・真夜中の訪問者・
短編での作品のリメイクです。
2016年N月O日、Tとゆう親戚が脳腫瘍及び小脳全摘出の手術を行いました。
小脳は「運動機能や平衡感覚」を司る器官です。
私たちはずっとお見舞いに行っておりましたが、リハビリ施設に移るという事で、それ以降お見舞いに行っていなかったのです。
このお話は、その移った日から今日(2018年1月20日)までに起こった不思議なお話ですーーーー。
みなさんは【テン】とゆう動物はご存じでしょうか?
親指と人差し指で作った輪の大きさの穴でも通り抜けるリスのような動物です 。
このテンは、夜な夜な台所に忍び込んでイタズラをしたりするので、わたしの村ではあまり良いイメージを持たれていなかったのです。
お見舞いに行かなくなったある日のこと、夜があけた次の日の朝の3時頃 。
ガサガサガサ、、ゴトン、、ガサガサガサ
台所から音がするのです。
わたしは怖くて怖くて何がいるのかのぞきに行けませんでした。
その日から毎晩のように。
ガサガサガサ、、ゴトン、、ガサガサガサ…
あまりにも続くので怖さより興味が出てきたわたしは思いきって台所の隅っこにカメラを仕掛けていつものように寝ていました。
夜中の音は気にはなりますがもう慣れたので朝まで待って、カメラを確認してみました。
するとそこにはなんと三匹のテンが写っていたのです。
わたしは慌ててどこから入ってきているのか探しました。
テンが入ってくるような穴です。ヘビやらその他の虫やらが入ってくるのが嫌だったのです。
あちらこちら探していると、北側の網戸にポツーリポツリ、、
小さな穴が低い位置にひとつ。
何ヵ所かの爪を引っかけた後の上にもう一個、
穴がありました。
その日のうちに、穴は閉じられ安心していたその日の晩。
ガサガサガサ、、ゴトン、、ガサガサガサ
音がするのです。
おかしい!
穴は閉じて戸を閉めたはずなのに、です。
翌朝、玄関横の台所へ続く部屋の戸をみてみると、うっすらと開いていました。
ここだ!
そう思ったわたしは扉が開かないようにつっかえ棒をしました。
この時、ちょうど2017年の7月くらいでした。
それからはずっと静かな日々が続きました。
もうあの音にも悩まされることもなくぐっすりです。
2018年1月19日、この日はなぜかあまり寝付けず、起きては寝てを繰り返していました。
わたしは普段からあまり夢をみず、見たとしても次の日には忘れていたのですが、この日はなぜかちがったのです。
それは、静寂と暗闇が支配している寝室のなかで目覚めるところより始まりました。
眼が暗闇に慣れれば見えてくるはずだという期待をこめ、しばらく待ったもののその兆しはなく、はやく夢から覚めるようにと夢の中にも関わらず、わたしは強く目を閉じていました。
そんなとき、なにか音がしていることに気づきました。
ガサガサガサ、、ゴトン、、ガサガサガサ
そう、あの音です。
テンがいる!そう思って台所にいこうとするのですが、なぜか体が動かせません。
俊敏なはずのテンが、なぜか何度も壁にぶつかったり、足元をふらつかせながら這いずり回っているような、ひどく不器用で異様な音が聞こえていました。
ガサガサガサ、、ゴトン、、ガサガサガサ
音がだんだん近づいてきました。
おかしい!
台所と寝ている部屋の間には重い扉があってテンの力では開けられるはずがないのです。
すると突然、ガサガサガサ音が突然ふっと止まりました。
あー、よかった!助かったぁ!
わたしはホッとしてまた目を閉じました。
ガタガタガタガタ!!!
『入れて! はやく入れてよぉ!! 』
やんだと思った音はさらに激しさを増し、テンの声らしきものまで聞こえてくる始末。
テンは必死です。
わたしも眠ろうと必死です。
カリカリカリカリ…。
そして、気づくとわたし自身がテンになっていました。
飼っていたネコにエサと間違われでもしたらと思うと気が気ではありません。
時期は冬。ネコへの怯え、そして寒さからの震え。
まさに絶体絶命の大ピンチです。いつまでも開かない重い扉に構っていられません。
慣れない四足歩行でテンの入ってきたはずの網戸まで駆け寄るものの、肝心の穴がありません。
わたしは半泣きになりながら網戸をかじっていると突然大きな手に掴まれました。
『震えてるじゃないか、ほらっはやくお入り。』
暖かい大きな手。
小動物だというのに蔑まない、慈しむような人間の雰囲気に不覚にもドキッとしてしまいました。
その後テンは、生き物の枠を越えた彼への恋に忠実に従い、生涯を彼と共に過ごしたのでしたーーーー。
めでたしめでたし。
そんな夢でした。
そんなおとぎ話のような夢を見た、と思っていたのに
『震えてるじゃないか、ほらっはやくお入り。』
暖かい、人間の大きな手。
助かった、そう思ってホッと息をつき、私を抱き上げたその人の顔を見上げました。
そう、見上げたのです。
(もしかしてまたテンになってるの?!)
そこにいたのは、ついさっきまで布団で寝ていたはずの「私」でした。
「私」は、手の中の私を見下ろして、顔の半分が裂けるほどニタリと笑うと、そのまま私を冷たい屋外へと放り投げ、ピシャリと重い扉を閉めたのです。
ハッとして目が覚めました。全身が脂汗でびっしょりでした。
また夢……??
今度こそ現実?
もう何を信じればいいのかもわからず、あやふやなままふらふらと動き始めました。
朝ご飯を食べるため、台所へ向かうと、東側の網戸にポッカリと穴が開いておりました。
その穴は、外からではなく、部屋の内側から外に向かって、無理やり食い破られたようなササクレ立っていました。
1月20日のお昼、親戚Tさんのお通夜のお知らせが来ました。
詳しく聞いてみると、わたしがお見舞いに行かなくなった後、Tさんはリハビリに専念しようとせず、あげく施設に居続けられなくなったとのことで、それが2017年の7月くらい 。
お見舞いに行っていた頃、小脳を摘出したTさんが、いつもひどく足を引きずりながら、壁に何度もぶつかって歩いていた情景がなぜか脳裏をよぎりました。
その情景が、夢のなかでの這いずっていたようなテンの姿と重なります。
そして、息を引き取ったのは前日の夜9時15分ということで… 。
あのテンはいったいなんだったのでしょうか…
そして、あのときテンになったわたしを掴んだ手の主は…。
短編版とはラストをちょちょっと変えています。




