大変な事に成っているようですね。先程は、覗きの妨害もされませんでしたから私が見ているのも承知であったと認識しました。かの存在については、早急に国王会議を開きこちらの情報を開示するとともに今後の対策を練ることとしましょう。しかし、また飛んでもないモノに気に入られましたわね……』
「恐縮です……」
『では、国王会議の日程は追って連絡いたします。ラクシュ、ちゃんと婿殿を支えるのですよ……』
[ヴィシュヌ様の通信、切れました。あの方も神出鬼没ですね……]
「フムッ、情報開示と言っておったということは、アレの何らかの記録が有るということだね~……」
「Dr.この件についての会話は控えましょう。碌な事が無いに決まってる……」
「了解了解。それじゃ遊び倒すとしようかね。誰か案内しな!」
「要件も済みましたし俺が案内しますよ。みんなも行こうか……」
それまで遠慮していた銀河や双葉も昴に絡みだし、ワイワイとその場を後にするのだった。
誰も居なくなった湖畔のロッジには、まだ炎を上げる焚き火と湯気を上げるコーヒーポットが残されていた。
多分火事にはならないだろうことは分かるが、火の始末ぐらいしていけよ……。
するとコーヒーポットからコーヒーを注ぐ人物が一人……。
「面白い個体です♪ 普通に私と面と向かって会話できる存在ですか……本当に興味深い……ズズッ…苦っ……このコーヒーは煮詰まりすぎですね……」
空のコーヒーポットがテーブルに移動し、焚き火は今にも消えそうな炎をあげて、誰も居ないロッジのテラスを照らしていた。




