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ある日突然、無職の俺が、自分より丸々8歳も年下の女の子がVTuberになるのを手伝うことになった。  作者: Sakusaku


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2: 少女の願いと、50万円。2

  VTuberとは、アニメーションモデルをカメラの前に立たせ、実在の人物がナレーションを担当するインフルエンサーのことです。VTuberは大きく2種類に分けられます。1つ目は、所属事務所を持つVTuberです。所属事務所は、モーションキャプチャカメラやコンピューター機器など、様々な面でサポートを提供し、規模の大きな事務所では宿泊施設を提供する場合もあります。しかし、多くの場合、非常に厳しい規則が設けられています。


  2つ目は、独立系VTuberです。独立系VTuberは、コンテンツや発言内容に関して完全な自由度を持ち、所属事務所を持つVTuberほど費用はかかりません。


 俺は自然と大声で笑い出した。


「でも当時のお前は本当に目を輝かせてたよ。VTuberの話になるたびに、止まらなくなってたじゃないか」


 康彦は美しい所作でグラスにアルコールを注ぎながら言った。


「……夢だから話せるんだよ」


 この世界には、夢は決して叶わないという現実が存在する。人の一生が、束の間の思いつきに沿って進み続けることはありえない。


 夢を追いかけられない人を、何度も見てきた。それはこの世界では当たり前のことだ。


 しかし、「夢を叶えたのに、思い描いた通りにはいかなかった」という人間よりは、まだましだと思う。


 ……転ばぬ先の杖とはよく言ったもので、俺はずっとこう思っている。何の望みも、夢も、欲しいものさえも持たない人間は、それはそれで素晴らしいことだと。


「どうなるかわからないこと」に十数年もの時間を費やさずに済むから、幸せに生きていけるのだ。


 とはいえ、今の俺には絶対に手放すことのできない大切な責任がある。唯一残った家族である妹の面倒を見ること。彼女が卒業するまで学費を出し続けること。俺みたいに苦労しなくて済む、ちゃんとした仕事に就けるようにしてやること。


「そういえば、星野が来月結婚するって知ってた?」


 聞き覚えのある、もう忘れかけていた名前が浮かんだ。


「本当に?……相手は誰なの?」


 その美しい名前の持ち主は、俺の中学時代の元カノだったから。


「知らないけど……大学のときに知り合ったらしいよ。相手は輸入車の営業マンで、星野は天文学の研究者をしてるって」


 すごいな……今の俺と比べたら、足元にも及ばない。


「俺とは大違いだな」


 俺はそう言いながら酒をひと口飲んだ。


「だってお前が岩の隙間に閉じこもってるからじゃないか。人生は残酷だってふりをして、心の中では自分が『なんでもできる』ってわかってる。それは自分を傷つけてるって言う方が近いんじゃないか」


「まあな……」


 俺は手首の時計をちらりと見た。


 もう夜中の二時だ。終電もとっくに終わっている。歩いて帰るか、タクシーを呼ぶしかない。俺は立ち上がって財布を取り出した。


「あれ……もう帰るの?」


 康彦がやや驚いた顔で聞いた。


「ああ……今日はいろいろあったから。もう寝たい」


「そうか……あ、星野の結婚式、来月の二十日らしいよ」


 俺は金を払って友人に手を振り、店を出た。


 003


 大通りで


 俺はスマートフォンのアプリでタクシーを呼び、歩道で待った。五分ほどして車が来た。


 こんな時間にまだタクシーが走っているのが不思議に思える。きっと俺みたいに終電を乗り過ごすまで飲んでいたオフィスワーカーを迎えに来ているんだろう。でもまあ、自分をしっかり保っていられるなら、少なくとも家に帰れるだけましだ。


「お客さん……今日はたくさん飲まれましたか」


 ずっと黙って座っている俺を気にしてか、タクシーの運転手のおじさんが話しかけてきた。


「そこそこ飲みましたね。でも強いお酒じゃなかったんで、まだちゃんと歩けますよ」


 六本木と俺の住む祖師ヶ谷は、それなりに距離がある。どうせなら時間つぶしにおじさんと話してみようか。


「ほう……そうですか。私のお客さんはだいたい、酔ってなければ後部座席を汚すかのどっちかですよ」


「それは大変ですね。でも深夜にこうして走ってて大丈夫なんですか?稼ぎもそんなに多くないでしょうに」


「誰がそう言いました?夜だけ走ってるのは確かですが、こんな大きな街じゃ、あなたみたいな夜型の人間もたくさんいますよ」


「そうですね」


 とりとめのない話をしているうち、窓の防護ガラスに貼られた炭酸飲料の広告に目が止まった。キャラクターのイラストが描かれていた。


「……」


 ずっと話し続けていた俺が黙ったせいか、運転手のおじさんが話しかけてきた。


「その広告が、何かありましたか」


 俺は少し驚いたが、すぐに気を取り直した。


「いえ、最近キャラクターをプレゼンターに使うんだなと思って」


「ふむ……私はそういうのはよく知らないんですが、確か……VTuberって言うんでしたっけ。忘れてしまいましたが」


 VTuber。今日で二日連続でこの言葉を聞いた。


「孫娘が大好きでしてね。宿題が終わったら、ずっとそれを見てますよ。私も二、三本見ましたが、そんなに刺さりはしませんでしたけど」


「すっかり全国区になりましたよね。ニュース番組によってはVTuberにニュースを読ませてるところもあるって聞きましたよ」


「へえ……そこまで来てましたか。まあ、もう私らの時代じゃないですからね。慣れていかなきゃいけないことも多いでしょうな」


 今年で俺は二十五歳。新しい世代と古い世代の狭間にいる年頃だ。だから大人の考えにも、子供たちのたわごとにも、反論したことがない。


「そうですね」


 できることなら、勝ち組の側についていたい。


人生とは退屈なものであり、自分の愛することをしていなければ、それは耐えがたいほど味気ないものになってしまいます。私が小説を書き続けているのは、単にそれが心から楽しいからです。小説や漫画は、私の人生に真の彩りを与えてくれました。

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