40: 午後5時 スターズ2
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『主役ですよ……いや、マジで主役なんですよ……』
『それで?』
『だからあなたが主役なんだから……CMがどんなに短くても演技の学校に行かないといけない……』
『先輩、このプロジェクトから俺を外せませんか!? 俺はアキさんですよ、なんでこんなことしないといけないんですか……』
『演技を舐めるなよ……』
『舐めてないです!ただやりたくないだけで……』
『でもクライアントがあなたを指名したんだよ』
『あなたはすごくいいエキストラだったんだから……』
『誰でもいいじゃないですか!! SNSに投稿して、俺の顔に似た人を探してますって書けば……ギャラ一万円でも来ますよ!五千円でも来ますよ!信じてください……』
『あなたじゃないとダメなんだよ……クライアントがあなたをすごく気に入ってるんだ……定時上がり名人……』
『考えてみなよ……あなたが主役なんだぞ……ヒロインと共演することになるんだ、しかも有名女優だぞ!!見てみろよ!! 柊ゆきなだぞ!!』
『先輩の会社じゃないですか……』
『でも今日から……アキさんには個室を用意しないといけないな……』
『ちょっと!俺がいつからアキさんになったんですか……』
『まあ……アキさんはもう契約したんですから……あなたは今やアーティストですよ……』
『そんなに長くアキさんって呼ばれてたのに、今になってこんな呼ばれ方するとは……』
『じゃあ……秘書を呼んできますね……あ!カワイさん……』
『はいっ、あ……アキさん……わあ……柊さんと共演するんですね……』
『そうです……しかも二シーンも並んで……』
『じゃあスケジュール確認しますね……』
「俺のスケジュール、何が入ってんだろ……」
『あの……ここに演技の学校に行くって書いてあります……』
『俺のギャラはいくらですか……』
『500円』
『先輩、俺を行かせるつもりですか……』
『演技の学校に……』
[wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[誰でもいいじゃん!!! wwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[マーガレットさん、3万円ドネート 500円かよ wwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[安すぎる wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[スターレベルで500円って、普通に悲しすぎる]
[クロロ・ルシルフルさん、11,111円ドネート 500円じゃスーパーで食材も買えないよ……]
[リスキーさん、55,555円ドネート 師匠かわいそうすぎ、よしよしε===(っ≧ω≦)っ]
[まさぽんさん、500円ドネート これ卵代ですね wwwwwwwwwwwwwwww]
[かわいそうすぎwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[ギャラ安すぎでしょ wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
『もうお願いです……誰でもいいんで……』
『でもクライアントがあなたのこと本当に気に入ってるんだよ……定時上がり優秀賞……』
『じゃあ俺はもう帰ります……』
『来週……演技の学校に行ってもらうから……』
「誰でもいいですよ……お願いだから……ね……」
「でもさ……こういう仕事、収入が十万近くになるのに!! でもこれ500円なんだよね」
「皆さんは俺が仕事受けると思います?……受けないよ……帰ろ……」
「で夕方になって……ユウタたちとゲームしてたじゃないですか……そしたら社長から電話が来てクライアントが急いで呼んでるって……」
『あの……アキトさん……アキトさんは弊社に何か問題はありますか?』
『ないですけど……』
『えっと……アキトさんはこの役に本当にぴったりで……何か困ってることがあれば言ってください……ヒロインを変えることもできますよ、ヒロインのリストがあるんで……』
『……でも俺は裏方ですから……』
「俺の仕事ってさ、脚本書いて、それを出演者に伝えて、タレントとインフルエンサーのスケジュールが合ってるか確認することで……」
『でも弊社のボスが考えたメインキャラはですね……社会人の男性で、背が高くて、シャツを着て、外に青いニットベストを羽織って、耳にピアスをして、しかもオフィス勤務の経験がある人物で……この役はあなたにぴったりすぎるんですよね……』
「そしたら先輩が俺を説得しようとして……」
『お前がこの仕事を受けないといけないんだよ……これがお前の輝く瞬間なんだから……』
『先輩……俺もうこれだけ有名なのに、何をどう輝けっていうんですか……もしこのCMが当たったら、ギャラの代わりにCMの株でもらえるって契約書に書いてくれるなら……』
『トム・クルーズみたいに書いてもいいけど……お金に困ってるのか……』
『そうです!困ってます!』
『じゃあ予算を増やすよ……』
『いくらですか……』
『700円でどうだ……』
『どこへでも行ってください……』
『ちょっと待て……個室も用意するし、ケータリングも食べ放題だし、演技の学校のスケジュールもあるぞ、まだ不満か?』
『株の契約書を持ってきてください。トム・クルーズにもなりますよ、トム・ハンクスでもなんでも。つまりこのCMで俺がメイン以上に話題になったら、これだけの株をもらう……持ってきてください。書いて見せてください……』
「それで書いてもらったら……2%って書いてあって……」
「俺はそいつのことを平安時代まで先祖を掘り起こして、三十分くらい罵倒してやりましたよ……」
『クライアントがお願いしてるんだよ……クライアントはあなたのことが好きで、配信もずっと見てて……個人トレーラーが欲しくないか……ケータリングじゃなくて食べたくないか……』
『そのぶんの予算、俺に回せませんか?』
『できない!!』
「結局……撮影の仕事を受けることにして……というかですね……」
『じゃあなんでその予算を俺に回してくれないんですか……』
『あ……それは私の予算じゃなくて、クライアントの予算で……出演者の予算はあれだけなんですよ……』
「気が狂いそう……」
[ほんとに頭痛くなりそうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[もうやだ、そこまで粘るのかよ]
[食い下がりがすごい……wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[師匠も社長もどっちも気の毒すぎる……]
[めちゃくちゃ面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]
[クライアントさんもなんか……wwwwwwwwwwwwwwwwww٩(ᗒᗨᗕ)۶]
「まあそういうわけで……俺も仕事を受けることにして……そのCMもそれなりに話題になったし……友達からはめちゃくちゃいじられまくって……ほんとに……」
「俺ってさ……どこ歩いてても、コンテンツが向こうから来るんだよな……ほんとにもう……」
アキくん、本当に気の毒(笑)。YouTubeで語り系のチャンネルをやってるんだけど、いつも何だかんだで現場がカオスになっちゃうんだよね。しかも、そのカオスが絶えず彼の方に降りかかってくるっていう……。




