END:エピローグ
あれから、数週間が過ぎた。朱野宮家の地下の社へ行ったメンバーは、取調べのため《PP》に拘束されていた。長い取調べは、夏休み終わりの日まで続いて、俺達が、解放されたのは、始業式当日の午前七時。遅刻した上に、寝る間もなく、始業式に挑んだ俺達は、全員、長い話の最中に寝てしまったことだろう。
始業式から解放された俺達は、教室へ行った。眠気が治まらず、非常に眠い。
「信也。あんた、死にそうよ」
咲耶のそんな声はほとんど耳に入っておらず、眠気に身を委ねた。はずだった。しかし、大きな声で、呼ばれたのだ。
「佳美弥くん、佳美弥くん、佳美弥く~ん!」
しかも、呼ばれたのは、旧名のほう。この声と呼び方。晴香先輩か。
「か~み~や~く~ん!」
「ヘブッ」
晴香先輩のダイブを喰らって、変な声が出てしまった。一体なんだというのだ。
「佳美弥くん!聞いて聞いて!」
「何ですか先輩。あと、俺は信也です」
一応、信也であると言うのだが、彼女は聞く耳を持たない。
「お兄ちゃんが一命を取り留めたって!ホント、佳美弥くんのおかげだよ!」
苑也は、助かったか。良かった。
「なあ、信也。佳美弥ってのは何だ?」
そう言ったのは、賢斗。まあ、そうなるだろう。周がこちらを睨んでいる。いろいろとまずいことになった。
「しずかにしてくださ~い」
姉さんが、このタイミングで、入ってきた。
「はい、皆さんに、一応報告があります。えっと、私は、自己紹介で、漣紀乃と名乗りましたが、実は嘘で~す。東雲紀乃って言います。これからは、そっちの名前でよろしくね~」
まさかのタイミングでの姉さんの告白。そして、姉さんは、こっちに視線を向けた。嫌な予感がする。
「というわけで、佳美弥ぁ~。アンタも、本名に登録書き換えといたからぁ~」
やはりか!
「ホントに騒ぎを大きくする天才ですね!ああ、もう、いいや。えっと、漣信也改め、東雲佳美弥です!よろしく!」
半ばやけくそで、自己紹介を終える。タイミングよくか悪くか、窓の外にいた、丙、加奈穂と目が合う。生徒会長とお嬢様もいるようだ。
「あっ、みやくん」
さて、いろいろと大変なことになった。だが、こんな大変な日々でも、ずっと続いて欲しい。だから、やっぱり、俺は戦い続けるのだろう。
Si Vis Pacem, Para Bellum。汝、平和を欲するなら、戦への備えをせよ。俺の戦いは続く。いつまでも。俺に居場所がある限り。守りたいものがある限り。
Si Vis Pacem, Para Bellum~平和の弾丸~完




