41話:手掛かり
俺は必死に思考を巡らせた。《銀狼》は、「《マミ》のアレ」という表現をしていた。アレというのが、弟という意味ならば、マミが姉の紀乃姉さんであるという説も信憑性が高くなる。すると、今までの、犯罪を行ってきたグループと姉さんは、仲間。そして、藍も仲間となる。考え事の最中に不意にメール。
『信也さん。お姉さんのことを知りたいなら、後で私の部屋に来てください』
簡潔な文章。俺は、即座に了解のメールを打つ。罠だろうか。だとしても、姉さんのことを知りたい。だから、俺は、行くことに決めた。返事が届いたのか、藍はにっこりと、いつものように笑い、俺の方へ向く。その笑顔に俺は、一瞬恐ろしいものを見た気がした。
「それじゃ、生徒会、今日の分は終わりよ」
生徒会長の宣言とともに生徒会が終わった。
俺は、一度部屋に帰ってから、四一○号室、高野藍の部屋へ向かった。
部屋では、藍が、ワインを飲んでいた。
「未成年の飲酒は犯罪だぞ」
「大丈夫よ。これは、ワインの贋物。単なる葡萄ジュース」
安心した。そんなことよりも、姉さんのことを聞かなくてはいけないのだった。
「それで、姉さんの話ってのは」
「信也さん、貴方、《死の結晶》に来ない?」
《死の結晶》、話の流れからすると、姉さんや藍の所属する組織なのだろう。どのような組織かは、わからない。しかし、犯罪組織なのは分かる。だから、答えは、一つに決まっている。
「嫌だ」
「うん、そう言うと思っていたわ」
藍は笑う。そして、ゆっくりと語りだす。
「私は、《死の結晶》を抜けようと思っているの。だから、私と協定を結ばない?私は、貴方のお姉さんを連れてくるわ。貴方は、私を助けて匿ってくれればいい。悪い話ではないでしょ」
抜けようと思っているというのが、罠の可能性がある。そうなれば、《PP》が敵に叩かれる可能性が高い。しかし、本当ならば、悪い話ではない。
「藍、お前は、何で抜けようと思っているんだ」
「私は、そうね、しいて言うなら、あまねちゃん達と触れ合ったからかな」
それは、分からないでもない。しかし、それだけではないのだろう。
「咲耶か?」
それは、おそらく確信をつく言葉だったはずだ。
「何でそのことを知っているのかしら」
「単なる勘だよ」
本当に勘だった。ただ、あの目が、咲耶を見るあの目だけが、他とは違う、そんな目だったから。
俺は、それ以上のことは聞かずに、ただ、「依頼として引き受ける」と言って、部屋を出た。




