0002. 自分磨きで良い出会いを
「よっし、予定通り17時過ぎに帰宅できたね。ゲーム開始は会社員に優しい19時からだし、事前のアバター作成も18時スタートだから、今のうちに夕食とお風呂を済ましちゃいますかね」
至高のモフモフをお迎えするのだ。ただログインするだけじゃダメ。
全身の汚れを落とし、毛穴を開いて、世界の魔素を完璧に受け入れるための『器』を整えなきゃ……!
(後に幻獣アカデミー主席講師らによって『10万分の1の奇跡を呼ぶための崇高な浄化の儀式』として公式マニュアルに載せられてしまう、無自覚な『琴音メソッド』の始まりであった)
一生の相棒となる幻獣との出会いに、妥協は一切許されない。何事にも事前の準備と、崇高な儀式が必要だと思うのよね。
今日はこのオープニングにしっかりと間に合うよう、朝いつも以上に早起きして、おかずだけ作っておいたのだ。ちなみにご飯はレンジで温めるだけのレンチンご飯で時短する。
お風呂もちょっともったいないけど、朝に一度溜めて沸かしておいたので、追い焚きをするだけで、すぐに入れる状態でこちらも時短。
ごはんを食べている間にお風呂も追い焚きできて、ホカホカになるだろう。チャチャッと夕食とお風呂を終わらせて、八百幻に対するこの気持ち、心を落ち着かせる時間――もとい、精神統一の時間が欲しいのよね。
ーーーー夕食、お風呂後
「よぅーし、ちょうどあと1分位だね。夕食完了、お腹いっぱい。お風呂完了、毛穴全開で身支度OK。トイレ行った、直前の水分補給OK、VR機器電源OK、フルフラットチェアの準備OK。よしっ、準備万端だね!ゲームスタートしてログイン待ちできるよ。さぁ~、始めようか」
私は|ヘッドマウントディスプレイ《HMD》を被る。
どんな幻獣との出会いが待っているのか、ワクワクが止まらず、ニヤけながら、ゆっくりとVRMMO専用のフルフラットチェアに仰向けになり、順番を待った。
ーーーー数分後ーーーー
さぁ~、出会いの準備は万端、そのための努力もしてきたし、超絶Kawaii子に会えますように!
(BGM:『アバター作成とサポートAIとの出会い』開始)
※近未来感のあるアンビエントなシンセサイザーから始まり、新しい世界への期待が高まるような、明るく浮遊感のあるテクノポップ。
意識が沈み、次の瞬間、視界が開けた。さっきまでの重苦しい現実が嘘のような、明るく浮遊感のあるテクノポップが私を歓迎してくれる。
八百幻の待合室に入り、少し待っていると、後ろから声をかけられた。
「お待たせしました。ようこそ、八百万の幻獣物語ヘ。開始まで、まだ時間がありますので、アバターを作成をしますか?」
「はい、作成します。よろしくお願いします」
「承知しました。私はサポートAIのファイ0027です。アバター作成は、マニュアルとサポートとありますが、どちらにしますか。サポートの場合、あなたの登録全身画像データからベースアバターを作成し、それを修正しながら完成させます。全く別の姿をしたい場合や、獣人や亜人になりたい場合は、マニュアルになります」
「マニュアルで作成できる種族は何がありますか。それと獣人、亜人、人族などで何か種族の違いがあるんですか?」
一応、事前にβテストで選べた種族は調べてあるけど、新種族があるかもしれないしね。
「現在、選べる種族は大きく6つです。人族、亜人でエルフとドワーフ、それと獣人と竜人、鳥人です。種族により、幻獣の仲間になりやすさや、神々の加護のもらいやすさが異なります。また、各種族カテゴリーで、さらに細かく分かれていますが、長くなりますが説明しますか?」
おっ、竜人と鳥人が増えたのかぁ。これは人気が出るかもねぇ。
イメージだと、タンクのドワーフ、近接アタッカーの竜人、遠距離アタッカー兼ヒーラーのエルフ、近接アタッカー兼避けタンクの獣人、斥候兼遊撃の鳥人、器用貧乏の人族って感じかな。
私は野蛮な戦闘が嫌いだし、ほとんどできないと思うから、エルフか鳥人か、人族かな。あとは、どんな加護がもらいやすいかだね。
「なるほど、それじゃあ、それぞれの種族で仲間になりやすさと加護のもらいやすさを教えててもらえますか?それと細かい種族の説明はいらないです」
細かく聞いてみたいけど、開始時間までにアバター作成終わらないとスタートに出遅れちゃうからね。ここは我慢して、後で寝る前にでもWikiか攻略情報WEBページでも見に行くかな。たぶん、攻略班が情報をアップしてくれるだろう。
「はい、それでは、大まかに説明しますね。各種族の仲間になりやすさは、それぞれの種族への『親和性』で決まります。
例えば、竜人ならドラゴンなど鱗のある幻獣、鳥人ならフェニックスなど空を飛べる幻獣、ドワーフならカーバンクルなど鉱物・土に関わりのある幻獣、獣人ならフェンリルなど獣の幻獣、エルフならドライアドやシルフなど木や風に関わりのある幻獣。最後に人族は、どの幻獣とも『平均的』です。加護も今言ったのと同じ傾向です」
モフモフを極めたい私としては、獣人一択……と思ったけれど。
よく考えたら、獣人にしたら「獣系」には好かれても、他の鳥系や精霊系のモフモフとの親和性に偏りが出ちゃうかもしれない。
犬、狼、狐、猫……さらには未知のモフモフまで。
あらゆる幻獣を制限なく愛でるためには、特定の属性や親和性に縛られない『万能の器』である人族が一番だわ!
「わかりました。それなら、特定の属性に縛られたくないので……人族でサポートをお願いします」
「承知しました。それでは人族でサポートを致します。データを読み込みますので、その間に名前、髪色、髪の長さ、目の色を決めてお待ち下さい。髪型と身長等の体型は、ベースアバターの作成後に調整出来ますが、体型はベースアバターの上下5%以内でしか調整出来ませんので、ご了承ください」
まぁ、体型を調整し過ぎると、現実に戻ったときに違和感が出て、体調を崩す人がいるって聞いたことがあるからねぇ。しょうがない。
私は160センチ半ばはあるから、170前半ぐらいにして、ちょっとスリムなモデル体型にしてみようかな~。髪色と目の色はもう決めてるし、名前も自分の名前をいじって決めてあるから、ベースアバターさえできれば直ぐに決まるはず。
琴音が戦国時代に転生してスローライフを目指して生き抜く話を週3回、月曜、水曜、金曜と投稿しています。こちらの作品も楽しんでもらえればと思います。
戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜




