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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第1章 始まり
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第十四話 ヤタの森

 俺とリラは【ワールブレスレット】の地図を見ながらヤタの森に向かっていた。


「コズッケがいれば楽なんだけどなー」


 この世界には、車などの乗り物はないが、コズッケと呼ばれる魔物がいる。

 コズッケに馬車を引かせて、人を乗せたり、荷物を運搬しているのだ。

 これは、馬車ではなく魔車と呼ばれている。


 ルーブビレの中にもコズッケを使いわ商品を運んでいる商人が沢山いた。

 コズッケは、四足歩行で移動をする草食魔物で、見た目は、爬虫類で首が長く綺麗な鱗に覆われている魔物だ。


「ヤタの森までもうすぐなんだから頑張ってよ」

「わかってるよ 」


 俺たちは話しながらヤタの森に向かう。



「ここがヤタの森か」


 ヤトの森の中に入ると、意外にも木が少なく、視界は悪くはない。


「リラ。この森にはどんな魔物が生息しているんだ?」


 俺はこの森の魔物が弱いと聞いただけで、ヤトの森に生息している魔物の名前すら知らない。


「私もよく知らないんだよね。ロナテーナは、基本的に安全だったから。エートスは別だけど」


 ロナテーナの周りの森には、迷いの霧の魔法が施されているので、魔物に会う事はない。

 魔物が入って来たとしても、大人のエルフがすぐに、魔物を倒していたそうだ。

 でも一つだけ例外があった。

 それは、俺が倒したエートスだ。

 いつの間にか迷いの霧を抜けて、オズタートに住み着いていたらしい。

 オズタートからエートスが、出てくる事はなかったが、危険という事でエートスの事は、マーシさんに教えてもらったそうだ。


「まぁ大丈夫か。俺とリラが居れば」


 俺たちは初級冒険者でも、それぞれ上級魔法が使える。もしものことがあれば聖剣を使えばいい。



 俺たちは森の奥に進むが、なかなか魔物が現れない。


「止まって。向こうから何か音が聞こえてくる」


 後ろから、ストップの声がかかる。

 俺には何も、音は聞こえなかったが、リラの指示どうりに止まる。

 リラがゆっくり歩き出したので、後ろについていく。


「見てソラ。あそこに魔物がいるよ」


 リラが指を指した先には、見た目が熊みたいな魔物が3体いた。

 特徴的なのが、耳がウサギみたいに長く、長く鋭い牙と爪を持っていることだ。


「うゎー 、魔物が魔物を食べているところなんて初めて見た。まぁ魔物を見たのも3度目だけど」


 俺たちの前にいる熊みたいな魔物は、鹿みたいな魔物を食べていたのだ。

 一体の魔物が俺たちに気付きいて、こちらに猛スピードで走ってくる。


「そっ……ソラ! こっちに来るよ! どっ……どうしよう」


 リラは、魔物がこっちに来るのを見て、おどおどしていた。


 リラは、魔法を唱えようとしたが焦っているのか、中々上手くいかない。

 魔物がリラを襲おうと腕を上に上げる。リラは腕を顔の前にやり、目を瞑った。


「アクアフォース」


 俺の身体が青い光に包まれた。

 俺はリラを間一髪のところで抱きかかえて、魔物の攻撃を回避する。


「あっありがとうソラ」

「間に合ってよかったよ」


 抱きかかえられたリラは、恥ずかしかったのか少し顔が赤い。


「リラあとは俺がやるよ。そこで休んでて」

「ダメ!! 私も戦う! 今度は大丈夫だから」


 リラは大丈夫だと言っているが、体は震えている。

 俺はリラを離して、リラの頭を撫でた。


 リラはいくら強くても可愛い女の子だ。

 いくら上級魔法が使えたとしても、実際に魔物を目の前にしたなら、怖くなるのは当然だろう。


「安心して。すぐに終わらせるから」


 俺はリラを撫でていた手を離して、魔物のところに向かう。

 いつの間にか魔物が5体まで増えていた。

 魔物が俺に同時に襲いかかって来る。

 攻撃を避けながら俺は魔法を放つ。


「スパイラルフレイム」


 3体の魔物が逃げ場のない炎の渦に囲まれる。

 魔法を解くと魔物は焼かれ死んでいた。


 スパイラル・フレイム は見た通り、火属性の上級魔法で、火の上位互換である炎を渦のように発動させ相手を攻撃する魔法だ。

 中級魔法に下位互換のスパイラル・ファイヤーがある。


「魔法の同時発動は、加減が難しくなるな」


 魔法の同時発動は最上級冒険者でも難しく、扱える人は一握りだそうだ。

 が、俺は二つ魔法を同時に扱える。

 その分加減とコントロールが難しくなるが……


「やりすぎた」


 さっきの魔法で、周りにある木までも焼けてしまっていた。

 下手したら森ごと焼いてしまうかもしれない。


「森で火は失敗だな。次は別の属性にしないと」


 残りは2体。

 仲間が死んだことに驚いたのか残り2体の魔物は俺を襲ってこない。

 どうやら仲間がやられて戸惑っているようだ。


「フリーズ」


 その魔法を唱えた瞬間、2体の魔物の足元が凍り始めた。

 凍る範囲はどんどん広がっていく。

 そして、1分も経たずに2体の魔物は完全に凍った。


 フリーズは、 水属性の上級魔法だ。対象を徐々に凍らせていく魔法で凍らせるスピードはコントロールできる。


「リラ終わったぞ」


 俺はリラに終わった事を告げると、リラが走ってきて、俺に抱きついた。


「ごめん……足引っ張って………私邪魔だったよね。私頑張ってソラと一緒に戦えるようになるから!  だから……一緒に旅を続けさせてください!」


 リラが俺に頭を下げた。


「謝らないでよリラ」


 俺はリラに顔を上げさせる。リラは泣いていた。


(女の子を泣かせるなんて情けないな俺は……)


「もし、リラが俺と旅を続けたくないと言ったとしても、リラを何としてでも引き止めて、一緒に旅を続けるつもりだ。俺はリラと離れるつもりはない」


 リラは涙を拭う。


「ありがとうソラ」


 リラは、最高の笑顔で笑った。

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