第十一話 真実
俺が部屋から出ると、リラたちがやっと出てきたって言いたそうな顔でこちらを見ていた。
「あっ! やっと出てきた! 」
言いたそうではなくリラは声にだしている。
そのリラが俺の所まで駆け寄ってきた。
「心配したんだよ。30分以上経っても出てこないから」
俺は、30分以上レーアス様と話していたらしい。
「ちょっと色々あってね」
俺がレーアス様と話している時は、外の時間の進みが遅くなっているか、止まっていると思っていたが、そんな事は一切無いようだ。
「ソラ、ギルドカード見してよ! 」
リラは俺の答えを待たずに手に持っていたギルドカードを取った。
そして、ギルドカードの裏に書いてある称号を見る。
「えっ! 何これ? 」
リラが驚いた顔のまま固まった。
「やはり、称号は貰えなかったようですね」
神父さんはそう言って、リラの手から俺のギルドカードを奪い取って、ギルドカードを見る。
すると、神父さんは口をパクパクさせた後、急に傾いたと思った瞬間、『バタン』と倒れてしまった。
「ぺっペルス様!」
シスターさんが慌てて、倒れた神父さんの元に駆け寄る。
どうやら、神父さんは気を失っているようだ。
(あの神父さん、ペルスって名前なんだ)
シスターさんがペルスさんの手から、俺のギルドカードを取って俺に渡した。
「すいません……ペルス様がこのような状態になってしまったので……今日は……」
シスターさんが口籠もる。
俺たちに今日のところは、帰ってくださいと言いたいのだろう。
「分かりました。俺たちは、これから用事が有るのでこれで失礼します。行こうリラ」
「………………」
リラからの返事が返ってこない。
未だに固まっている。
仕方がなく、俺はリラの顔の前で手をパンと鳴らした。
するとリラは、『ビクッ!』となり、周りをキョロキョロ見渡し始めた。
「リラ大丈夫か? 」
「ごめんもう大丈夫だよって……」
リラの視線が気を失っているペルスさんの方に向いた。
「何でこの人倒れてるの!? 」
「とりあえず宿に戻ろう。話はそこでするよ」
教会を出ると外はすっかり暗くになっていた。
宿に着いた後、俺たちはベットに腰掛ける。
そして俺はリラに話した。
部屋の中で女神レーアス様に会ったこと。
そこで、新魔王を倒してくれとお願いされたこと。 ギルドカードを見たら、俺にも何のことか分からない称号、【王族の血筋をもつ者】があったこと。
話し終えた後リラは、ずっと考え事をしている。
そろそろ夜ご飯を食べに行こうと言おうと思ったら、いきなりリラがベットから立ち上がった。
「ソラ! 分かったよ! 称号のこと」
「本当に!」
俺もベットから立ち上がった。
「ソラの祖母さんはどんな人だった?」
(俺のばぁちゃん?)
俺のばぁちゃんは、どこかは知らないけど外国から来た人で、優しくどことなく品がある人だ。
その中でも特徴的だったのはやっぱりあの赤い髪だろう。
昔、祖父に聞いたらあれは地毛だと言っていたが……
「まさか!」
「そう犯人はソラの祖母さんだよ」
(犯人って探偵かよ)
リラの 話し(推理)によると、俺の祖母が元この世界の王族つまり王女様だという事だった。
真実はいたって簡単、リラが昔マーシさんから聞いた話の中にヒントがあったそうだ。
700年前、祖父(元勇者)は元無の巫女と恋仲にあったらしい。
その無の巫女というのがこの世界のリフホーネの元王女様だそうだ。魔王を倒した後、元勇者は元王女を連れて、元の世界(日本)に帰ったそうだ。
話を聞くと推理でも何でもなかった。 リラがマーシさんから聞いた話そのまんまだ。
次の日の朝、俺たちは酒場の訓練場行くと、ジーラさんだけではなく、神父のペルスさんにザルーガさんまでいた。




