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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第1章 始まり
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第九話 風の巫女

 俺とリラは、今現在ギルドから離れ北東にある、建物の目の前にいる。

 協会だ。


「早く入ろうよ! ソラ! 」


 リラは俺の手を取り引っ張る。


「落ち着けってリラ」


 今のリラは俺が台風の影響で学校が休みになった時と同じくらいにテンションの高い。


 何故俺たちが教会に来たのかと言うと……

 酒場で昼ごはんを食べ終えた後、俺たちはルーブビレを観光することになった。

 そこで、ジーラさんに観光するのにいい場所はないか聞いたところ『教会に行ってみたらどう? 』と言われたので来てみたのだ。


「ここが教会か……」


 THE教会って感じの建物だ。


 ジーラさんによれば、教会はこの世界唯一の女神である、女神レーアス様を信仰する為に造られた建物だそうで、教会の中にある、女神レーアス像に祈りを捧げることで、女神レーアス様から称号を貰えることがあるらしい。

 称号はギルドカードの裏に書れる。


 そもそも称号は、何かを成し遂げた人や重要な役目を持つ者が女神様から与えられるで、例えば、王都に召喚された勇者たちには、『異世界から来た勇者』と言う称号がギルドカードの裏に書いてあったそうだ。

 称号が貰えれば、この世界で優遇される。

 なので、商人や貴族などの人も、称号目的で冒険者登録をするらしい。


 ジーラさんの話を聞いたリラは『ソラ! 面白そうだし協会に行ってみようよ』と、目をキラキラさせながら言った。

 俺も称号に少し興味が湧いたので、貰えなかったら仕方がない。

 と、軽い気持ちで、教会に行くことに決めたのだ。




 教会の中に入ると、神父さんとシスターさんが、俺たちの方に近づいて来た。


「本日はどの様なご用件でしょうか?」


 神父さんが俺たちに尋ねる。


「女神レーアス様に祈りを捧げに来たんですけど?」


 俺がそう質問すると、神父さんが無言で後ろを向き、歩き始めた。


(えっ!? 無視!?)


 リラも神父さんの態度に戸惑っているようだ。

 するとシスターさんが、「これから場所を移動するので私達の後ろについてきてください」と言った。

 俺たちは顔を見合わせ、シスターについて行く。

 そして、1つの扉の前に止まった。

 


 そこで俺たちは、シスターさんからこれからの説明を受けた。

 部屋に入れるのは1人ずつ。

 目の前の扉に二回ノックをして一拍まつ、そして失礼しますと言って部屋に入いり、女神レーアス像の前で進む。

 女神レーアス像の目の前に着いたら、両膝をつけて目をつむり、祈りを捧げる。

 それで終わりだそうだ。


(二回ノックからの失礼しますって……職員室か!)

 と、俺は思ったが、わかってくれる人がいないので口に出さなかった。


「それでは、まずどちらの方が行かれますか?」

「私が行きます!」


 リラが勢いよく手を挙げた。


「それでは女性の方からお願いします」

「ハイ!」


 リラは扉の前まで移動し、深呼吸をした。

 そして、扉に二回ノックをする。


「……失礼します!」


 リラが元気よく扉の中に入って言った。


     ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 リラが部屋に入って10分後、物凄い笑顔でリラが部屋から出てきた。

 リラは笑顔のまま、俺にギルドカードを渡す。

 可愛いなと思いながらギルドカードを受け取る。

 ギルドカードの裏を見るとそこには、【風の巫女】と書いてあった。


「風の巫女だって、凄いでしょ!」


 リラが風の巫女と言った瞬間、さっきまで興味なさげな神父さんの目が勢いよく開いた。

 シスターさんは「へえっ!?」っと素っ頓狂な声を出す。

 どうやら驚いているようだ。


 俺がシスターさんに驚いた訳を聞くと、神父さんが、風の巫女について話してくれた。

 風の巫女とは、昔、魔王を討伐した勇者の仲間が持っていた称号の一つで、風属性魔法に愛された人だけが貰える。

 巫女と付く称号は他にもあるそうだ。

 火の巫女、水の巫女、光の巫女、闇の巫女、無の巫女、回復の巫女、それぞれの属性に愛された者。

 風の巫女を合わせると全部で七つ。

 その中の一人がリラだそうだ。

 

 リラは、神父さんの話を聞いた後、何かを思い出したような顔をして言った。


「そういえば! おばば様が昔、風の巫女の称号を持っていたって聞いたことがあったよ」


 マーシさんは、700年前に祖父の旅について行ったのは、風の巫女に選ばれていたからだそうだ。


「あなた様は、レーアス様に風の巫女の後継者に選ばれたのです。どうか、新魔王軍を倒し世界をお救いください」


 神父さんが急にリラに頭を下げた。シスターさんも神父さんに続き、慌てて頭を下げる。

 するとリラは横に首を振った。


「私に頼むより、そう言うことソラに頼んで、ソラの方が私より凄いんだから」


 そう言ってリラが俺の方を見た。

 リラにつられ神父さんとシスターさんが俺の顔を見ふ。


「この方があなた様より凄い訳がありません。少しきになることはありますが、称号は一つも貰え無いでしょう」


(今……どう見ても俺の顔を見て言ったよね!)


 俺は昨日、ザルーガさんに勇者ツバサに似ていると言われたのにも関わらず、俺は神父さんに弱いと思われたのだ。


(実際に俺は弱いけど)


「ソラ!  早く部屋に入って私より凄い称号を貰ってきて!」


 リラが俺に無茶な要求をしてくる。

 軽い気持ちで来たのに、何でこんな事になっているんだろうと思いながら、俺は扉に二回ノックをして、部屋に入った。


「失礼します」


 年、組み、番号を言ったほうがいいのだろうかと、バカなことを考えながら奥に進む。

 部屋の中は白く殺風景で、奥に女神レーアスの像が立っているだけだった。

 俺は女神の像の目の前で、両膝をついて、目を閉じ祈りを捧げる。




「目を開けてください」



(えっ!?)


 俺しか居ない部屋の中で、女性の声が聞こえた。

 言われた通り目を開ける。

 そこには女神の像ではなく、美しい女性が立っていた。


(えっと……誰?)


「私の名前はレーアス。この世界の女神をやっている者です。やっとお会いできましたねソラ」

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