第46話:皆に認められました
彼らが連れて行かれるのを見届けると、その場にへたり込む。
「マリー、大丈夫かい?結局マリーにばかり負担をかけてしまったね。すまなかった」
そう言うと、私を抱きかかえてくれたエドワード様。
「大丈夫ですわ。言いたい事も言えましたし、なんだか心がすっきりしました」
エドワード様の温もりが心地よくて、ギュッと抱き着いた。
「マリー、どうして他の男に抱き着くのだい?そうか、僕たちが異母兄妹だから、君は僕から逃げたのだね。でも、僕はそんな事は気にしないよ。面倒な公務もこれからしなくていいみたいだし、僕はシャラティア公爵の息子みたいだから、これからは公爵家でのんびり暮らそう」
なぜか訳の分からない事を言って、私の元にやって来たのはルイード殿下だ。
「殿下…とお呼びしてもいいのか分かりませんが、ご自分の置かれている状況を理解していらっしゃるのですか?王妃殿下がシャラティア公爵とそういう仲で、あなた様が生まれたという事は、2人は国家反逆罪で処罰されます。きっと極刑は免れないでしょう。もちろん、シャラティア公爵家は取り潰されるでしょう。さらに元侯爵家を無実の罪で潰した王妃殿下の実家、クディスル公爵家も潰されるでしょうし…そうなるとあなた様は、平民になるしか…」
「僕が平民だって。そんな…父上、僕は平民に何てなりたくありません。そもそも、僕には罪はないはずだ。そうだろう?」
「ルイード、落ち着け。とにかくお前の処遇は今後考えるから、部屋に戻っていなさい。それからマリー嬢、今まで散々辛い思いをさせてしまって、すまなかった。君にとってこの場所は、辛く悲しい場所だろう。ただ…エドワードは私の血を受けついだ唯一の子供だ。エドワードには近々王太子の座を与える予定だ。その…大変言いにくいのだが、エドワードをこれからも、この地で支えてくれるかい?」
「父上、何を言っているのですか?マリーは僕と…」
「お前は黙っていろ!そもそも、この国ではたとえ異母であっても、血のつながった兄妹は結婚できない。とにかく、早くルイードを部屋に連れて行け!」
「はい、かしこまりました!」
近くにいた護衛たちが、ルイード殿下を抱え、さっさと連れて行く。
「待って、僕はマリーと…」
まだ何か叫んでいたが、そっとしておいた。
「陛下、私はこの地に戻ると決めたあの日、共にエドワード様とこの場所で国を支えて行きたいと心に決めております。確かにこの場所は私にとって、いい思い出はありません。だからこそ、これからは楽しい思い出に塗り替えたいと考えております。エドワード様と一緒に」
「父上、僕はマリーを心から愛しています。マリーの心の傷が少しでも癒えるよう、全力でフォローしていくつもりです」
エドワード様が陛下にそう訴えると、今度は貴族たちの方を向き直った。そして
「今日お集りの貴族の皆様。私はずっと、王都を離れておりました。ですがいつか王都に戻る事を思いえがき、ずっと勉強を続けて参りました。それでも、まだまだ力不足なところもあるでしょう。こんな私ですが、どうか温かく見守って頂ければと考えております。そしてこれからは、マリーの母、マリオネット殿が望んだ、健全な王宮と貴族社会を作っていくために、どうか力を貸してください。お願いします」
エドワード様が皆に頭を下げた。私も一緒に頭を下げる。
「もちろんですよ、エドワード殿下。マリー嬢も帰って来てくれた事ですし、これからもっともっといい国を皆で作っていきましょう。ねえ、皆さん」
「「「「もちろんです。エドワード殿下とマリー嬢に、忠誠を誓います」」」」
そう言うと、全ての貴族が私たちに忠誠を誓うポーズをして見せてくれたのだ。
「エドワード、よかったわね。あなたが次の国王と認められたのよ」
近くにいた奥様も嬉しそうにエドワード様の肩に手を置いている。
「皆の者、私も皆に謝らなければいけない。王妃や公爵たちの悪事に気づかず、申し訳なかった。それからアンリ、エドワード、君たちにも辛い思いをさせてしまって、本当にすまなかった。これからはずっと一緒だ」
そう言うと陛下が、奥様とエドワード様、さらになぜか私まで抱きしめられた。奥様はずっと陛下の事を思い続けてきたのよね。だからこそ今回、大好きな陛下の元に戻れて本当によかったわ。
陛下も嬉しそうだ。3人の姿を見ていたら、なんだか私まで嬉しくなった。お母様が亡くなった時、私がしっかりとお母様の遺言を覚えていたら、もっと早く3人は幸せになっていたのかもしれない。
私もあれほどまでに辛い日々を送る事も、キャスが殺されることもなかっただろう。でも…過去を悔やんでも仕方がない。全てが無事終わったのだ。これからは未来を見ていきたい。エドワード様と一緒に。
次回最終話です。
よろしくお願いしますm(__)m




