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4-1-16 シン・ニビルよ何処へ征く

1922文字




 太陽系の大きさを示す場合、最外園惑星の冥王星軌道とすると73億8300万キロメートル、約0.0008光年となるのだが、これに太陽系に帰属する彗星の軌道までを入れると半径約1光年とかなりの広さを示している事になる。

 この情報を元に簡単に区切ると、太陽を中心に直径2光年が太陽系の領域と考えれば概ね間違いではないだろう。

 しかし公的には、太陽の影響する範囲は半径2光年とされているので、太陽系は直径4光年の範囲とされています。

 彗星の生まれる所とされているオールトの雲は、太陽系を取り囲む形で存在し、その外側には星間物質の希薄な無限の空間が広がっている訳ですが、オールトの雲の外には現在何も観測されていないのです。


 オールトの雲を最外縁とすると太陽系外縁部の小惑星帯は、エッジワース・カイパーベルトと言われており冥王星やカロンなどの準惑星を複数その領域に抱えている。

 ちなみに、エッジワース・カイパーベルトの領域は、アステロイドベルトのおよそ20倍、総質量は最大200倍ほどと見られており、更に外側のオールトの雲の質量は正確では無いにしろおよそ地球50個分ぐらいだろうと予測されている。


 アステロイドベルト、別名メインベルトと呼ばれている小惑星帯は、かつてのウンサンギガの主星ニビルの成れの果てである。

 ケレスを除いた所のアステロイドベルトの総質量は、ケレスの2倍ほどしか残っていないので寄せ集めたところで元の主星の質量には遠く及ばない。

 かつてのニビルの質量は、地球の100倍と言われていた。

 しかし、アステロイドベルトに残っている質量は、どう見積もってもケレスの2倍、地球と比べると0.3%ほどの質量しか残存していないのである。

 綺麗サッパリ弾けて消えた本当に星の屑、成れの果てである訳だ。


 しかし、ここで困り果てたのは昴である。


 ニビルの再建に使う質量を何処から持ってこよう?

 それに良く考えてみると今更、地球の100倍もの質量と密度の惑星(もの)を作ってみたところで何にもならないような気がしてきたのである。

 良く考えてみよう、それだけの質量が発生したら逆に太陽系の内惑星軌道や重力バランスなどに大きな狂いが出てきそうである。


 太陽系内の惑星質量の割合を見ると97%を占めのが太陽であり2%が木星、残り全ての惑星や質量物質を足してやっと1%といった所だろう。


 木星の質量が地球の318倍、土星の質量が95倍とすると、ニビルにはおよそ木星の3分の1、そして土星と同じ位の質量が存在したことに成る。

 現在の太陽系の中心は、太陽と木星と土星の3つの質量のバランスした点に存在しており、それは太陽の表層から僅かに外側にはみ出している。

 太陽を中心に星が回っているという認識は間違いであり、実は太陽系の中心は太陽ではないのである。

 3600年周期とはいえ、土星と同じだけの質量が太陽系内を移動していたのだとしたらいったいどれだけの重力異常が起きていたのか想像も付かない。


 結果、アステロイドベルトの他に、オールトの雲など迷惑にならなそうな物を全て掻き集めたとしても地球の100倍などという質量は集まらない事は、かなり早い段階で分かっていた。

 では、どうしたら良いのだろうか……昴の出した結論は……。


『取り敢えず星の中心と骨組みだけで良いんじゃネ?!』


 惑星サイズの宇宙船にするんなら空間(スペース)を大きく取って、巨大な質量なんて物は返って邪魔なんじゃないだろうか……。

 質量なんて増やそうと思えば後からいくらでも増やせるだろうし、最初は身軽な方が良いよね。

 でも見掛けは大きい方が、ハッタリが効くかな~という事で、ケレスを除くアステロイドベルトに存在する小惑星を全て使って核と骨組みを作ってみた。

 巨大な丸い鳥かごの出来上がりである。

 総質量およそ2000京トン、半径3000Km。

 大きさだけで比べるならば火星を一回り小さくした程度の巨体である。

 そして、見れば分かる通りその実態は、スカスカのザル状態だ。


 このカゴの中をどの様な配置バランスで埋めてゆくのかは、ドクターお任せしよう。

 (……人はそれを丸投げと言うのだった……)


 エッジワース・カイパーベルトでは、銀河達がアルキオネと太陽系外縁の資源を使って工房衛星を構築している。

 鳥かごに嵌め込むパーツなどは、順次こちらで製作が進められる。

 出来るだけ内惑星は開発せずに、後の人類に残して置こうという意向が働いての事である。

 太陽系の資源を何もかも使い潰してしまっていたら、後で何を言われるか分かったものじゃない……。

 その条件が例え早い者勝ちだとは言っても、限度があるだろうと絶対に誰かが言い出すのは火を見るよりも明らかだからである。

 俺は、悪者には成りたくない、……小心者なのだ。







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