第40話:明日に備え打ち合わせです
「今日はとりあえず君の母君の実家でもある、グラッセル侯爵家にお世話になる予定だ。そして明日、いよいよ王宮へと向かう予定になっている。長旅で疲れているところだが、今が正念場だ。マリー、悪いが協力してくれるかい?」
「もちろんですわ。体力だけは自信があるので、これくらい大丈夫ですわ。ただ、ジャミン様は…」
私の膝の上でスヤスヤ眠るジャミン様。定期的に運動をしていたとしても、きっとかなりのストレスを感じているはずだ。
「ジャミンはタフだから大丈夫だよ。それに君がいるお陰か、終始リラックスしていたし。それにしても、こんな身近にライバルがいただなんてな…」
そう言ってエドワード様が苦笑いをしている。まさかジャミン様に嫉妬していただなんて…
そんな話をしている間に、伯父様のお屋敷に馬車が入って行く。ジャミン様を抱きかかえ馬車から降りる。
すると
「皆様、よくいらっしゃいました。とにかく中へ」
義伯母様が出迎えてくれた。私の姿を見て涙ぐみながら、家の中へと誘導してくれた。
「マリーちゃん、元気そうでよかったわ。大変だったでしょう?アンリ妃、エドワード殿下も、よく王都にお戻りいただきました。既に多くの貴族たちが集まっております。お疲れのところ申し訳ございませんが、どうぞこちらへ」
一旦ジャミン様を一緒に付いて来てくれたメイド長に預け、エドワード様と奥様と一緒に、義伯母様に付いて行く。
「どうぞ、こちらです」
ゆっくりドアを開ける義伯母様。するとそこには
「おお、本当にエドワード殿下だ。それにアンリ妃もいらっしゃる。なんとりりしいお姿だ」
「エドワード殿下、アンリ妃、よくぞ戻られました」
そこにはたくさんの貴族たちが集まっていた。見た感じ伯爵以上の身分の高い貴族たちだ。
「お隣にいらっしゃるのは、間違いない。マリー嬢だ!本当に殿下といらしたのですね」
私の姿を見た貴族たちが、再び歓喜の声を上げだした。
「皆、落ち着いてくれ。嬉しいのは分かるが、私たちはこれから王妃殿下とルイード殿下、さらにこの国を牛耳っているクディスル公爵家とシャラティア公爵家に喧嘩を売るのだぞ。いいか、失敗したら私たちの命が危ない、危険な戦いだ。まさに今、革命を起こそうとしているのだ!!」
「そうだ、今まで散々酷い扱いを受けて来たのだ。今こそ私たちの手で、かつての貴族世界を取り戻す時。いいか、このまま頭の悪くて怠け者のルイード殿下が国王になってみろ。さらに王妃やクディスル公爵が大きな顔をして、私達には全く発言権が与えられなくなる。そうなったらまさに、地獄だ!」
「そうだそうだ、家なんてクディスル公爵の前を通っただけで、物凄い抗議が来て、慰謝料まで支払わされたのだぞ」
「家はルイード殿下のミスを指摘したら、鬼の様な苦情が来て、大臣を外された。そもそも、あんな初歩的なミスをしたうえ、文句を言うだなんて…」
「家の妻は、王妃殿下の機嫌を損ねたせいで、徹底的に虐められ、未だに社交界に出られていないんだ!」
次々と不満の声が上がる貴族たち。相当苦労をしている様だ。
「皆の話は分かった。皆もすでに分かっていると思うが、私は王妃とルイードを引きずりおろし、母の実家を無実の罪で潰したクディスル公爵家、さらにマリーの母を殺したシャラティア公爵を断罪したいと考えている。そして私が王太子に就任し、この国をより良いものにしたいと考えているのだ。皆も、協力してくれるかい?」
「皆様、父が本当に申し訳ございませんでした。王宮にいながら、今まで何もできずに逃げ出した私が言うのも何ですが、私は母が命を懸けて残してくれた最後の思いを、受け継ぎたいと考えております。どうか、私たちに力を貸してください」
私もエドワード様に続き、皆様に訴えかける。
「もちろんです!エドワード殿下が非常に優秀だという事は、既にグラッセル侯爵とマスティン侯爵から伺っております。それにマリー嬢、あなたがたった1人で王族を支えている事も知っておりました。王妃殿下から酷いいじめを受けていた事も…今まで何もできずに申し訳ございませんでした」
「やはりエドワード殿下の結婚相手は、マリー嬢しかいらっしゃらないな。侯爵からお2人の仲は聞いております。私共も、お2人の結婚は大賛成なのですが、そのためにやらなければいけない事があります」
やらなければいけない事?一体何かしら?
「マリー、君には我が家の養女になってもらおうと思っている。君は今、戸籍上は平民だ。さすがに平民では、王妃になるのは厳しいからね」
「伯父様の家の養女になるのですね。分かりましたわ。でも、そんな事をしても良いのでしょうか?」
「それは問題ない。現にアンリ妃も、母君の実家の養女になってから、陛下に嫁いだのだよ」
まあ、奥様もそうだったのね。
「分かりましたわ。よろしくお願いします」
「それじゃあ、早速この用紙にサインをしてくれるかい?」
渡された紙にサインをした。どうやらこの書類を提出すれば、すぐにでも伯父様の養女になれる様だ。
「これでマリーは私達の子供だ。よし、準備は整った。書類や映像なども、全てマリオネットが生前準備してくれていたから、後は明日を迎えるだけだ!皆、気を引き締めて行こう」




