43話:紀乃
藍からのメールは、近々、姉さんが、任務で、この学園にやってくるというものだった。しかも潜入名は、「漣紀乃」らしい。これは、確実に俺を知っているということになる。どういう設定として入ってくるのかは分からないが、流れ的に《漣信也》の姉ということで入ってきそうだな。潜入は、臨時講師。あの人は、昔から、バカだけど頭の回転がいいし勉強は出来たから。無駄に器用だった。
そして翌日、朝のHRでクラスに明日から、臨時講師が来るということが判明した。おそらく、姉さんが来るのだろう。藍は一向に学校に姿を現さない。
「なあ、信也。臨時講師ってどんな人だと思う?」
「知らない」
俺は、なるべくこの話題は避けたいので、適当に受け流す。
「ねえ、信也。高野さん最近学校来てないけど何か知ってる?」
咲耶の質問に対しては、俺も何も知らないので、周に何か知っているか聞いたらどうだと提案をする。
そして、次の日。藍が登校していた。そして、臨時講師の登場だ。姿を現したとき、皆、息を呑んだ。美しい。大人の色香というやつだろうか。俺も姉弟じゃなかったら、同じ立場にあっただろう。息を呑まなかったのは、俺と藍だけ。女性ですら見蕩れ、男性は皆惚れる。そんな見た目だった。はっきり言って俺も驚いている。たかが数年で、これほどまでも女っぽくなっているとは。
「漣紀乃と言います。しばらくの間ですがよろしくお願いしますね」
そういった途端に、数人が俺のほうを見る。漣という苗字から、悟ったのだろう。そして、姉さんは、にやりと笑うと、猫なで声で、俺を呼ぶ。
「か、じゃなかった。信也ぁ~!ひっさっしぶりぃ~!」
「姉さん、そう叫ばなくても」
俺は、姉さんを宥める。そして、タイミングよくか悪くか、生徒会長と加奈穂が、生徒会の件で用と思われるが、入ってきてしまった。この時間なら、他のクラスのHRは終わっていてもおかしくはない。そして、加奈穂は、驚きで目を丸くしてから、姉さんに抱きつく。
「紀乃さん!お久しぶりです!」
「おやおや、加奈ちゃん。久しぶりぃ~」
加奈穂、お前って言う奴は。さて、この状況をどうまとめればいいだろうか。




