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Si Vis Pacem, Para Bellum  作者: 黒桃姫
死の結晶編
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48話:戦い―《真海》と《信也》

 授業が終わり、俺が、一休みしていると、藍からの耳打ちが入る。

「もうじき、動く」

俺に驚愕が現れたのを悟ったのか、咲耶も、警戒態勢に入った。丙には、朝に、メールでこれまでの大まかな事情は説明してある。丙にも連絡を取ろうとした、そのとき、丙からの着信が入る。

『先輩、屋上に人影あり。教員と思わしき人物が、そちらへ照準を定めています。応戦許可を』

「了解。ただ、一般人に気づかれないようにな」

俺は、なるべく目立たぬように寮に戻った。朝から、姉さんの姿を見ていないが、あの姉のことだ。馬鹿と煙は高いところが好きというわけで、《業務塔》の屋上か。俺は走り出す。


《業務塔》とは、購買部を大きくしたものと思ってもらえればいいか。様々な企業が、業務として、物を売っている塔だから《業務塔》。この塔は、この学園の中で、一番高い。いるとしたらここだろう。まあ、馬鹿と煙云々は抜きにしても、様々な企業が関係しているこの塔は重要な場所だからという理由がある。


「見つけた」

「あら、簡単に、気づかれたみたい。何で分かったの?」

姉さんは、暢気に返す。俺は、仕事するときのように意識を切り替えた。

「何とかと煙は高いところが好きって言うだろ」

「へ~、左様でございますか」

だらしない声で呟いて、そして、意識を切り替えたようだ。

「《死の結晶》、《真海》参る」

「《PP》《幹部》クラス、《漣信也》参る」

俺は、言葉と同時に、刀から、鞘を外す。むき出しになる長い刀。銘を《緋王朱雀》。《蒼王孔雀》、《琥珀白狐》という二刀と合わせて、三刀一対の刀。

「行くぜ、相棒(緋王朱雀)。鮮やかな緋色、輝かせようじゃねえか!」

俺は、《緋王朱雀》を、横一線に放つ。そして、それを、もう一度切り返す。そして、それを、斜めに、縦に、様々な方向へと繰り返す。これは。藍那流、秘剱《桜》。この刀を振り回すには、周りにものがあると邪魔で仕方ない。それを、全て切り裂く。そのための《桜》。

「そこ」

姉さんは、的確に、俺の手元を狙ってくる。だが、俺は、柄の向きを変えることで、弾丸を防ぐ。そして、そこから、刀を高飛びの要領で、跳ぶ。すかさずベレッタをホルスターから抜く。そして、狙い撃つ。姉さんが、まず、俺の動きを読んで、弾を撃ち込んできた。それを見て、その弾丸の軌道を読み、弾丸に弾丸をぶつける形で二発。《銀狼》を追い詰めた技だ。そして、俺は、一発返ってきた弾を、刀で一閃。切り裂いた。二発の弾丸を、姉さんは、器用に避け、こちらに撃ってくる。俺は、刀を上手く回転させて弾を弾く。本来は、弾を全て、切り裂く技だが、俺は、習得して間もないため、難しい。だから、弾く。藍那流、秘剱《紅梅》。

「なかなかやるじゃない。か…」

姉さんが、俺の名前を呼ぼうとしたが、その前に、刀で攻撃をする。大きな一閃。天井と壁が切り裂かれ、深い傷が入る。姉さんの、スカートの一部は切り裂けたが、姉さん自身には当たっていない。藍那流、秘剱《橘》。さらに追撃。刀の向きを変えて、持ち方を逆さにする。今まで、右手を握った親指側に刀身が来ていたが、握り替えたので、小指側に刀身がある。そして、屈みながら、足でスピンをかけて、横に一閃。

「あっぶない!」

藍那流、秘剱《躑躅切り》。姉さんは、跳んでぎりぎりかわした。しかし、そのかわし方は、間違い。そこから左手に持ち替えて、上に突き上げる。

「くっ……!」

藍那流、秘剱《銀杏突き》。しかし、姉さんは、空中で、ぎりぎり、体に捻りを加え、避けた。そのせいで、服が破けただけで終わった。正確には、上の服から、ブラジャーごと切り裂いてしまっている。

「あらあら、顔を赤くしないなんて、女性に失礼よ」

「姉の体に欲情する弟はいないものでな!」

実は、少し興味があったが、そんなことを言っているときではないので自重する。そして、姉さんに、言う。

「さて、と。まだ続けるか」

そう言って、刀を突きつける。

「ええ、続けるわよ。もちろん」

今までのは準備体操とでも言いたげな顔で、うなずく。ならば、ここからは、本気でいく。

「きちんと、避けろよ!」

ベレッタで、様々な方向へ撃つ。跳弾で、相手を狙う技だ。十五発が、姉さんめがけて飛んでいく。姉さんは、脚を大きく蹴り上げる。風圧で、弾を、止めた。流石に驚きだ。そんなありえないまねをそうそうされてたまるか。俺は、そう思いながら、ベレッタをホルスターに収め、刀を振るう。それを、止められた。剣先を人差し指と中指で挟んでいる。まさか、白刃取り。

「なんつーバカ力だよ!」

俺は、格闘を交えて、刀の自由を取り返す。そして、そこから、反撃をする。

「藍那流、奥義《散椛(ちりもみじ)》」

鋭い声で、そう、告げる。

「奥義?」

姉さんの声に耳を傾けず、刀を小さく一閃。空気の波紋が広がる。剣圧や斬撃と呼ばれる類のものに近い。刀を振るう勢いで、空気を飛ばす。外見上は、少し刀が揺れただけ。しかし、実際は違う。

「かっ、はっ…」

姉さんが、空気の塊で、強く弾かれ、壁で背中を大きく打つ。

「これが、俺の力(藍那流)だ」

「お姉ちゃんの、負け、かな」

姉さんは、笑いながら、気を失った。


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