いやがらせの報復~中編~☆ミ
前後だけのはずが3つに分かれてしまいました…。テヘペロ☆彡
受話器ごしに聞こえた謎の声に驚いて、ガードレールより車ごと転落してまった蒼白たち3人。
幸いにも命は助かったようだが、車の下敷きにでもなっているかのように下半身を思うように動かすことができない。マヒしているのか現状に脳の処理が追い付いていないのか、痛覚はいまだに戻っていないようである。
しばらく時間がたってくると嗅覚が先に戻ったのか、独特のにおいが蒼白の鼻を刺激していることに気づいた。
転落して燃料でも漏れたのであろう、ガソリンの臭いが近隣に充満していっているようであった。
転落した際に木々でも折っていたのかもしれない。今にも落ちそうなくらいに太い枝が揺れているのが、ぼうっと上を見上げた蒼白の視界に入った。
しばらく眺めていると、ぶら下がっている木の枝に一匹のツバメが飛んできて休憩を始めた。
(おまえらは気楽でいいよな。その自由な羽でどこまでも飛んでいけるのだから…。
そうだ、ついでに俺たちがここにいることも誰かに伝えてくれ…るはずもないか。ツバメだもんなぁ…。)
そんなことを思っていながら、ツバメを眺めていると、その背後に迫る黒い影があることに気づいた。
ヘビだ。
(可哀そうに…。あんな後ろから狙われたんじゃ、あのツバメも助からないかもしれないなぁ。)
そう思いながら見つめていると、蒼白の視線に気づいたのか、そうでないのか、ツバメがヘビから逃れるように木の枝の先端のほうへと逃げ始めた。
(そうだ、がんばれ! 頑張って逃げ切るんだ!)
何とかツバメが逃げ切れそうなことに安堵していると、予想外のことが起こった。
木の先端に逃れたツバメと、ヘビの自重によって枝に負荷がかかって、枝がさらに垂れて始めてきてしまったのだ。
ツバメたちの攻防と共に裂け目の大きくなっていく枝。そして下には車より漏れたガソリンが多量に流れている。
ただでさえ頭上に枝があるのだ。直撃するだけでも死ぬ。
もし木の枝をよけれたとしても、冬の空気の乾燥している中地面に散布されたガソリンに木の枝が突っ込めばどうなるかなんて考えるまでもないことであった。
(やめろ! やめてくれ…。)
願いもむなしく落ちてくる枝をまともにくらって、蒼白はまたまた意識を手放したのであった。
意識が戻り、目を開いてまず目に入ったのは、一面を白に塗りつぶしたかのような天井であった。
医薬品のようなにおいがするととも、ほのかにくさいまるで牧場の馬糞を前にしたかのような異臭がその部屋を支配していた。
病院の入院棟。
馬糞のような臭いは、寝たきりでトイレに行けなくなったお年寄りの糞尿による臭いと思われる。
現状の把握はできたのであるが、なぜここで寝ているようになったかまでの経緯がわからない。
枝にあたって意識を失ったのだ。
意識が回復しただけでも奇跡だと思うし、すさまじい惨状が広がっていたであろうことは、想像に難しくない。
「あら? 起きたのね?」
一人で悶々としていると、一人の女性が室内に入ってきた。
おそらく花を生けるために洗面台にでも行ってきてくれていたのだろうか、彼女の手の中にはほっそりとした花瓶があった。彼女の名前はソリカエリ=墳楚リカエル。
ホラーと推理小説が大好きなスウェーデンと日本のハーフだ。
彼女にここまでの経緯を聞くと、素直に包み隠さずに教えてもらうことができた。
彼女が言うにはこうだ。
車はガードレールにぶつかった衝撃によるものか、フロントガラスが割れていた。
あわてて下をのぞき込むと、排水用と思われる道路より突き出ていたパイプに引っかかるようにしてぶら下がっていたらしい。
ほかの2名は後部座席に乗っており、意識はあったが話しかけても、うなり声をあげるのみでまともな反応がなかったため、病院に搬送した後、蒼白と同じように病室の天井にあるシミを数えているであろうということであった。
ちなみに蒼白が目覚める数日前に、やっとまともな反応が返るようになったとのことであった。
さあ! 次でおわるぞ♪
…終わるんだからね!? ここからさらに分かれたりなんてしないんだからねっ!