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ある日突然、無職の俺が、自分より丸々8歳も年下の女の子がVTuberになるのを手伝うことになった。  作者: Sakusaku
ARC 3:VTuberになりたい声なき少女 — ホリカワ ・ ホリキタ

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40/67

40: 午後5時 スターズ2

 041


『主役ですよ……いや、マジで主役なんですよ……』


『それで?』


『だからあなたが主役なんだから……CMがどんなに短くても演技の学校に行かないといけない……』


『先輩、このプロジェクトから俺を外せませんか!? 俺はアキさんですよ、なんでこんなことしないといけないんですか……』


『演技を舐めるなよ……』


『舐めてないです!ただやりたくないだけで……』


『でもクライアントがあなたを指名したんだよ』


『あなたはすごくいいエキストラだったんだから……』


『誰でもいいじゃないですか!! SNSに投稿して、俺の顔に似た人を探してますって書けば……ギャラ一万円でも来ますよ!五千円でも来ますよ!信じてください……』


『あなたじゃないとダメなんだよ……クライアントがあなたをすごく気に入ってるんだ……定時上がり名人……』


『考えてみなよ……あなたが主役なんだぞ……ヒロインと共演することになるんだ、しかも有名女優だぞ!!見てみろよ!! 柊ゆきなだぞ!!』


『先輩の会社じゃないですか……』


『でも今日から……アキさんには個室を用意しないといけないな……』


『ちょっと!俺がいつからアキさんになったんですか……』


『まあ……アキさんはもう契約したんですから……あなたは今やアーティストですよ……』


『そんなに長くアキさんって呼ばれてたのに、今になってこんな呼ばれ方するとは……』


『じゃあ……秘書を呼んできますね……あ!カワイさん……』


『はいっ、あ……アキさん……わあ……柊さんと共演するんですね……』


『そうです……しかも二シーンも並んで……』


『じゃあスケジュール確認しますね……』


「俺のスケジュール、何が入ってんだろ……」


『あの……ここに演技の学校に行くって書いてあります……』


『俺のギャラはいくらですか……』


『500円』


『先輩、俺を行かせるつもりですか……』


『演技の学校に……』


[wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[誰でもいいじゃん!!! wwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[マーガレットさん、3万円ドネート 500円かよ wwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[安すぎる wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[スターレベルで500円って、普通に悲しすぎる]


[クロロ・ルシルフルさん、11,111円ドネート 500円じゃスーパーで食材も買えないよ……]


[リスキーさん、55,555円ドネート 師匠かわいそうすぎ、よしよしε===(っ≧ω≦)っ]


[まさぽんさん、500円ドネート これ卵代ですね wwwwwwwwwwwwwwww]


[かわいそうすぎwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[ギャラ安すぎでしょ wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


『もうお願いです……誰でもいいんで……』


『でもクライアントがあなたのこと本当に気に入ってるんだよ……定時上がり優秀賞……』


『じゃあ俺はもう帰ります……』


『来週……演技の学校に行ってもらうから……』


「誰でもいいですよ……お願いだから……ね……」


「でもさ……こういう仕事、収入が十万近くになるのに!! でもこれ500円なんだよね」


「皆さんは俺が仕事受けると思います?……受けないよ……帰ろ……」


「で夕方になって……ユウタたちとゲームしてたじゃないですか……そしたら社長から電話が来てクライアントが急いで呼んでるって……」


『あの……アキトさん……アキトさんは弊社に何か問題はありますか?』


『ないですけど……』


『えっと……アキトさんはこの役に本当にぴったりで……何か困ってることがあれば言ってください……ヒロインを変えることもできますよ、ヒロインのリストがあるんで……』


『……でも俺は裏方ですから……』


「俺の仕事ってさ、脚本書いて、それを出演者に伝えて、タレントとインフルエンサーのスケジュールが合ってるか確認することで……」


『でも弊社のボスが考えたメインキャラはですね……社会人の男性で、背が高くて、シャツを着て、外に青いニットベストを羽織って、耳にピアスをして、しかもオフィス勤務の経験がある人物で……この役はあなたにぴったりすぎるんですよね……』


「そしたら先輩が俺を説得しようとして……」


『お前がこの仕事を受けないといけないんだよ……これがお前の輝く瞬間なんだから……』


『先輩……俺もうこれだけ有名なのに、何をどう輝けっていうんですか……もしこのCMが当たったら、ギャラの代わりにCMの株でもらえるって契約書に書いてくれるなら……』


『トム・クルーズみたいに書いてもいいけど……お金に困ってるのか……』


『そうです!困ってます!』


『じゃあ予算を増やすよ……』


『いくらですか……』


『700円でどうだ……』


『どこへでも行ってください……』


『ちょっと待て……個室も用意するし、ケータリングも食べ放題だし、演技の学校のスケジュールもあるぞ、まだ不満か?』


『株の契約書を持ってきてください。トム・クルーズにもなりますよ、トム・ハンクスでもなんでも。つまりこのCMで俺がメイン以上に話題になったら、これだけの株をもらう……持ってきてください。書いて見せてください……』


「それで書いてもらったら……2%って書いてあって……」


「俺はそいつのことを平安時代まで先祖を掘り起こして、三十分くらい罵倒してやりましたよ……」


『クライアントがお願いしてるんだよ……クライアントはあなたのことが好きで、配信もずっと見てて……個人トレーラーが欲しくないか……ケータリングじゃなくて食べたくないか……』


『そのぶんの予算、俺に回せませんか?』


『できない!!』


「結局……撮影の仕事を受けることにして……というかですね……」


『じゃあなんでその予算を俺に回してくれないんですか……』


『あ……それは私の予算じゃなくて、クライアントの予算で……出演者の予算はあれだけなんですよ……』


「気が狂いそう……」


[ほんとに頭痛くなりそうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[もうやだ、そこまで粘るのかよ]


[食い下がりがすごい……wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[師匠も社長もどっちも気の毒すぎる……]


[めちゃくちゃ面白いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww]


[クライアントさんもなんか……wwwwwwwwwwwwwwwwww٩(ᗒᗨᗕ)۶]


「まあそういうわけで……俺も仕事を受けることにして……そのCMもそれなりに話題になったし……友達からはめちゃくちゃいじられまくって……ほんとに……」


「俺ってさ……どこ歩いてても、コンテンツが向こうから来るんだよな……ほんとにもう……」

アキくん、本当に気の毒(笑)。YouTubeで語り系のチャンネルをやってるんだけど、いつも何だかんだで現場がカオスになっちゃうんだよね。しかも、そのカオスが絶えず彼の方に降りかかってくるっていう……。

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