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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第3章
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第五十七話 ルレベの森ⅱ

ブックマークをして下さった方、ありがとうございます。

「勇者様のはずがない……たとえ勇者として召喚されたとしても、カナタくんは勇者じゃない! 勇者は困っている人々を助けて、困難に立ち向かっていく人のこと。でも! カナタくんは何もしてない!」


 トピアリーさんも会長さんに言われ、薄々分かっているたのだ……俺が勇者だと。

 でも認めたくない。


「それは違うよ! ソラはフーライラを倒して、街を救った! 私は知ってる!」



 トピアリーさんより大きな声で、リラは言った。


「カナタくんがフーライラを倒した!?」

「どういう事ですの、それは……」


 トピアリーさんと会長さんが驚く。

 リラが『しまった』って顔になった。


「…………」


 トピアリーさんたちの視線がリラに集まるが、リラは何も言わない。

 俺はリラの頭を撫でた。


「…………ソラ?」

「俺が話すよ」

「ごめん……私、ソラが『何もしてない』って言われて……」


 リラが俺のために言ってくれたことは、ちゃんとわかってる。


「ありがとうリラ」


 リラの顔が赤くなり、コクンと頷いた。


「さすがだよね〜。孫になっても血は争えない的な?」


 先程から黙っていた、カカリが喋りながら、俺の目の前まで歩いてきた。

 と、思ったらリンデさんとヒルデさんの方を見て……


「ごめんだけど、そこの2人には眠ってもらうよ」


 カカリがそう言った瞬間、リンデさんとヒルデさんが、ふらっとなり倒れそうになる。


「……ちょ!?」


 俺はとっさに2人を支えた。

 リンデさんとヒルデさんは、寝息をたてて眠っていた。


「カカリ……じゃないよな……」


 声と見た目はカカリだ。

 でも雰囲気が……


「レーアス様ですか?」

「よくわかりましたね。流石ソラです」


 見ただけで相手を眠らせるなんて神業だ。

 実際女神様だけど……


「「「………………」」」


 リラたち3人は、レーアス様と聞いたからか、固まっている。


「なんとなくですよ。でもなんで、女神の像が無いのに話せるんですか?」


 前にルーブビレの教会で、レーアス様は、女神の像がないと話せないと言っていた。


「神がかりと言ってね、巫女の体を通じて話せるようになるんだよ。時間は限られているけどね」

「神がかりをして、カカリに負担はないんですか?」

「負担と言えば魔力を使うくらいかな……カカリには許可を貰ってるよ。でもまぁ、話が終わったらすぐに退散するけどね」


 そう言って、カカリ(レーアス様)がトピアリーさんを見る。


「メリナ・トピアリーさん」

「はひっ!」


(『はひっ』って……)


「あなたもわかっていると思いますが、ソラは勇者です。それも私たちが新魔王を倒してもらうために召喚しました」


 トピアリーさんと会長さんが、俺がレーアス様に召喚された勇者だと聞き驚く。


「ここからは先は、誰にも言わないで欲しいんだけど……」


 カカリ(レーアス様)が会長さんとトピアリーを見る。

 2人は無言で頷いた。


「フーライラを倒したのは、リーラの言うとうりソラだよ。と言うより……ソラにしか倒せない」


(俺にしか倒せない?)


「正確に言えば、ソラと700年前のツバサだけです。私たちが言えるのはここまでです」


(そういう事か……)


 俺と700年前のツバサの共通点は、聖剣アルダートを持ち、扱える事だ。

 どうやらレーアス様は、俺が勇者ツバサの孫だという事は言わないようだ。


「私たちが言いたい事は……ソラはちゃんと使命を果たしているってこと。ルーブビレの街を救い、3人の巫女とも会っている」


(えっ!? ……3人?)


 俺が巫女だと知っているのは、リラとカカリだけだ。

 3人目は知らない。


「レーアス様! どう言う事ですか!?」

「今のは私からのヒントです。リーラにカカリ、その2人以外の巫女とソラは既に出会っているのです」


 そう言って、カカリ(レーアス様)の雰囲気から、カカリの雰囲気に戻った。


「カカリ……大丈夫か?」

「私は大丈夫ですよ。魔力の残りは少ないですが……」


 カカリが疲れたような顔をしている。実際に疲れているのだろうが……


「俺が勇者だって、ずっと黙ってすみませんでした。でも……フーライラを倒した事は黙っていてください」


 俺は会長さんとトピアリーさんに頭を下げた。


「ソラ様は……いいんですの? このまま隠したままで……」

「俺がフーライラを倒したことが広がれば、俺は新魔王軍の標的になります。そして必ず……周りにいる人たちも巻き込まれる……今の俺では、みんなを守ることはできません。だからこのままでいいんです」

「ソラ様! 流石ですわ! 自分より周りの人を心配なさっているなんて……」


 会長さんが俺の腕に抱きつく。


「会長さん離れてください。忘れていると思いますが、今は訓練中ですよ」

「そうでしたわ! でもヒルデさんたちは、眠ったままですわよ?」

「もうじき起きると思いますけど……」


 俺と会長さんが眠っている、ヒルデさんとリンデさんを見ていると……


「カナタ君……その……ごめんなさい。『何もしてない』なんて言っちゃって……」

「俺が隠している方が悪いんですから、気にしないでください」

「でも……」

「ほら! 正体を隠していた方がカッコいいじゃないですか!」


(ヒーローみたいで……)


「正体は隠してても、力は全く隠して無いけどねね」

「私もそう思います」

話を考えるのは難しいです。



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