27話:来ない理由
一年六組所属小路丙。どうやら本当に、部下である丙がこの学園にいるらしい。俺は、咲耶、生徒会長を連れ、六組に向かった。
六組には、本当に丙がいた。丙は俺と目が合うなり、勢いよく立ち上がり、俺に向かって敬礼をしようとした。俺は、流石に目だってやばいと思い、こっそり合図。楽な姿勢で聞けという合図をした。
「何か用事ですか。漣先輩」
そういえば、だが。咲耶が俺のこの偽名を初めて知ったのは俺が入学手続きをしたときだが、丙は、部下になったときに漣信也と名乗っていたのだったと思い出した。もし、昔の名前でも呼ばれたら、いろいろとややこしくなりそうだったから、ちゃんと部下に報告しておくのは大事だなと感じた。それよりも部下が上司に報告しないのはどういうことなんだと問いただしたい。しかし、今は、人前なので騒ぎを起こすのは控えたいので止めておく。
「丙、ちょっと話があるんだが、いいか」
「はい、始業までまだ、十分と四十一秒あるので大丈夫です」
こいつは昔から時間に正確だ。さすが自衛隊にいただけある。いや、それは偏見だろうか。まあいい。
俺は、丙を連れ、近くの階段まで行って、ここで話をすることにした。
「それにしても、あんたまでここにいるとは」
咲耶の発言に対して、丙は、別段気にしない風に、澄ました顔で言い返す。
「姫野咲耶こそ何故ここに入ったの。理由もなしに」
「なっ?!」
このままでは喧嘩になりそうだな。《PP》時代もそうだったが、この二人はよく喧嘩をする。何故喧嘩をするのかはよく分からないが、とにかく喧嘩をするのだ。俺と咲耶の喧嘩よりはましな口喧嘩なのだが、まあ、話を速く進めたいので、とりあえず、会話に割り込む。
「とりあえず、だ。丙。何で生徒会に行かないんだ?」
「ワタシは、漣先輩が入ったら行くという条件で、彼女に了承をしました。ですが、先輩はいませんでしたので」
ん?つまりは俺のせいか?
「あ、そういえばそうだったような」
生徒会長は、今頃思い出したかのように舌を出して照れ笑いをした。




