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3-2-03 銀河騒乱2…布教? 22/9/18

20220918 加筆修正

1694文字 → 2294文字





 それは、正に布教だった!


 天空より女神が舞い来たりて奇跡を起こしたのである。

 それも巨大な女神が降臨し、死病を收め奇跡を起こして去ってゆく。

 女神の飛び去った後には、人々が空へ祈りを捧げるのだった。

 そして、最初に星に降りたちし場所には、救世の女神を象徴する立像が建ち、その後礼拝や参拝に訪れる者達であふれる事になる。

 何やってんだよ、この人!?


 皆さん、もうお分かりだろうか?

 そう、たった一人で銀河を駆け回っているデーヴァ族の現女王、ヴィシュヌ様である。


 事の発端は、たまたま立ち寄った惑星で伝染病が発生したことから始まる。

 この惑星、天の川銀河連合に加盟するれっきとした星間国家であったのだが、この時は不運にも惑星規模のパンデミックに見舞われていたのだった。

 いくら宇宙に出た種族といえど、未知の伝染病には無力だったと云うだけのお話だ。

 その点、ウンサンギガが修めた医療技術は地球という特異な星により神の領域にまで昇華していた事がこの惑星国家を死の淵から救い出す事になったのだった。

 その理由(わけ)は、地球があらゆる病原菌の坩堝のような星であった事。

 何の対策も無しに地球に降りると、ほぼどんな種族であっても間違いなく病気になるのである。

 そんな地球という惑星を背景に(つちか)われた医療技術が半端な物で在るはずが無かったのだ。

 ちなみに、昴の関係者は漏れなくブレスレットにより対策済みであったるする。


 外交特使として一人この地を訪れたヴィシュヌ女王は、星に降り立つのと同時に伝染病のウイルスに罹患(りかん)したのだった。

 しかし、ハヌマーンとの間に生体リンクの確立していたヴィシュヌ女王は、ほんの数分の間若干の悪寒を感じた程度で快癒してしまうのだった。

 (のち)にハヌマーンから知らされた情報により、そのウイルス性疾患が生還率5%以下という致死性のとても高い死病である事を知らされる。

 今現在この惑星は、パンデミックに(おちい)り医療機関や研究機関のほとんどが麻痺し、この惑星は急激な滅亡に向かっていたのだった。

 しかし、既にこの病に対する抗体のあるヴィシュヌ女王は、その詳細な情報を惑星政府に伝えると、ハヌマーンに飛び乗ったのだ。

 惑星政府が如何に優秀でも、既に医療機関や研究機関は壊滅状態。

 僅かに残っている人材と設備で全惑星の医療行為など土台無理な話である。

 しかし惑星政府は、伝染病の抗体とワクチンの情報だけでも天に感謝し、ヴィシュヌ女王を快く見送った……つもりだったのだが女王の宇宙船はその後一向に帰る様子が見受けられない。


「ハヌマーン、貴女の力でこの惑星全土にメディカルナノマシンの散布は可能かしら?」


[チョッと待ってね~……十分に可能よ~。風の申し子と言われた私なら惑星上に行き渡らせるのに半日とは掛からないわよ~♪]


「まあ、それはよい情報ね。貴女、本当に優秀よね♪」


 そして、惑星政府衆人監視のもとでそれは行われたのだった。


 それまで宇宙港に停泊していた100mほどの小型宇宙船がフワリと離陸し、光りながらその姿を変え始めたではないか……。

 そこに現れたのは、羽衣をまとった絶世の美女だった。

 ただし、身長95mのとても巨大な迫力のある美女ではあったのだが……。


 しばらくの間宇宙港上空を滞空していた巨大な天女は、やがて羽衣を光らせながら鱗粉のようなものを撒き散らし、光の尾を引きながら舞い踊るように惑星上空を飛び回り始めたのだった。

 女神形態のハヌマーンによって惑星上に散布され始めたメディカルナノマシン。

 それも対ウイルス用の特別ミックスは、人々に対し劇的な病状の回復を可能にした。

 ほぼ死を待つだけだった者達も、光の粉を取り込んで24時間ほどで唯の衰弱状態にまで回復したのだ。

 症状の軽い者達は、その場で見る見るうちに回復し、その奇跡の様な現象に天を駆け抜ける女神の姿を見上げて天に祈りを捧げた。


 これは天の使わした女神の降臨であると惑星政府が発表し、殺人ウイルスの恐怖は消え去っっていった。

 残念なことに全人口の3割余りの犠牲者を出したとは云え、辛くも惑星滅亡の危機を逃れた者達は、ヴィシュヌ女王に感謝し全面的な支援を約束し、盛大に見送るのだった。

 宇宙港は後に『女神の来訪とその奇跡の地』として、巨大な女神の立像が建てられ聖地として栄えることになる。



「むふふ♪ とってもいい気分だわ~」


御主人(マスター)、近場の小惑星によるけどいいわよね~。さっきので船体補修用のナノマテリアルを使い果たしちゃったからその補充に1日欲しいんだけど~]


「良いわよ、次の惑星に行く前に補給しておきましょう。確か時間を掛ければナノマテリアルの自給ができるのよね」


[そうよ~♪ 昴キュンに感謝よね~。肉弾戦するなら自己回復機能が無いと不味いよねって最優先で付けてくれたのよ~♪]


「ふむふむ、それってどのくらいの損傷まで回復できるの?」


[えーとね、コアの方に内蔵してくれたからコアが無事でナノマテリアルさえ尽きなければ事実上無限に回復が可能よ~。船体が無くなった場合でもコアさえ無事なら0から7日ほどで完全修復も可能かしら、普通の損傷程度なら数瞬で修復は可能なのよ~、私ってとっても優秀~♪]


「ふーん、それじゃ~かなり無茶な事も可能よね……良いことを聞いたわ♪」


 絶賛! 悪い笑顔のヴィシュヌ女王。


[でも、出来るからってあんまり無理はしたくないんでけれど~……、絶対に人の話聞いてないわね! この顔は……]


 こうしてこの後、無法な女神が銀河中を駆けぬけてゆく事になる。

 ほんとに良いのか? コンナンで……誰か止めて……。

 ヴィシュヌ女王の支持率は、この時から当然の様にうなぎ登り爆上げになってゆく。


 決起の時は近いぞ!






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