芋虫を育てよう
クリスマスに小説を書くのも風情がありますね。
「きゃっ!」
ルルカが料理中にかわいい悲鳴をあげた。
「どしたのルルカ!?」
あたしはルルカのもとに駆け寄る。
「い…芋虫!」
芋虫がキャベツの上をのそのそしている。
「かわいいよぉー♡」
「お姉様…」
あたしは目をキラキラさせ、ルルカは呆れ顔。
「ねえねえルルカ!この芋虫育てようよ!」
「うーん…そうですね…育ててみますか」
あたしは小さな虫かごに芋虫を移した。
「少し、キャベツをわけましょうか」
ルルカはキャベツを切り、芋虫におすそ分けした。
芋虫は、ぽりぽりとキャベツを食べている。
「たくさん食べて大きくなってね」
次の日。
あたしは芋虫を学園に連れていく。
「ねえねえ!芋虫見つけたんだよ!」
「あら、よく見かける芋虫じゃない」
雪乃たちも芋虫に注目する。若干1名除いて。
「わ…わたし…虫はあまり…」
どうやら志穂ちゃんは、虫が苦手のようだ。
「それにしても、リルカ先輩、その芋虫はどこで見つけたのですか?」
「ルルカが料理してるキャベツから出たよ」
芋虫は、弁当を食べるあたしたちの前でも、キャベツを食べている。
バイトの時間も、芋虫入りの虫かごを持っていく。
「見て見て!唯ちゃん!」
メイド姿のあたしは、バイトの同僚、桜町唯ちゃんに芋虫を見せる。
「かわいいー!」
「今日から芋虫を育てることにしたの!」
「そうなんだ!成長したら綺麗な虫だよー!」
唯ちゃんも芋虫を気に入ったようだ。
「大きくなーれ!萌え萌えキュン♡」
あたしは芋虫にメイドカフェのおまじないをかけた。
それから帰宅後。
「お姉様、キャベツは1日おきに取り替えたほうがいいですよ」
「ふぇ?どして?」
「しばらく経つと、お姉様が作った料理みたいになりますからね」
「ふぇー?あたしの料理は美味しいよ?」
「あれは食べたら即死します」
「ひどっ!」
それからは、1日おきに新しいキャベツに変えられるのだった。
それから何日か経ち…
「あれ?芋虫は?」
芋虫が姿を消していた。
不思議に思い、学園に持っていく。
「雪乃、芋虫がいなくなっちゃったんだけど…」
「リルカ…蓋をよく見なさい」
あたしは蓋を外してみる。
すると、芋虫ではない緑の物体が。
「あれ?芋虫?」
「リルカ、それは蛹よ」
「ふぇ?」
「もう、リルカ…幼虫…俗に言う芋虫はある程度成長すると蛹になるわ」
「なるほど、で、キャベツ食べないんだけど…」
「リルカ…蛹になったからにはもう何も食べる必要ないわ」
「ふぇー」
雪乃から幼虫の知識を教わった。
それから待つこと2日。
蛹が割れた。
「ああっ!ルルカ見て!」
割れた蛹から、翅の縮んだ虫が出てくる。
「なに?これ…」
「お姉様、翅を伸ばします、よく見ててください」
虫は、時間経過とともに翅を伸ばす。
翅は、かわいらしい蝶の形になる。白くて、一部に黒い模様…これは…
「ちょうちょさんだ!」
みんな大好きモンシロチョウだった。
「すっごーい!ちょうちょさんになったよ!」
「お姉様…それだけで大袈裟すぎますよ…」
ルルカは少し呆れてたが、内心嬉しそうだ。
それからモンシロチョウは、虫かごから出て、どこかへ飛び去っていった。
あたしもちょうちょさんみたいに、綺麗な大人の淑女になりたい。
その後。
「きゃあ!蛾が侵入しました!」
「ちょうちょさん!みっけ!」
あたしは蝶と間違え、蛾を取り、窓から逃がした。
「ふぅ…どこからともなく不法侵入するちょうちょさんだなあ」
「お姉様…あれ蛾ですよ…」
「そなの?まあ、どっちでもいいやー♪」
To be continued...
篠町リルカのウワサ
ネコミミはもふもふこそすべてらしい。




