第25話ー起床ー
音は、ありえないところから聞こえた。
首はまだ体に繋がっている。
いまだに中に浮いている体。
その、向こう側。
化け物の背中越しに音が聞こえた。
思い何かが落っこちた音。
かろうじて見える左目は、かすんだ視界にしっかりとそれを捕らえた。
すでに黒と白でしか構築されていない世界のなかで、ゆっくりと立ち上がろうとする影。
辺りにあるモノにつかまりながら何とか立ち上がろうとしている。
生まれたての馬がどうにか立ち上がろうとするように。
立ち上がろうとするたびに体制を崩し、音を立てる。
ゴトリ、ゴトリ。
力なく倒れた瞬間に強く頭を打ち、それが物が落ちたような鈍い音を出していた。
・・・いまだに俺の首は落とされない。
そいつも、その音に驚いているのかもしれない。
いつでも離れられるはずの首と体がくっ付いたままなのだから。
ゴトリ。ごとり。・・・・ガツン!!
一際激しく頭を打ち付けた。
後はひざを伸ばすだけだというのにそこで一気に倒れこんでしまった。
「…」
「…」
「いてぇ…」
影が、声を発した。
呻く様な…いや、むしろ寝起きに出すような声?
だけど聞き間違えるものか、それはあいつがいつも教師に居眠りを注意されてたたき起こされるときに出す声。
白と黒のだいぶ昔のテレビのような景色でもそいつの姿ははっきりと見える。
制服の胸元は大きく破れているようだけど。
ついにしっかりとした足取りでそいつはたった。
野村はしっかりと地に足をつけた。




