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戦国Trilogy  作者: 白猫
40/49

第40話:藤吉郎の頼み


 しばらく続いた沈黙に耐えられなくなったのは

やはり俺のほうだった。

「んで、頼みってなんなんよ?」


「きいてもらえますか?」

明智はゆっくりとした口調で答えた。


「聞くのは聞くけど、やるかどうかは別だぞ

 まだ藤吉郎だって帰って来てないしよ

 なんかお前の頼みってのはやべーんだよ、雰囲気的に!」


「やべ??ですか・・・・」


「矢部じゃなくて、やべぇ~!だよ

 ってか、んなことはいいからお前の頼みってなんなんだ?」


しばらく黙り、意を決したように明智は答えた。

「某をここに置いてもらう・・・」

明智光秀が最後まで答えを言う前に

「いや、無理」

と俺は返答し ていた。


こんな怪しいヤツと一緒にいるのは無理だろう

何されるか分んねーし。


「あっ!?もしかしてお前そっち系か?」


「そっち系というのは?」


「いやだからぁ、俺の体が目当てとか」


「何を言っておりますか、そのようなことはございません」


「なら、いいんだけどよぉ~

 まぁ、どっちにしろお前を雇うことは100パーないから!」


「左様でございますか」


「おう、左様だよ」


「ではこれ見てはもらえませぬか」

そう言って明智光秀は手紙を俺に渡した。


「なんだよ、これ」


「藤吉郎殿からです」


「えっ!?藤吉郎?なんでお前が?」


明智は黙ったままである。


「チッ!まぁいいや」


俺 は手紙を広げ目を通した。


本当に昔の手紙は紙を折りたたんであるということに若干感心した。

現代ならこれ普通の封筒には入らねぇだろうな、そんな事を思った。


「ふむふむ、ふーん・・・・・

 ってこれ読めねぇ~よ!!これ日本語か?」

そこには文字というより落書きにしか見えないものが

記されてあった。


 当然現代人の俺には昔の人間が書いた手紙が読める訳もない

そもそも勉強をしてない俺は現代の手紙ですら読めるか

どうか不安なところだ。


「半田殿は読み書きは苦手ですかな」


悪気はないとは思うがこの言い方が俺をイラッとさせた。


「違げぇよ、読めるけど、これは読めないんだよ」


「はて?言ってる意味がよくわかりませんが」


「いいから、お前代わりに読んでくれよ

 んで読んで分りやすく説明を頼むわ!

 嘘はつくなよ!藤吉郎が帰ってきたら聞くぞ!」


「嘘などと・・・そのような事はいたしませぬぞ」


そして俺は、明智に手紙の内容を教えてもらった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

良へ

久しぶりだな、元気にしているか?

こっちも大変こともあるが思いのほか上手い事いっている。

本当は近況を詳しく話したいところだが色々とあってな

この手紙を明智殿から受け取ると思うんだが

きっとお前の事だから即断ると思う。

しかしどうか頼みを聞いてやって欲しい。

実は、お前が道三と義龍の争いに加担してると聞いてな

俺もお前の力になりたかったのだがどうしてもここを

離れる訳には行かない事情があり無理をいって明智殿に

頼んだんだ。

結果、明智殿は義龍軍から追われるはめになっている。

かといって今の俺には何も出来ないし、ここに来ると

更に大きな揉め事に発展しかねない。

お前なら何とかしてくれると思ってな。

よろしく頼む。

藤吉郎

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっぱあの時いたのお前かよぉ〜!

 なんでさっきまで黙ったままだったんだよ?」


コイツが何もなしに藤吉郎の頼みを聞いて

道三に加勢したとは到底思えなかったのだが

その部分を聞く事は何故だかできなかった。


「某が同じ話をして信じてもらえましたか?」


「いや、信じないね」


「と言う事です」


やはりコイツはなんかヤバい感じすんだよなぁ

でもなぁ、藤吉郎から頼みだしなぁ


「某の頼みは聞いてもらえますか?」


「ん〜どうすっかなぁ」

俺はしばらく考え込んだ。

頭の中では一休さんが考える時になるポクポクの音が響いていた

が中々ひらめかない。

明智は黙ったまま待っている。


「しゃあねぇ、しばらく考えるからよ

 取りあえず今日は泊まっていけよその後の事は

 その後考えるわ」


「そうですか、それでは今日はお世話になります」


本当は直ぐに追い返したい所だったんだが

藤吉郎の頼み、そして道三に協力していたと知れば

無下に追い返すのも気が引けてしまっていた。

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