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Si Vis Pacem, Para Bellum  作者: 黒桃姫
学園編
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26話:追憶《入隊》

 ワタシは、もともと、陸上自衛隊に所属していた。しかし、突如転属命令が出され、《PP》戦略武装軍隊に配属されることになった。しかも、時期が合わず、自分より一つしたの歳の世代との入隊となった。


 入隊と同時に、トカレフTT-33が配られた。ワタシは、貰い受けると同時に、慣らすために、感覚を掴む空砲撃ちをやり、馴染ませた。そして、自衛隊だった頃も、射撃訓練では、常に優秀だったワタシが、同期として入ってきた低レベルな人間達に負ける訳もなく成績トップ。これならば、ここの射撃の一位になれるのではないかと思った。


 しかし、結果として、ワタシは一位にはなれなかった。二位。結果だけ見れば良い成績だ。射撃テストは、計百発を的にきちんと当てられるか、的の急所をちゃんと狙えてるかの二つの点の合計で決まる。ワタシは、命中、百発中九十九発。急所的中率九十一パーセント。普通なら一位の成績。しかし、上には上がいる。一位、彼は、命中、百発中百発、急所的中率百パーセント。正確。一発のミスもない。ありえないと思った。しかも、去年入ったばかりの新人で、元々は一般人だったというではないか。絶対にありえない。ワタシのように軍にいたのなら分かる。しかし、一般人がたったの一年修行した程度で、あそこまでの的中率は無理に決まっている。ズルでもしているのではないだろうか。


 それは偶然だった。夜に、一位の彼が、どこかへ行こうとしているのを見た。これは、もしかして、賄賂でも渡している現場を見れるかもしれない。そう思って、後をつける。そして、ついて行くと彼の目的地についたようだ。場所は、射撃訓練所。何をするつもりなのだろうか。彼は、ヘッドホン(発砲音が聞こえないようにするために曲を流している)付け、目を守るゴーグルをつけた。まさか、こんな時間に訓練をする気なのだろうか。彼の手元には百発の銃弾が入ったケースが七箱。つまり、七百発。まさか、彼は、アレを全部撃つつもりなのだろうか。自衛隊だって、そのような過酷な訓練はしない。ましてや、夜、訓練を終えて、休憩するべき時間。つまりは、休憩なしということになる。彼は、ワタシ達、自衛隊以上の訓練を続けたことになる。彼が、一位を取れた理由が、なんとなく分かってしまった。だから、この訓練のことは、自分の心の奥に封じ、その場を離れた。ワタシは、彼のように、強くなりたいと誓う。


 それから数年後、彼は、《幹部》クラスとなり、部下をつけることになった。だから、ワタシは、彼の上官に掛け合い、ワタシを部下にしてもらった。

「小路丙です。最初に一つ言っておきたいことがあります。漣先輩。ワタシは、一生、あなたの後ろをついていきます。たとえどのような場所でも」


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