25話:意外な真実
教室に着くと、生徒会長が俺の席の前に立っていた。前にもあった気がする。
「何ですか?」
「ん?ようやく来たみたいね。ちょっとお願いがあって」
お願い。いやな予感がするのだが。
「書記がぜんぜん参加してくれなくて。どうにか連れてきてくれないかな」
何故、俺にそんな役回りが。別段生徒会の人間と言うわけでもないのに。
「あんた、生徒会入り断ったんだから、そのくらいしてくれてもいいでしょ?」
別に関係ないと思うんだが。まあ、仕方ないか。
「それで、その書記って言うのは?」
「そうそう。名前教えてなかったっけ?あんたと同じくらいの成績で入学した娘なんだけど」
俺と同じくらいの点数と言うことは、きっと天才なのだろう。俺みたいなズルはせずに真っ当に試験を受けて受かったに違いない。
「名前は、小路丙」
「は?!」
「えっ?!」
俺と咲耶は、驚きのあまり声を上げていた。え。いや、ちょっと待て。おかしいだろ。あいつは幹部クラスじゃないから学校には来られないはず。
「ちょっと、信也。どう言うことよ。小路ってアンタの」
「いや、知らん。名前が同じだけなんじゃ」
そう、二人して、考えても結論は出ず、小声で、状況確認をしていた。
「何やってるの。というか。あなた達、小路さんと知り合いなの?」
「いや、どうだろう。同じ名前の奴は知っているんだが、同一人物かどうか」
そういったが、おそらく別人だろう。いや、別人であって欲しい。そういうわけで、生徒会長に見えないように、匡子先輩にメールで確認する。程なくして、携帯ではなく、スマートフォンのほうに着信が入った。
「あ、すみません。ちょっと電話が来たみたいなんで出てもいいですか?」
「まあ、いいけど。校舎内じゃあまり使わないでね」
そんな言葉を聞き流しながら、匡子先輩からの電話に出る。
「もしもし」
『あ、信也?メール、どう言うこと?確かに丙は、そっち行っているけど』
ん?待て、そっちに行っている?つまり、まさか、同一人物。
「ちょ、匡子先輩?それってマジですか?」
『当たり前でしょ!こっちは忙しいの。あの娘は、特別だから。入学許可も下りてるし大丈夫よ』
は?いや、そういうことではなく。
「いやいや、じゃ、何で俺に連絡なしなんですか?」
『あ、忘れてたかも。じゃ、こっち忙しいから』
電話が切れる。って、いや、ちょっと待て。
「ちょ、匡子先輩?!待っ!」
ありえない。おかしい。何で、丙がうちの学園に来ているんだよ。そのとき、俺は、昔、あいつが言った言葉を思い出した。
『漣先輩。ワタシは、一生、あなたの後ろをついていきます。たとえどのような場所でも』
この言葉は、丙が俺の部下になった時に、丙が最初に一つ言っておきたいことがあるといっていったのだ。まさか、こういう意味でのついて来るということだったのか。
「信也?」
咲耶が、どうだったんだと聞くような目を向けてきた。俺は、答える。
「丙、来てるって」




