4-1-09 ウンサンギガ後宮事情
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帝国が独立後3ヶ月ほどが経ち、地球の情勢も落ち着いて来た。
ウチは変な波風もたたずにいつも通りなんだけどさ、そんな何げない一日のはじまり。
[マスター、おはようございます。良くお休みになられましたか?]
「うん、おはよう…まぁ〜……良く眠れた事は確かなんだけども……この起し方はどうかと思うんだよね……」
[そんな他人行儀な事を仰らないで下さい。選り取りみどりですよ〜、誰に手をつけてもOKですよ〜。次はどんな起し方が宜しいですか?]
最近、特に目立って来た悪戯の数々……。
昨夜は妻達とのお勤めも無くユックリと独りで寝た筈のベッドには、目が覚めるとハコをはじめシスターズが半裸で添い寝している……、そこは正にハーレム状態だったのだ。
正常な男子としては、ムラムラしないハズもなく、あっちこっちサワサワとマッサージされて俺が目が覚めるよりも先におっきした息子が暴れ出しそうになっていた。
[フフフッ、マスターが悪いんですよ。奥さん達は腰が立たなくなるほど可愛がるのに、こっちには梨の礫。みなさん同意してらっしゃるのにマスターが釣れなくするから………]
「そうは云っても、割り切るまで俺にもう少し時間をくれよ……」
[……それじゃ〜内々で式でも上げましょうか? マスターをプロファイルした結果、奥さん以外に手を出すのは浮気として忌避してしまっている様ですから、正式に妻ないし側室として認識出来れば、私達にも手を出してくれるでしょう……?]
[む~真面目過ぎるのもどうかと思いますよ!]
[ダメですよ、マスター。皇帝とも在ろう者がたかがメイドに手が出せない様では、この先が思いやられますね……]
[男たる者、これだけご馳走を並べられたら『据え膳食わぬは男の恥』と大手を振って食い散らかすくらいの事はしないと……恥ずかしいですよ♪]
「イヤッ、ダメだろうソレ!」
[イイエ、これから先マスターの目の前には、絶世の美女も裸足で逃げだすような存在が群で襲い掛かってくるでしょう。そんな時にも慌てずに捌けるようでなければいけません。我々は来るべき聖戦の予行演習ぐらいに思っていれば良いのです。さあ、特訓ですよ♪]
「……そんな事言ってるけど本音は? だいたい強制はしない約束だった筈じゃ〜?」
[[[[[[[抜け駆けはご法度と云いましたから全員でお情けを頂く事に方針を転換致しました、何よりも[私達をもっとかまってください!]時間が出来たら遊んでくれるって云ったのに……]エトセトラ]etc]]]]]
「オイオイオイッ、はっあ〜……お手柔らかにお願いします……」
[肯定。では最初は私から…♪]
[つぎ! 次はワタシね!]
「ずるい、姉の私に譲りなさい!」 ギャーギャーギャー♪
こうしてこの日、俺は全員に食われたのだった……。
帝国は、今日も平和だ。
◆
パタッパタッパタッと音を立てて小さな生き物が俺の方にかけてくる。
「ニイちゃ〜~♪」
手を振りながらテッテテ〜と元気に俺の元にかけて来るのは、まだ2歳7ヶ月の幼女だった。
天河 天音、俺の実の妹だ。
俺が15歳で女性関係が解禁になったのと同じ頃、タイミングを図っていたように俺の母さんが妊娠したのだった。
母さんの事だ、計画的に事に及んだ事は明白だ。
お祝い事だし、その辺はあまり深く突っ込むのは御法度だろう。
俺が天音を抱き上げていると天音のうしろからついて来たのだろう、母さんが嫁達を数人引き連れて現れた。
「おはよう……には少し遅いけれど、昴も頑張っているようね。ヨシヨシ♪」
「おはよう、母さん。ハコ達をけしかけたのは母さん達だろう?」
「「「「「「「おはよう」」御座います」」あなた…」昨夜はお楽しみでしたね♪」うふふふ♪」
「フフフッ、そうよ〜。アンタが何時迄経っても沸切らないのがいけないのよ。あの子達もいい加減待ち草臥れたんじゃないかと思っていたの。あの子達も、無駄に時間に余裕があるから何かきっかけを与えないと100年とかアッという間に経っちゃいそうだし……」
母さんは、俺に聞かれた事がさも当たり前のように大きなお腹を揺すったのだった。
大きく目立ってきた御腹には、俺の二人目の兄弟がスクスクと育っている。
俺の両親には直系の親族が絶えてしまっており、今では一人も親戚がいないと云う事は以前にも伝えたと思う。
俺に家族と言えるのは両親しかいないように、母さん達にも身内と言える人間は俺しか存在しなかった。
一人息子の俺が母さん達の手を離れ、家族の生活も落ち着いた時には、既に母さんは40代……高齢出産を心配する年齢を過ぎていた。
ところがハコ達のお陰で肉体年齢も若返り、諦めていた二人目以降に望みの出来た母さんたちは、俺が名実共に手がかからかくなった15歳に家族を増やそうと計画していたらしい……。
やはり確信犯だったか、今なら育児の為の人手も十分以上に手に入るしな……。
倅の嫁が複数存在し育児予備軍として待ち構えているところに、メイド達を側室に起用することで乳母としても使う気でいるらしい……カ~みんな同じ穴の狢かよ……、包囲網は完全に出来上がっていた!
「家族は沢山居た方が絶対に楽しいわよ、もの造りはアンタの趣味でしょ、頑張りなさいな。みんなもお願いね♪」
「「「「「「「はい♪」お任せ下さい」お義母さま」ハ~イ」まかせてよ」」」
これは誰かに助け舟を出して貰うしか……。
「父さん、母さんの事をどうにかしてくれよ?」
『昴、早く孫の顔を見せてやってくれ! そうしないと延々と兄弟を作る気でいるぞ、母さんは……俺を助けると思って頑張ってくれ! 大丈夫だ! 取り敢えず妊娠させれば10ヶ月は時間が作れる筈だ、兎に角努力だ! 頑張ってくれ、健闘を祈るぞ!』 ブツン……
父さんェ……、一方的に捲し立てられて通信を切られたんだけど……。
[さあ、マスター。皆さんお待ちですよ、今夜は10Pに挑戦です、気張って下さいね♪]
ドナドナされてゆく俺様……頑張れ昴、負けるな昴…。
ケッ、爆発しろ!!!




