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21話:秘密の部屋
ある部屋にて、中年の男は、携帯電話を片手に、何かを確認していた。
「ふむ、この女性が、かの、朱野宮の跡継ぎか」
その呟きには、本来、誰も返すはずがなかったのだが、ある声が返ってきた。
「ほう、これは」
いつの間にか、大学生くらいの見た目の女性が男の横に立っていた。特徴は、髪を後ろで結っていることくらいだろうか。
「《真海》か。どうした。これはお前の担当ではないだろう」
心底驚いたという顔で、男は女性に問う。女性は、あくまでにこやかに、答える。
「私は、朱野宮とかはどうでもいいの。気になるのは、こっち」
そういって、男のスマートフォンを勝手にいじり、朱野宮静刃を移した写真の二つ前。遠めで撮った写真。その朱野宮静刃の横のベンチには、少年が座っていた。《真海》と呼ばれた女性は、その少年を見て、微笑む。
「そうか、そういえば、そうだったな。しかし、《真海》。その少年が気になるのは、この《神道》も同じだ。あの少年が、アレからどれだけ成長したか、楽しみで仕方がない」
いかにも愉快という顔で男は、笑っていた。




