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実は俺、宇宙船を育てています《イイエ、育てられているのは、ア・ナ・タ》  作者: 夢見る黄龍
第4期 第1章 広がる波紋

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4-1-11 太陽系外縁…何やってんの君達

また遅れた……。

2326文字




 時はすこし遡る。

 それは、昴たちの結婚式を控えた2ヶ月ほど前……。


 太陽系を取り囲むエッジワースカイパーベルトは、太陽系を構成する各惑星の重力の影響を逃れた大量の小惑星の集まりである。

 それは、4万個を超える数の平均100km〜400kmの小惑星の集まりであり、その中には冥王星を越える巨大な物も含まれる。

 その総質量はアステロイドベルトの総量の数百倍にも登ると見られている。

 惑星になれなかった星屑の集まりだが、集めた質量の総数は地球や金星と比べても数百個分の質量に相当し、想像以上の質量がそこには存在することが窺える。

 この3年間、昴がアステロイドベルトを寄せ集め主星ニビルの再建に注力している間、他のウンサンギガの面々は何をしていたのかと言うと、出来るだけ太陽系内の資源を食い潰すことなく基盤となる為の努力を続けていた。

 此処はエリス、太陽系外縁天体のサブグループとして、冥王星型準惑星に分類されその大きさも冥王星に匹敵する天体である。

 彼らはここを拠点として、エッジワースカイパーベルトでの開発を行っていた。

 エリスは直径2330km、その質量は月の21.7%ほどの準惑星であり月の要塞さながらの改造が施されていた。


「ようやく形になって来たね。みんなお疲れ様……」


[銀河様、現在の進捗状況ですが宜しいでしょか?]


「ええお願い、アルキオネ」


[エリスの改造は98%まで完成しました。ケレス型移動工房衛星の1番から10番までの正常稼働を確認、11番から30番までの完成にはあと2ヶ月ほどの予定です。完成した工房はこの後、其々の割り当て宙域に移動、順次操業を開始いたします。ケレス型とは云っても直径300kmに小型化していますから、セバスチャンほどの運用能力はありませんが、30個も揃えば其れなりの事は出来ると思いますよ]


「ありがとう。みんなの方はどう?」


『こちらディスノミアの(ひじり)、マテリアルプラントの稼働状況は全て正常、問題無いわよ』


 ディスノミアとは、エリスの衛星でおよそ直径400kmほどの天体で有る。

 エリスを拠点として改造する最初の足がかりとして手を入れられ、現在は各移動工房で使用される資材やマテリアルの製造基地となっている。


『こちら出稼ぎ隊、大漁大漁♪』


「コラッ、健太! 真面目にやんなさい」


『わり〜わり〜、予定通り10個の小惑星を牽引中! 運行に異常無し。特に大き目のを見繕って引っ張ってきたぜ~』


「ご苦労様、いつも通り聖の方に放り込んで頂戴」


『了解!』


[皆さん、順調のようですね]


「これもアルキオネさん達が段取りしてくれたからだよ。ありがとうね」


[イエイエ、銀河さま達の努力が実を結んだ結果でございますよ]


「兎に角、太陽系外が落ち着いている今のうちに準備しておかないと昴ちゃんは又飛び出していっちゃいそうだからね」


[確かに帝国が落ち着いてきたらフラフラと飛んで行きたそうにはしてるんですよね。もう太陽系には執着も無いみたいですしね。あれで周りにはバレてないと思ってるようなんですけれど、バレバレですよね~]


「そうそう、だからなんでしょ。太陽系内の惑星開発は最低限にして宿題に残したみたいだし……主星ニビルを移動惑星にした時点でいつかは此処を出てゆく事前提だよね? マ~太陽系を出てゆく時は、バクーンとか一緒に連れてけってゴネそうだけど、ウフフフ」


[それは仕方がないでしょうね。セントラルは防人(さきもり)としてこの先ずっと地球を見守ってゆくでしょうし、そうなったらバクーンは月を逃げ出すのでしょうね]


「ウ~ン、あれはもうどうしようも無いでしょ……でも、ニビルの管制をしてるのがセントラル・ガンマだっていうのは、大いなる罠よね。みんなが居るから付いてくるって感じでしょうけど」


[実際のところは、もうセントラルに対する苦手意識も無くなってるとは思うんですけどね。あのやり取りもコミュニケーションの一種なんじゃないですか]


「1万年前のしがらみってヤツよね……5年くらいじゃあんまり変わんないと思うんだけど。双葉ちゃん達は学校の卒業と同時にこっちに合流するのよね?」


[裕美さまは来春、双葉さま・尊さま・愛子さまは来来春の予定ですがマスターの行動次第では即飛んでくるでしょう。置いてけぼりは絶対ダメなんだそうですよ、フフフフ。それよりも結婚式の方の御準備は宜しかったのですか?]


「式の用意はもう終わってるのよ、私と聖とジェニーはもう一緒に住んでるのと同じだし、姫たちは輿入れの支度で先月帰ったでしょ。ここで一度ケジメを付けましょうって事なのよ。それに私達が落ち着かないと貴女やハコさんたちも行動を起こせないでしょ?」


[さすが銀河さま、分かってらっしゃる♪]


「これでも昴との付き合いは一番長いからね……彼はこっちが強気に出ないといつまで経っても煮えきらないんだから……まったく、決断させるのにみんなで押し倒す事になるとは思わなかったわよ……」


[あれはマギーさんの仕込みらしいですが?]


「そうそう、何でもキャプテンが『BOSSが身を固めたら俺たちも一緒になろう』って云ったんですって……それで待ちきれなくて、ジェニーに思い切り吹き込んで洗脳したらしいわ。私達は巻き込まれた口だけど、良いきっかけになったのは確かよね」


[あゝそれで、マギーさんは最近機嫌がいいんですね]


「私達の結婚式がすんだら直ぐに式を挙げるらしいわよ。キャプテンとマギーさんの式は軌道エレベーターの特設会場になるみたい。米軍のお客様が多そうだしね」


[了解しました。滞りなく私達が仕切らせていただきましょう。お任せください♪]


「アハハハ、お手柔らかにね……」


[まずは、マスターと皆さんの結婚式ですね。ほんとうに楽しみです♪]





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― 新着の感想 ―
[一言] さらば昴よ?すっかり嫁に座布団状態の王様であった! 頑張って世継ぎを作らないと異星の女王ズはどうしてるのかねえ?
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