64話:武神―朱野宮家侵入
朱野宮侵入作戦と同時刻。《私立響乃学園》。
俺は、携帯に来た連絡メールを見て驚愕した。《焉》からのメールだと言う。場所は、朱野宮家。ならば、俺も行くべきか。俺は、部屋に戻り、準備をしていた。お嬢様達の身に何かあったのかもしれない。学園は丙に任せて急行しよう。
「佳美弥くん。わたしと琥珀も一緒に行くよ」
晴香先輩と琥珀が、俺の部屋までやって来た。この際、人数は多いほうがいいだろう。俺は、《緋王朱雀》を抱えながら、ついて来いと合図をして、朱野宮家を目指した。
朱野宮家までは、さほどかからなかった。しかし、正面門に来たのはいいが、セキュリティをどう抜けるかが問題だ。
「琥珀。どうにかなったりしないか。神の力とかで」
俺は、期待をしていないが、一応聞いてみた。
「神の力がそんな軽いものなわけあるか。無理じゃ」
予想通り。しかし、名の厳重なセキュリティを通り抜けるには、力押しじゃ難しい。琥珀単体なら何とか抜けられるかもしれないが、それでも、かもしれないというだけだ。絶対ではない。仕方ない。危険を承知で、門をぶち壊すか。そう思ったが、あることに思い至る。そしてセキュリティの諮問認証に指を置いてみる。網膜認証、声紋その他諸々。予想通りに通ってしまう。
「やっぱり開いた」
どうやら、前に登録されたデータがそのままになっていたようだ。
「俺についてきてくれ」
俺は、晴香先輩と琥珀に声を掛けて、朱野宮家に無事侵入を果たした。目指すは、家ではなく、倉庫。ここに、朱野宮家の保有する神に関する情報があるはずだ。
倉庫は、セキュリティシステムがなく、簡単に侵入できた。そこでいくつかの文献を読み漁っていると、とある地図がでてきた。現在の朱野宮家の屋敷の地図。しかし、地価に繋がる階段がいくつか書かれている。しかも隠し階段のようだ。その階段の一つは、この倉庫にもある。少し気になるので、その隠し階段のほうへ向かう。ただの壁にしか見えない。
「どうしたのじゃ、東雲」
俺は、壁に向かって、《緋王朱雀》を振る。簡単に切り崩れた壁の奥から、階段が現れる。
「何と?!」
琥珀は、驚く。それは、階段が現れたことだけじゃない。この奥から感じる気配。いや、感覚か。ある。《蒼王孔雀》が。琥珀もそれを感じたのだろう。
「降りるか」
――東雲佳美弥、佐野晴香、《緋王朱雀》、《琥珀白狐》。地下の社に侵入成功。




