60:プラン...
061
バン!
昼休みの教室に、机を叩く音が響いた……
一つのグループがお昼を食べながら机を寄せ合っていた……生徒は全部で6人
男子三人、女子三人のグループだった……
「みんなに手伝ってほしいことがあるんだ……」
少しオタクっぽい雰囲気の少年が、スマホの絵描きアプリで描いたラフなイラストを3、4枚広げながら言った……
でも細かい設定はしっかりと書き込まれていた……
「……これって……」
白髪ショートカットの少女、菅原・サメがその紙を手に取って眺めた……隣に座っていた友人たちも覗き込みながら残りの紙を手に取った
「モデルのコンセプト?……これって……」
ギャル系の見た目なのに実はユリ好きな高田・真百合がそう言った……
「……へえ……」
グループ全員の先輩であり、サメちゃんの将来の義姉でもある文学少女、青山・美冬が少年の顔を見た
「その……みんなにモデルを作るのを手伝ってほしくて……」
内気なコンピューターオタクの少年、ユウタはそう言いながら友人たちに頭を下げてお願いした
「……………」
みんな少し驚いた様子で彼の顔を見つめた……特に女装が好きな少年、アキラちゃんは
「一応聞くけど……このモデル、まさかお前のじゃないよな……」
「違うって……」
彼は首を振った……
「はぁ……よかった……」
グループのみんなはほっと胸を撫で下ろした……どうやらユウタが看護師モデルの女の子として自分自身がVTuberになりたいのだと勘違いしていたようだった
「ごめんなユウタ、俺と同じタイプかと思っちゃって……」
女性に散々からかわれ裏切られた経験から女性不信になり、代わりに女装好きの少年に恋してしまった太った少年、ハルくんが顔を手で覆いながらそう言った
「おいお前……」
ユウタはハルに嫌そうな顔をした……
「じゃあお前のじゃないなら……誰のなんだよ?」
アキラちゃんが尋ねた
そこでユウタはこれまでの経緯を全部みんなに話した……それを聞いたみんなは一斉に目を丸くした……
「あのレンタル彼女のこと!?マジかよ!?」
ハルが驚いて叫んだ。隣に座っていたユウタとアキラちゃんは慌てて彼の口を塞いだ……
「……………何か見てる?」
美冬が教室の他の生徒たちに向かってそう言うと、みんなすぐに視線を逸らした。彼女には「絶対に関わるな」という噂があったからだ
「……ごめん、ユウタがレンタル彼女使ってるって話は聞いてたけど、まさかお前みたいなオタクが同じ家に住むことになるとは思わなかったわ……」
「……向こうが誘ってきたんだから、断る方が馬鹿だろ……」
ユウタはそう言いながら、あのわがままなお嬢様の可愛い顔と仕草を思い浮かべた……
「それでお前……ずっとそのまま一緒に暮らすつもりなのか?」
アキラちゃんが皮肉っぽく言いながら牛乳を飲んだ……
「まあね……こんなチャンス、そうそうないだろ……それに……あの子、可愛いんだよ……」
そう言い終えると、彼はみんなに写真を見せた
「あぁ……この子か……道理でお前とやけに仲良さそうだったわけだ……」
女子たちは先月みんなで海に行った日のことを思い出した……あの日、大学生の女の子たちのグループも一緒に花火や水遊びをしていた……
「……へえ……なかなか綺麗な子じゃない。まあいいわ、本当に運がいいわねユウタ」
以前のハルなら「羨ましいなあ」と言っていたところだが、今は……彼はユウタの肩を叩きながら、この少女にはまったく興味がなさそうな様子で話した
「モデル名……アビゲイル・エブリン……あら!この人、私のチャンネルのトップスパチャの人じゃない……」
サメが詳細を読んでみて、あるトップスパチャ主のことを思い出した……
「あ、そういえばルリ先輩とユリカ先輩のトップスパチャ主でもあるって聞いたことある……」
「レンタル彼女ってマジで金持ちなんだな……」
「……この名前、なんか見覚えあるような……」
美冬はシャーロットのプロフィールを見つめながら考えていた……
「アキトさんの知り合いなんだそうです……」
「あぁ……分かった……西雄先輩の友達か……」
「先輩、彼女のこと知ってるんですか?」
「話したことはないけどね……最後に会ったのは先輩が福岡に行った時、しかも一回だけだけど……でもあの頃からめちゃくちゃ綺麗な子だったって覚えてるわ……」
彼女の言う通りかもしれない……ユウタは彼女の過去のことは秘密にしておこうと心に決めた……
みんなが知らないままの方がきっといい……
あんな残酷で、常軌を逸した過去のことは……
「じゃあ、まずは絵師を探さないとね……」
美冬がサメの顔を見た
「ちょっと待ってください先輩……私、三人分もタレントのイラスト描くの無理ですよ……」
「アキトさんに絵師を紹介してもらわないの?」
「そうしたいのはやまやまなんですけど……この送られてきたコンセプト、ジヨコ先生の絵柄には合わないんですよね……」
「そうなんですか?」
美冬はそう言い終えると、アキラちゃんの顔を見た……
「でもアキラちゃんの絵柄には合うと思うよ……」
「は?」
アキラちゃんは驚きのあまり牛乳パックを落としそうになった……
「なんでですか?」
「だって、見てよ……あなたの絵柄って、女の子を綺麗に描くタイプでしょ……ユウタが送ってきたコンセプトもまさにそういう感じだし……」
アキラちゃんの絵柄は完全に腐女子向けで、女の子を描く時はいつも美人系か、綺麗な普通の女の子っぽい感じになる傾向があった……
「……マジで言ってます?」
「マジよ……はい、暇な時に描いてみてよ……」
「ちょっと待って、俺まだ了承してませんけど……」
答えを聞く間もなく……午後の授業のチャイムが鳴った……
「そういうことで。試しに描いてみて本人に見せるってことで……あなたも彼女と接点持てて良かったじゃない」
「……………」
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