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Si Vis Pacem, Para Bellum  作者: 黒桃姫
学園編
20/73

18話:予定

 窃盗未遂事件から一夜明け、翌朝登校すると、何故だか教室がざわついている。何かイベントでもあっただろうか。

「おう、信也。お前は明日からのゴールデンウィークどうすんの?」

「ゴールデンウィーク?」

賢斗の言葉に思わず首を傾げてしまった。しかし、数刻して思い出す。確か五月の連休のことだった。ずっと《PP》に居たため、前にGWを経験したのが数年前だから忘れていた。連休ならどうせ、訓練に打ち込むだろう。

「帰省、かな」

賢斗の質問にそう答えるも、賢斗は意外そうな顔をした。

「あのな、信也。この学校は、基本的に、夏休みと冬休みと春休み以外は帰れないんだぞ。GWにも帰ることは出来ないんだよ」

そうだったかなと、入学当初に受けた説明を思い返すと、確かにそう言っていた。俺は《PP》の特権で、訓練に外に出たりしていたが、基本的に、申請しないと外には出られないし、申請が面倒だからと大半の生徒は学園から出ないのだった。

「じゃあ、部屋篭りだな」

篭って、銃のメンテとかだな。

「つまんねぇーな。もう少しなんかないのかよ」

「そんなこと言っても、実際、たかが数日で何するもないだろう」

俺は、そんなことをぼやきながら、隣の席に目をやった。すると、そこには、いつも通りのヘッドホンの少女がいた。いや、いつもと違うな。ヘッドホンが新しくなっている。それとも俺の知らない予備のヘッドホンだろうか。彼女が今まで持っていたのは、全部で三つ。いつもつけている青色のヘッドホンと俺に貸してくれる白と黒のヘッドホンとたまに使っている鳶色のヘッドホンだ。今つけているのは、全体的に白っぽく所々赤っぽいヘッドホンだ。珍しい。そんなどうでもいいことを考えながら、賢斗が熱く語っているGWの話を聞き流していた。


 授業も終わり、放課後になったので、俺は、寮に帰って休もうと考えていた。しかし、藍が呼び止める。

「信也さん。少し、お時間いいですか?」

「え?いいけど」

いったい何のようだろうか。俺に用があるとは思えないのだが。

「実はこんなものが手に入って。信也さんも来ないか誘ってみたんです」

そういって見せてくれたのは、年中無休の温水プールのチケットだった。

「あまねちゃんと姫野さんと境出さんが来るそうだから、信也さんはどの娘とも知り合いだからいいかなって」

咲耶も行くのか。しかし、女だらけの中に一人男というのも困る。さらに、プールは銃を常に持つことが難しい。格闘の得意な咲耶ならともかく俺なんかが言ったところで、何かあったときに困る。しかし、無理に断っても変に思われるかもしれない。そんな葛藤を知ってか知らずか、藍はのほほんと言う。

「別に来なくてもいいですけど、チケットが一枚余っちゃうんですよね。もったいないと思いませんか」

「なら賢斗でも誘えば言いと思うが」

「ダメですよ。大島君は何をするか分かりませんから」

納得してしまった。


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