3-4-05 幼馴染達の暗躍 23/2/20
20230220 加筆修正
3173文字 → 3456文字
昴が地球を離れ銀河中央で大暴れしている頃、幼馴染~ズは何をしていたのかというと……。
村の地下秘密ドックで管制AIの端末達と何やら盛り上がっていた。
5人の女子と2人の男子、白虎Ⅲに青龍Ⅳ、朱雀Ⅲに玄武V、そしてオヒューカスにタイゲタⅢとメローペV、見慣れない紳士は若作りのセバスチャンβ。
オヒューカスは暇らしく、オリジナルが遊びに来ている。
他の管制AIは同位体のようだ。
長谷川銀河は、激を飛ばす。
「みんなに集まってもらったのは他でもないの。昴ちゃんの居ない今のウチに私達の立場を盤石なものにしておこうと思うのよ。師匠のアドバイスで始めた資産運用は、想定以上の利益を上げているわ。法人設立に出資してくれたみんなにはお礼を言います、ありがとう。ここに集まったみんなは全員取締役役員として、出資割当配当が入ってくるから来年の確定申告を忘れずにね。忘れてても師匠がやってくれるとは思うんだけど、これも経験だから出来れば自分でやってみてね。分からないことは調べる事、私達には専門家が裸足で逃げ出すほどの知識が有るんだから後は経験だけよ、頑張ってね。そういう訳で自由に使える資金は潤沢に有るから心配しないで。みんなにもそれぞれの夢や目標が有ると思うし、ここは今まで以上の協力体制を整えるのが肝要なの!」
堺双葉が、相槌を打つ。
「ジェニーさんは別にしても、シャシちゃんもラクシュちゃんも王女様だし私達とは立場も資産も違うもんね。それに昴兄ちゃんは、お人好しだからこの後また何人か連れて帰ってくると思うな~。私は銀河ちゃんに同意! それで双葉のお年玉はどれくらいになったのかな~♪ と~っても気になるんだけど……」
鷺ノ宮裕美は、現状を再確認する。
「ジェニーさんは希美叔母さんに認められてるし、ラクシュ王女は親公認の許嫁、シャシ姫も次のポストを狙ってるのよね?」
「そうなのよね……それでさっき、希美お義母さんから極秘通信が入ったの。昴ちゃんも15歳になったらお付き合いを解禁するって。宇宙に出ちゃえば日本の民法は在って無いような物と同じだから、何人付き合っても良いってお許しが出たわ。但し、自分の親は事前に説得しておく事だそうよ。私達の親で反対する人は居ないと思うけど根回しはとっても大切よ」
「「「了解」分かった」うん」
複雑そうな顔で西園寺尊がつぶやいた。
「昴兄さんも大変だよね、もう7人も面倒見なくちゃいけないんだね?」
尊に三河健太は反論した。
「そんな事あるか~い! 昴にだって選ぶ権利はあるだろう」
今、ここでそれを言ってはいけない……。
「「「「何ですって?」」」」 ジロリ!
「ウッ……」
「マ~マ~、みんな落ち着いて……」
「駄目だよ健太兄ちゃん、いくら思ってても口に出しちゃ~……」
「フーン、あんたも考えは健太と一緒なのね……」 グリグリッ
口は災いのもと、姉の西園寺聖にコメカミをうめぼしされて震え上がる尊。
「痛たっ~、お姉ちゃんごめんなさ~い!」
「……怖っ!お前ら、怖っ! ま~ま~少し落ち着けって、肝心の昴の気持ちは確かめたのか? 話はそれからだろう。彼奴は、昔から鈍ちんで根が優柔不断だからな~、きっちりこっちの気持ちを伝えないといつまで経っても決まんね~ぞ。……俺も新しい彼女作るかな~、軍資金はたっぷり出来たし♪」
「……健太ちゃんにはあたしが居るじゃない? 何が不満だって言うの?」
後ろで空気になって話を聞いていた愛子が健太の肘をつねりあげた。
健太の悲鳴を切っ掛けに尊は聖の梅干しから逃げ出して銀河の後ろに隠れた。
「イタタタタッ~、銀河姉ちゃんそれで僕らの資産はいくらぐらいになったの?」
「みんなも分かってると思うけど私達の会社はファイナンシャル・プランニングの会社よ。今はまだ村のお年寄りが顧客だけど、今季の実績如何で来年からは資産の運用も任せてくれることになってるわ。すでに今季は黒字が確実よ。実は、私達の出資資金を元にデイトレーディングで数万倍に増やしたの、インサイダーなんかして無いから心配いらないわ」
「……万倍ってどんなマジックを使ったのさ?」
「それはね、師匠直伝の相場術っていうのは建前で、株価が変わるタイミングのコンマ数秒で株の売り買いの判断をしてくれるAIプログラムを開発して主要銘柄を満遍なく監視してもらってるの。絶対に流出させないっていうのが条件で使わせてもらってるんだけど、人間がネットを使って売り買いするのとは別次元のスピードとタイミングでトレーディングが進むから、ウハウハッよ♪」
「……それナンテ裏技……でっ、いくら儲かったの?」
「ザッと140億円くらい?」
「なんでそこ疑問形? って140億~ぅ、俺達が出したのって5万ずつだよな? ……よ…4万倍!」
「「「「すご~い♪」」」億万長者!」
「健太ちゃん、もう老後の心配しなくていいよ♪」
7人みんなで出し合った元手は35万円だ。
銀河の言葉が本当なら、それが1年で140億円に膨れ上がったと言う事らしい。
ホントなのかと疑いの目でセバスチャンに視線を向けると、頷いたのでホントの話らしい……驚きの真実だった。
一人頭の取り分はいくらになるんだ?
え~と20億か~年末ジャンボ宝くじ2回分。
15歳で不労所得者になるとは思わなかったな~……。
それに愛子、あんま婆くさいことは言いっこ無しだ。
「一昔前なら高額納税者でランキングされるレベルよね。寄付だ何だって五月蝿いのが寄って来ないように、会社法人にしてこの後の運用は師匠に任せちゃうわ、いいわよね? 取り敢えずみんなには会社名義のブラックカード渡しとくから、これを使ってね。これで一生お金で苦労はしないから、みんなで好きなことをしましょう。ただし、お金が有る事と夢が叶う事はけっしてイコールじゃないからね、各自努力を惜しまないように、以上よ!」
「自分で欲しい物は、まず作ってみろって言われてるし、僕はあんまりお金使わないかな~……」
「尊~、自分じゃ欲しくても作れね~物も有るじゃね~か。彼女は、手作りって訳には行かないぞ。それに先立つ物が無いとデートも出来ないからな。金が有るに越したことはないのさ。 昴みたいに放っといても向こうから女が寄ってくる何ていうのは、夢のまた夢。余程の優良物件で名が知られてなくちゃ駄目だからな、稀なケースなんだぞ」
「男はお金じゃないと思うんだけど……それに、健太兄ちゃんだって愛子ちゃんがいるじゃないか……」
「男に経済力が有るって事も判断基準の一つさ、そ~だよな? 愛子」
「ウーン、無いより有ったほうが良いんじゃない。まっ限度は有ると思うけど……」
「ふ~ん、そんなもんなの?」
「そんなもん、そんなもん! 貧乏で苦労するよりずっと良いのさ。そんな事より、銀河達は昴の女事情が解禁になるからライバルが増えそうだって話だろ? 俺はジェニーさん辺りに相談して、女を磨いたほうが良いと思うけどな。昴の役に立つって言っても色んな意味があるんじゃないか?」
「健太は生意気だけど、言ってる事は間違ってないのよね。そういう所が一々癪に障るんだけど……」
「なんだそりゃ? オイッ尊、コイツラは放っておいて向こうで漢だけで宇宙船弄ろうぜ。セバスが教えてくれるってよ」
「エッほんと?」
[ホッホッホッ、宜しゅう御座いますよ。危ない事のないようにビシビシといきますぞ。オヒューカス、お嬢様方はお願いいたしますぞ]
[了解いたしました。お茶を入れ直しましょう、皆さんも手伝ってくださいな]
「「「「「はーい」」」ケーキ有る?」」
この後は女子と男子で分かれるようだ。
ワイワイと作戦を練る女子と、付き合っていられない男子。
それぞれにもう普通の子供達である筈は無いのだった。
◆
[お嬢様達は、あなたに任せましたよ。この際です、オヒューカスの土俵の話をして教育してしまいなさい。どうも頼りなくて仕方がありません……]
[本当によろしいのでしょうか? 私のと言いますと生体強化や調整、医療に関する事が中心になりますが……健全な母体の作り方や排卵期、受胎時の対応と一通りお教えしておきましょう。王族や貴族は、当たり前に子供の時から教育される物ですがこの時代の日本にはそんな事も無いようですね。適度な刺激になると良いのですが……]
この後女子5人は、耳年増爆発どころかその道のプロも裸足で逃げ出す様なテクニシャンにランクアップするのだった。
セバスチャンもオヒューカスも大昔の王族が比較基準だ。
昴、スタミナの用意は万全か?
健太も気を抜いていると腹上死が手招きをしているぞ。




