17:今の自分の人生には、もう本当にうんざりしています……。
018
「そういえば……君たちはどこで出会ったの?」
加藤先輩が、僕が聞きたくない質問をしながら、熱々の肉を郁郎くんに食べさせていた。
「えへへ……二年次の時ですね。その時、選択授業を一緒に受けていて……それから色々話すようになったんです」
「僕が星野を初めて見た時、まさに運命って感じでしたよ」
旦那さんがからかうように言った。
「えへへ……ちょっと待って……」
星野が笑顔で返事をする……僕はいったい何をしているんだ。
「あ、そうだ……あなた、車の仲介の仕事してるんですよね? 私、またポルシェが欲しいんですけど」
「そうですか、更屋敷さん。これは僕の連絡先です……」
正直、顔を見ただけで彼がどれだけ性格のいい人かわかった……僕もお金持ちの人をたくさん見てきたが、その中で彼はいい人の部類に入る。
「車といえば……あなたが乗ってきた車は、レクサス LS 300h Luxury ですよね」
僕が彼に話しかけてみた。
「え! 秋人さん、こういう車に詳しいんですか? 車好きなんですか?」
「もちろん……でも知ってるだけですよ。僕が運転するなんて、手が震えて仕方ないです」
会場のみんなが笑った。スバルも僕が彼の車を運転できない話をみんなに話して、みんなで笑い合った。
彼は仕事も安定していて、僕なんて他人のストレスで飯を食って、それをYouTubeで話すだけだ。
彼は高級車を持っていて、僕よりずっといい身分……しかも星野のことを僕よりずっと大事にしている。
「そういえば……西尾くんは来ないの?」
「急な仕事が入ったみたいだね。私立探偵も忙しいんだな……」
「まあね……」
僕も友達を何人か呼んだ。ヤツや正臣、病因坂のやつらも。でもみんな仕事があって来られなかった。
「で、君たち二人は……一緒に住んでるの?」
「はい……三年生に上がってから一緒に住んでます」
女の子たちが顔を見合わせて、くすくす笑った。
「本当にラブラブなんだね……」
「そうですね……」
すると突然、双葉さんがその質問をした。
「つまり二人はもう子供がいるってこと?」
旦那さんと星野が少し慌てた。
「まだですよー! でも頑張ってるところです……」
「こんな時にそういうこと言うなよ……」
会場のみんなが、この夫婦をほほえましく見つめていた。
正直、星野と付き合ってから、僕は一度もそういうことをしたことがない……彼女は男性恐怖症だからだ。
手を握るだけでも、銃を撃つより難しい。手を握ろうとしたら平手打ちされたのを覚えている。
「おい……秋人……どこ行くんだ?」
正直、近くにいればいるほど胸が痛い……郁郎も僕に声をかけた。
「ちょっとタバコ吸ってくるよ……子供の前で吸いたくないから……」
会場のみんなが拍手して、「お前意外と子供好きなんだな」とからかった。
家の裏手。僕の家は裏に木のデッキが伸びていて、裏庭がある。最近はここでよく酒を飲んでいる。
僕は隣接したキッチンに入り、冷蔵庫を開けて、冷やしてあった酒のボトル二本が入った氷桶を取り出した。
「オーライ!~」
はあ……こんな状況で僕を癒せるのは酒だけだ。僕はヘッドホンをはめて、できる限り音量を最大にした。
「はあ……本当に因果応報だな……」
酔いが回り始めると、いつものように独り言が止まらなくなる。
「昔は男が怖かったのに、今は新しい彼氏とラブラブかよ……くそっ! なんであんなやつを本気で口説こうとしたんだ、バカバカしい」
「あの時、俺はあいつを満足させるために何でもした。プレゼントを買って、夢を応援して、親と仲直りさせて……それなのに、馬鹿げた理由で別れを切り出した。『また会える日を待たせて苦しめたくない』だって。最低の理由だろ!」
「俺は別れることに少しも苦しんでなんかいない。一言も聞かずに勝手に決めつけて、復縁を求めると『別れたままでいい』って……泣いて寝たくないって。ふざけんな。お前をそんなにわかってるつもりかよ」
「結局どうなった! あのクソ野郎とどこでもいつでもセックスしてるくせに、俺がちょっと手を握っただけで平手打ちしてきて、『まだ学生だよ』だってよ!」
「しかも平気な顔で『また友達に戻ろう』とか言いやがった。クソが!」
「前の会社の課長も同じだ……残業させて金も払わないとか、バカかよ。それに俺が早く昇進したからってクビにしやがった。嫉妬丸出しだ」
「こんな世界から消えてしまえ。友達も後輩も全部どうでもいい……」
「本気で何かをやろうとすると全部失敗する。どういうことだよ……神様は俺を嫌ってるのか」
「父さんは新しい女を作り、母さんも新しい男が何人いるかわからない……まるで頭がおかしい連中のようだ……」
「………………こんな人生なら死んだほうがマシだ」
僕は全部を空気に吐き出した……誰もこの世で他人の悪い話を聞きたがらないことを知っているから。無生物に話すなら大丈夫だ。
「他のやつらは何もしなくても上手くいってる。いい家族がいて、お金もたくさんある。俺を見てみろ……本当に惨めだ」
「他人に説教ばかりしてるくせに、自分の人生はどんどん沈んでいく」
「生きてる意味がわからない……妹も本当の妹じゃないし、母さんも風俗婦と大差ない、バカバカしい!」
「親戚はたくさんいるのに預けに来て……あの売女が!」
僕は母さんのことを売女と呼ぶようになっていた……酔っているのか、本心なのかわからない。
「……大変そうですね」
え?……誰だ?
「当たり前だろ! 俺はもう死にたいよ! 早くあいつと穏やかに暮らしたい」
「それじゃあ妹さんは悲しみませんか?」
ぼやけてよく見えない。
「悲しむ?……ふざけたこと言うなよ。俺が話しかけても無視するようなあの子が、俺が死んだくらいで悲しむわけないだろ……バカバカしい」
「あなた……みんなを嫌いなんですか?」
何を聞いているんだ。
「俺は俺を嫌うやつらを嫌ってるだけだ。あいつらが俺みたいなやつに優しくするから困るんだ……仕方ない、俺はただの嫉妬深い人間なんだから……」
「ずっと傷ついてきたんですね……」
だんだんはっきり見えてきた……見覚えがある。でも女の子だ。
「そうだよ! でもまあ、酒とタバコがいつもそばにあるから狂わずに済んでるけどな……はあ……お前らが大好きだよ……」
「でもお酒とタバコは体を壊すだけですよ……」
なんであの子の目から涙が流れているんだ。
「体なんてどうでもいい! このままのほうがいい……早く死んで終わりにしたい!」
「あなたが死んだら……みんな悲しみますよ。特に……」
「悲しむ?……それがどうした。誰も本気で悲しむわけないだろ! 親ですら俺を捨てて帰ってこないのに、そんなわけ……」
その子は僕を抱きしめた……正気を取り戻してそれが菅原だと気づいた時には、もう遅かった。
「うっ……うえっ……」
彼女……泣いている……。
俺は……今、何を……しているんだ……。
「…………」
僕はただ黙っていた。
「お願いします……」
彼女の声が震えていた……きっと彼女は、酔った人の独り言と普通の人の言葉を区別できなかったのだろう。
「死のう……なんて思わないでください……」
俺は……今、人生で一番最低のことを……している……。
俺は……彼女を泣かせてしまった……。
「もし秋人さんが死んだら……私は嫌です……」
ああ……俺は……本当に最低だ。
まさにそういう理由で、前の彼女に振られたんだよな。正直、とんでもなくくだらない理由だったけど。でも、そこで文句を言ったらこっちが悪者扱いされるだけだったから、受け入れるしかなかった。結局のところ、今の自分にぴったりの女性なんて存在しないって結論に達したよ……まったく、やってられないな。




