第44話:言いたい事を言ってすっきりです
“マリオネットがアンリ妃に手紙を送っただと?”
“ええ、そうですわ。ただ…色々手違いがあって、私が手紙を受け取ったのは、マリオネット様が亡くなって9年後の事でしたわ。そう、つい最近です。マリーちゃんも、実際私に助けを求めてくることはありませんでしたから”
“そりゃそうでしょう。誰が好き好んで、王都を追われた哀れな王族に助けを求めるものか!マリーは王都で立派に育ったのだから。ただ…手違いがあって今は行方不明になってはいるが…きっと戻りたくても戻る事が出来ないのだろう”
そう言って父が笑っている。
「今までマリーちゃんにあんなにも酷い事をしたにもかかわらず、よくそんな事が言えるわね。あきれてものも言えないわ…」
携帯式モニターを手に移動している私達。父のあまりにも都合の良い発言に、義伯母様が怒っている。
“手違いがあって行方不明ねぇ~。マリーは自らの意思で平民になる事を選んだんだよ!”
今まで沈黙を保っていたエドワード様がそう叫んだ。ちょうど会議室についたので、ゆっくりとドアを開ける。すると
「エドワード殿下、何をおっしゃっているのですか?ずっと王都から離れていたあなた様が、マリーの何を知っているのですか?」
真っ赤な顔をして、父がエドワード様に向かって叫んでいる。
「あなたこそ、私の何を知っているというのですか?私を政治の道具としてしか見ていなかったあなたに!」
「マリー!!」
好き勝手言う父に向かって叫ぶ。すると、一斉に皆がこっちを振り向く。
「マリー、会いたかったよ。よかった、無事だったのだね」
今まで空気の様に座っていたルイード殿下が、私の元へと嬉しそうにやって来た。そして
「君がいなくなったせいで、公務が滞っているんだよ。まさか母上にまで、公務を押し付けられていただなんて。でももう大丈夫だよ、母上の仕事は自分でやってもらうから。君は僕だけの仕事をこなせばいいのだからね」
「何を訳の分からない事をおっしゃっているのですか?そもそも私はもう、あなた様の婚約者でも何でもないのです。そう言えば、カリアナ様にも逃げられた様ですね。ご自分の事はご自分でやってください」
そう笑顔で伝えてあげた。
「そんな事を言わないでくれ。僕はただ、寂しかっただけなんだ。母上の公務をしなくていい分、時間が出来るから僕との時間も取れるだろう。早速婚約を結び直そう」
この人は何を言っているのだろう。
「申し訳ございませんが、私はあなた様が大嫌いです。それに私は、エドワード様を愛しておりますので。どうか他を当ってください」
そう言うと、まっすぐエドワード様の方に向かい、ギュッと抱き着いた。エドワード様も私を抱きしめてくれる。
「ちょっと、あなた。ルイードになんて事を言うのよ!本当に憎らしい女ね。あの女にそっくりだわ。本当に見ているだけで虫唾が走る」
「王妃殿下の言う通りだ。マリー、なんて事を言うのだ。殿下と王妃様に土下座して謝れ!」
顔を真っ赤にして怒っている2人。本当にこいつら、どうしようもない人たちね。
「あら奇遇ですわね。私もあなた様を見ていると虫唾が走るほど嫌いですわ。性格が悪く人を虐める事を生きがいにしている様な性悪女、私は大嫌いですもの」
そう笑顔で伝えてあげた。
「何なの、あの女!シャラティア公爵!」
「マリー、貴様!」
私に殴りかかってくる公爵。とっさにエドワード様が私を庇うが、その前に伯父様が公爵の手を握って止めた。
「私の可愛い娘、マリーに何て事をしようとしているのですか?シャラティア公爵」
「私の娘だと?」
「そうです、昨日正式に、マリーは我が家の養女になりましたから。それからマリーは、ここにいるエドワード殿下と、近々正式に婚約する予定です」
そう笑顔で伝えた伯父様。
「そんな…マリーは僕の婚約者なのに…マリー、血迷ったのかい?そんな男と結婚しても、幸せにはなれないよ。だってその男は…」
真っ青な顔をして、フラフラとこちらにやってくるルイード殿下。
「私は血迷ってはいませんわ。エドワード様は私の初恋の人ですし、何よりも私の事をとても大切にしてくださいます。私は昔からエドワード様の事が、大好きでしたの。もしエドワード様と結婚したいなら平民になれ!と言われたとしても、私は喜んで平民になりますわ」
そう笑顔で伝えてあげた。
「それから、私とルイード様は異母兄妹ですから、結婚は出来ません。そうでしょう?王妃様、シャラティア公爵」




