住宅街迷宮
車を走らせ特に問題もなく迷宮へたどり着いた四人は、閑散とする迷宮内に入っていってた。
「人が少ないとはいえ、住宅街のど真ん中にある迷宮だからな。さすがにすぐに呪いは使えないな」
「そうですね。話によると低階層は学生の小遣い稼ぎに使われるぐらいには楽勝らしいですし」
「魔物の数もたかが知れているし罠もない。しかも注意深くしてればまずスキルなしでも不意打ちなんか受けないし、受けたところで致命傷とは程と遠いとかならそうなるだろ」
「えっと、魔物のレベルは。20レべ超えるのすらいない。低階層なんてこんなものだから」
遠くに見えた魔物の鑑定をして出てきた情報を見て、普通はこうだよなという反応をする四人。
「人の気配は、するね。でも数える程度」
「年度始まってすぐにこんな迷宮に来るなんて暇人かなにかかな?まぁ適当にマッピングしながら人を避けていけばいいだろ」
「それが手っ取り早い、どうせ深層付近にゃ人はいねぇんだ」
「まぁそもそもこの時期は人少ないですからね」
年明け直後の今の時期は、みんな迷宮に入らずに地上でのイベントや休暇に入る人が大半だ。まぁそんな生活にすら入れずに、ひたすらに日銭を稼がなきゃいけない低レベルの探索者たちはその限りではないが、彼らにとっても競争相手が少ない今の時期は狙い目なのだ。まぁだからこそこんな不人気迷宮に来る人は珍しいのだが。
そして四人はそそくさとマッピングしながら迷宮をめぐり、魔物を辻斬りしながら階層を降りていく。
「にしても、強くなればなるほどだが、迷宮地図の使い勝手の悪さが鼻につくな」
「セーブして走ってなきゃいけませんからね。今の私たちなら疲れずにもっと早い速度で攻略できるのに」
「迷宮の大体のことがわかるだけで、細かいところはわからないし、強化できたらいいんだけど」
「それレベル最底辺のところで出たのだろ?一級品とはいえ流石に格違いのを出した弊害か」
速足以上自転車未満程度の速度でしかマッピングしてくれない一級品の迷宮地図に文句を言いだす四人。それもそうだろう、巷でいわれる一級品の性能とは明らかに劣っているからだ。その理由は考察通りで、割に合わないものを無理に迷宮が生み出した影響である。
「わかってはいてもな、てか鑑定で出てくる等級ってなんだよ。どうやって計っているのかいまだに謎なんだろ?」
「推察は多いですが、明確にはわかっていませんね。等級が高いものは高性能、高品質であることがわかっているので、その総合で決まっているといわれています」
「人間が作っているものでの最高品質は一級、特級は迷宮でしか見つかってない。道具や武具の強化はできるけど、等級を超えるものは限定的で、等級内でどれだけ性能をかさましできるかって話だから、根本的に格が違うのではないとか言われてるね」
「越えられないだけで競り合えないわけじゃないから、一概に高等級が絶対強いとは限らないらしいがな。まぁ使い手や使い方によるんだろうが、その分野では明らかに高性能って感じか」
いつものように雑談をしながら迷宮を走る。レベルが100を超えない魔物なんぞ、彼らにとっては道端の石ころと変わらないように瞬殺して中層へ入ってた。
「中層にも人がいるのかよ、まさか深層にも出てくるんじゃなかろうな」
「まぁ流石ないでしょう。ここの魔物のレベルは50前後です。擬態や不意打ち、罠が出てくることも考えれば、コスパ的にこれ以上下に行く人はほぼいないでしょう」
「まぁレベルが100以下なら小遣い稼ぎに、それ以上なら別のダンジョン行った方がマシだからな」
「低レベルのスキル持ちなら来るかもしれないけど、それでも魔物単品なら対処できるってだけだからね、罠ありきじゃ中層がいいところだよ」
なんと中層に3グループほどの人がいたのだ、とはいえっても移動や戦闘の気配を見ている限り、これ以上先には人はいないと断定し、無視して先に進む。
そして難なく深層にやってきた四人は
「下層にも人がいたが、さすがに深層にはいなかったな」
「ボス部屋の一つ前の階層は通常の魔物でも十分強いですからね」
「さて、さっそく呪い使ってみるか」
「何度やってもすごいですね。すさまじい勢いで魔物が増えてレベルが急上昇していますよ」
深層での確認とマッピングが終わった後に、呪いを開放した四人は周囲で増えまくる魔物たちを見て、意気揚々と殺到した魔物たちを蹴散らすのだった。




