兄様離れの学園生活
兄離れ一日目の授業は、みんな大好きクラス活動の時間だ。
今日はなんと!!自然にふれあおうということで、いつもは入ってはいけない学園裏の森で授業をするんだって!
「森での授業楽しみだな!!」
「うん。入ったことないから楽しみ。」
「スケッチブック持ってきてって言われたからきっとスケッチするんだよな?」
「そうだと思う。なに書くんだろう?」
「さあ?俺なんでもいいや。絵得意じゃないし、なに描いても一緒!!あーあ。せっかく森に行くなら狩りしたかったなあ」
そう言ってルカは唇をとがらせた。
裏門へ辿り着くとすでにほとんどの生徒が集まっていた。
「皆さん揃いましたね。本日の授業はこの森でこの紙に書かれている5つの花や虫などを見つけてスケッチしてもらいます。」
先生の大きな声が響く。
「はーい!」
一人一人にお題の紙が配られると、右上に
5つコンプリートするといいことがあるかもしれませんと先生の似顔絵付きで書いてある。
「いいことってなんだろう?」
「俺は宿題なしとかがいいなあ」
「僕はお菓子がいいな。」
コンプリート目指して頑張るぞ!
ルカとひそひそ話しているとクラスの誰かが手を挙げた。
「どうしましたか?トムくん」
「先生。名前だけじゃ、どの花か虫を書けばいいのかわかりません。」
その質問を聞いて紙に注目しなおすと
キンラン花。マルタケの実。カラアゲチョウなど知らない植物などばかり。
確かにこれじゃあ、みつけたのがちゃんと合ってるのかわからないや。
「いい質問ですね。実は今日は森に入るのは君たちだけではありません。みなさんこちらへ」
先生が僕達の後ろの方を見て呼びかけると、20人くらいの人がやってくる。
あ!高学部の人たちだ。
「今日は高等部のお姉さん、お兄さんと一緒に4人一つのグループでスケッチをしてもらいます。」
「ええ!!本当に!?」
「わー!!すごいすごい!」
「ではグループを発表します。呼ばれた学生は前にでてきてください」
クラスのみんなが盛り上がる中、僕は兄様の姿をみつけて焦っていた。
今まで高学部の人と授業なんてなかったのに……。
兄様離れを決意した途端にこんな最高な授業……ひどいよ!!
「フランやったじゃん。もしかしたらファラン様とグループなれるかもよ」
「あー。うん……。」
「なんだ?嬉しくないのか?」
「んー。そうじゃないんだけど…」
ルカには昼食の時に話すつもりだったから、まだ僕が兄様離れを始めたことをしらない。
もうここで軽く言ってしまおう。
もっと寄ってとルカに手招きすれば、ルカが首を傾げながら肩が触れ合いそうになる距離まで近づく。
ルカに「僕ね兄様離れすることにしたの」と耳打ちすれば
ルカは「はっ!?」と大きな声をあげて驚いた。
「ルカくん。静かにしましょうね」
「す、すみません」
先生に注意されたルカは「どういうことだよ?」と小声で尋ねてくる。
「兄様といつまでも一緒にいられないから、寂しくならないように訓練することにしたんだ」
「一緒にいられないってどーー」
「フラン・ディシスくん。ルカ・ランシェくん」
話の途中で先生ち僕たちの名前が呼ばれた。
「やった!俺たち一緒のグループじゃん」
「よかった!うれしい」
二人で一緒に前へでる。
僕達とペアになるのはどんなお兄さんお姉さんなんだろう?
ワクワクした気持ちで先生の次の言葉を待った。
「あなたたち二人はファラン・ディシスくんとリーデ・アンバーくんと一緒です」
にっ!兄様と同じ…ぐるーぷ……!?
どうして兄様離れをしようと頑張ってるのにこんなにポイポイ幸福がやってきてしまうのか。
今の僕には試練でしかないのに‥‥
ドキドキしながら兄様の姿を待っていると、先生に呼ばれてやってきたのは一人の男子生徒だけだった。
あれ?兄様は?
姿が見えない兄様を無意識に探していると急に声をかけられた。
「へぇ!君がファランの弟?」
「はっ…はい……」
僕たちのグループの人……。
茶色い髪を後ろに撫で付けいて、兄様には劣るけど顔は整っている。
ピアスやネックレスをつけていて、少しチャラそうな雰囲気だ。
えっと……。なんてお名前の人だっけ?さっき先生がお名前呼んでいたのに忘れちゃった。
「ふーん。ちっともにてないね」
「え」
今にてないっていわれた??
あれだよね。きっと僕と兄様のことだよね??
はじめましてなのに、なんてひどい人なの!?
似てないのは僕だってわかってるけど、あらためていわれるとちょっと傷つく
「お兄さんいきなり失礼ですね。」
地味に傷ついているとルカが僕を庇うように僕の前へでる。
ル……ルカ……。
「君なに?俺はファランの弟に話しかけてたんだけど?」
「僕は、ルカ・ランシェです。高等部のお兄さんがこんな失礼なことを言う人だなんてとっても残念です」
「はあ?こっちこそ、お前みたいなガキの面倒みるなんておことわりだよ。」
「面倒みなくて結構です。自分たちでなんとかします。」
わっ、どうしよう。これから授業始まるのに……すごく仲が悪くなっちゃった。
二人が険悪な雰囲気になっている最中、先生の声が響く。
「それでは1時間後にこちらへ戻ってきてください。怪我やはぐれたりしないように気をつけて行動してくださいね!それでは、スタート!!」
その言葉を合図にみんなが森へ散らばっていった。
はっ、始まっちゃった!!
「フラン。行こうぜ!」
「え、でも……」
ルカが僕の手をとり森の中へ進もうとする。
兄様もいないし、別行動しちゃってもいいのかな?
僕は引き止めるようにルカの手を引っ張った。
「やっぱりグループで行動した方が……」
「あんなやつ、植物の名前聞いたって教えてくれないさ。」
ルカはお兄さんをチラリと横目で見るとフンッと鼻をならす。
茶髪の人は僕たちのやりとりを見て「あーやってらんね。」と言い、僕たちとは違う方向へ言ってしまった。
「ほら、あっちだって俺たちと行動する気なんてないんだよ。それより早くいかないと、5つコンプリートするんだろ?」
「うっ、うん……」
ルカの手を握りしめて、僕たちは森の中へ進んで行った。




