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4-1-01 狂乱

761文字




 未知の領域とは割と身近なところに存在するものである。

 そして、見ようとしない者は、目の前に何が有っても決して気が付かない物なのである。


 上ばかりを見て足元の(わだち)に気付か無い様に、宇宙(そら)にばかり耳目じもく(むけ)ていたら、直ぐ眼の前の海の中での変化に気が付か無い様に……。


 次元と空間を支配する者からしてみると、何とも危うい世界に生物は発生し繁栄しているものだと疑問に思うことが(まま)あるものだ。

 認識出来ないと云う事は、悪い事ばかりでは無いという一例だろう。

『知らぬが仏』『住めば都』とは、良く言った物で、其処(そこ)がどんなに(あぶな)い所なのか認識している者から言わせると地獄と比べても変わりがない処だったりするのだが、此の際そんな事は横に置いておこう。


 其処は、銀河の中心からは然程離れていない銀河バルジの……そう、割と穏やかな領域だろう。

 銀河中央の巨大ブラックホール『ギンヌンガガップ』の影響下に在り、普通では生命が生息するには厳しい領域だが、にも関わらず此処にも活発に活動する生命体が存在した。


 竜である。


 それは、生物の頂点にも位置する存在の幻獣の一つだ。

 銀河創成期には各地に生存したが、魔力等の枯渇(こかつ)した現在、今だ魔力の残っている銀河バルジの領域にのみ生息する生物というか、種族である。

 特に自然発生した個体は、星と同じだけの寿命を持ち、自由に活動する生きた惑星とも言える存在だった。


 そんな竜の群れに、一つの異物にも似た存在が発生し銀河外苑に向けて移動を開始したのだった。

 それは、その群れの中の王とも言える個体の一頭だった。

 慌てて追い(すが)(つがい)やその子たち。

 それを見過ごす事の出来ぬ並び立つ群れの竜達は、その前進を(はば)もうとして(ことごと)くが傷つき逃げ出して行くのだった。


 一頭の狂える竜に引きずられるように、その群れは虚空(こくう)に消えていった。


 

 時に、世歴2005年9月の事である。





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