59話:黒猫―黒猫と和解
俺は、寮で周に追いついた。かなり機嫌が悪そうだ。
「周、ちょっといいか」
そういって無理やり俺の部屋に連れ込んだ。
俺が、周をこの部屋に連れ込んだのは、昨日のことを説明するためである。そして、長いようで短い説明を終える。一日の行動を話したが、結局のところ、移動と寝ることだけだったからな。そうして、話してみて、周の反応は、厭きれたといった顔で俺の方を見ている。
「何だよ?」
「はぁ、貴方、どれだけ寝れば気が済むのよ。睡眠時間が一日を越えるなんて。それほど寝てなかったということ?」
寝てないかどうかと問われると、前日も、前々日もきちんと寝ている。
「十分な睡眠はとっていたな」
「病気か何かなんじゃないの?」
心配をされてしまった。確かにここまでくると、何かの病気ではないかと疑いたくもなる。だが、今はまったく眠気を感じていない。何かあるのだろうか。眠くなったときと言えば、全て、晴香先輩が一緒に居たときだ。しかし、猫とじゃれあっているときとかは、眠気がなかった。
「病気ではないと思うが、しかし、どうしてだろう」
周は、厭きれた顔で、「やれやれ」と呟きながら部屋を出て行った。ちなみに、その二時間後に、周から、寝すぎに関する資料が、メールで大量に送られてきた。素直じゃないやつだ。
俺は、周から送られてきた資料に目を通して、一息ついた。どの症状も、俺のものとは違って、参考にはならなかった。しかし、まあ、周には感謝している。心配もしてもらっているしな。




