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魔法チートのなれのはて  作者: ナベのフタ
ダンジョン編
30/37

第1話 迷宮都市

 迷宮都市プリン。その街には7つのダンジョンがあり魔法国家ウィザードでも有数の迷宮都市である。


 迷宮都市プリンに到着して二日で家を借りて拠点を作り、ダンジョンへ行くための準備をした。ダンジョンを探索するために必要なものは意外と多くて、日帰りだと思っていたが一度ダンジョンの探索をはじめると短くても一週間、長くてひと月は探索を行うらしい。

 そのため保存食や組立式のテント、ダンジョンによっては水が全くないところもあるので荷物はいくらでも嵩張る。


 俺にはアイテムポーチや【アイテムルーム】の魔法があるからいいが、他の冒険者たちはどうしているのだろう?


 そう不思議に思う俺にセノビアが答えてくれた。

 普通の冒険者がダンジョンに入る場合は必ず誰か一人を荷物持ちにするか、奴隷を購入してその役割をやらせるらしい。


「それでも大した量の荷物は持てないだろ?」

「ええ、ですから冒険者たちは『荷物持ち』に【軽減リュック】という重量を減らす魔道具を持っていきます」

「へー、【軽減リュック】ね~」


 いくら軽くなろうとリュックならあまり素材を持ち帰れないだろうな。俺の開発した【アイテムポーチ】に比べればしょぼい。


「それと帰りは道しるべが必要となる。ラウス様、地図と磁石だけは忘れぬようにしておけ」


 ダンジョンは【ゲート】と呼ばれる門を潜ることで転移され、階層ごとにさらに先へ進むゲートが存在している。帰りは来た道を全て戻る必要があるため奥へ進むほど長期の探索となるのだった。


 俺のダンジョンのイメージはひたすら岩でできた通路を進んでいくというものだったのだが、ダンジョン内は種類にもよるが大抵は地上と変わらぬ自然があったり島になっていたりするという。

一説ではどこかの大陸と繋がっているのではないかと研究者の間では議論されているが詳しいことは何も分かっていない。

ただダンジョンには必ず魔物や宝箱があり冒険者たちには欠かせない存在となっている。俺もお宝に関しては今から楽しみで仕方ない。

 

「それでご主人様はどのダンジョンに入られるのですか?」


 家で食事をしているとシャラが問いかけてきた。

 この迷宮としには7つのダンジョンゲートがあり、それぞれ特徴や難易度が違う。

 ギルドや本屋でダンジョンのガイドブックが売っており、俺はそれを読みながらどこにするか考える。


「今ある7つのダンジョンの内3つは攻略済みか…。元経験者のセノビアさん、意見よろしく!」


 セノビアは昔奴隷として何度かダンジョン探索の荷物持ちをした経験があるらしい。あまりいい思い出はないだろうけど体験談は重要なので聞いておきたい。


「攻略済みは最下層まで突破されていて地図や攻略書もあり、未攻略のダンジョンよりは安全だ。だがその分貴重なお宝は既に冒険者に見つけられている。

 長く安定した稼ぎを求めるのなら攻略済みのダンジョンがおすすめだな」

「え~、超レアな武器とかもう残ってないのか?」

「ダンジョンの宝箱はランダムで出現するからな。新たに出現した宝箱にレアアイテムがないとも言えないが見つかる可能性は低いだろうな…」


そっか~、宝箱ってポンポン見つかるものじゃないのか。

 今攻略済みの3つのダンジョンの階層は、12層、24層、27層。何百層もあるのかと思えば意外と少ないな。


「俺はすっげぇお宝を見つけたい。だから未攻略のダンジョンにしようと思うんだけど二人はどう思う?」

「私はご主人様に従います」

「私もだ。ラウス様の実力ならばそうそう危険もないだろう」


 二人も異論はないようだ。

 未攻略ダンジョンにすることを決めたので次は場所選びだ。

 残りの未攻略のダンジョンは4つ。


 ・山々がそびえ立ち、ワイバーンや鳥類系の魔物が多く生息する『ギャラクシー』。

 ・火山帯があり、過酷な灼熱の大地には熱に強い火属性の魔物が生息している『グレン』。

 ・光の届かない大きな洞窟。音を発しないガーゴイルや蜘蛛の魔物が生息する『サイレント』。

 ・ダンジョン内でだけ存在することのできる不思議なクリスタルがあり、川が流れ水中で暮らす魔物の宝庫『ブルーホール』。


 以上の4つが未攻略のダンジョンだ。

 攻略済みのダンジョンに比べると一癖も二癖もある。


「『グレン』と『サイレント』は嫌だな。気が滅入りそうだ」

「そうですね。『ギャラクシー』なら私の弓がお役に立つと思います」

「私は『ブルーホール』の方がいいと思うわ」


 ここでシャラとセノビアの意見が分かれる。


「どうしてセノビアは『ブルーホール』の方がいいと思うんだ?」

「水場が多いからよ。飲み水には困らない上、水浴びができるのよ。何日も体を洗えないで探索なんて嫌でしょう?」


 確かに魔法で水を出すのも魔力を消費するからな。ダンジョン内ではなるべく魔力は温存したほうがいいだろうし、水に困らないというのは助かるな。

 問題は魔物だな。

 川の中で生息している魔物をどう相手すればいいのか分からない。


「水中の魔物ってどうやって倒すんだ?」

「水中にいる魔物は基本無視ね。陸に出てきたところを狙うか餌でおびき寄せるか」

「面倒だな」


 大丈夫かな? 俺泳げないんだけど。


「ラウス様『ブルーホール』にするなら滑り止めのついた靴を買っておいた方がいいわよ」


 そのあとも考えた末、行き先は『ブルーホール』に決めた。やはり経験者であるセノビアの意見を重視した。

 ダンジョンを『ブルーホール』に決めたのでセノビアに必要なものを聞いて街で買い揃える。買い物を終えたあとはギルドで魔物の買取り部位や詳しい情報を聞いてから家に帰った。

 その日はダンジョンに備えて十分な休息をとる。

 俺は遠足前の子供のように明日が楽しみで中々寝付けずにいた。


 そして待望の朝。


「よっしゃー! ダンジョンだー!!」

「ふふ、ご主人様ったら子供みたい」

「そんなに楽しい場所でもないと思うけどね」


 エルフとダークエルフが俺を微笑ましく見ている。

 いいじゃないか。精神はともかく見た目はピチピチの十歳よ!

 夢と希望で溢れているんだから!


 装備や持ち物は万全だ。

 『ブルーホール』へとつながるゲートを通るためにギルドで手続きをする。各ゲートにはギルド支部が配置されており、ゲートの保護や情報を扱っている。

 ゲートを通るためには毎回銀貨2枚と安くない税を収めなければならない。ダンジョンで魔石や魔物の素材をとってくればそれ以上の稼ぎにはなるので今のところ文句を言う人はいない。


 ちなみに今の俺たちの状態をステータスにするとこんな感じ。


===================================

 ラウス = バル(偽名) 人間 男  10歳 

職業:冒険者 ランクE

 スキル:全魔法

 装備:ミスリルの剣、戦闘用アーム(両腕)、アイテムポーチ、革の防具、滑り止め付きの靴。

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 シャラ = キャサリン(偽名) エルフ 女  13歳 

職業:冒険者 ランクE

 スキル:弓術、風魔法、火魔法、水魔法

 装備:弓、短剣、戦闘用アーム(左腕)、アイテムポーチ、革の防具、滑り止め付きの靴。

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 セノビア = セノア(偽名) ダークエルフ 女  250歳 

職業:冒険者 ランクE

 スキル:剣術、弓術、闇魔法

 装備:レイピア、戦闘用アーム(両腕)、戦闘用レッグ(両足)、アイテムポーチ、認識阻害のローブ、認識阻害の仮面、ビキニ防具、滑り止め付きの靴。

===================================


 パーティー名は新しく『弓と鞄』にした。

 弓はエルフの象徴として、全員がアイテムポーチを装備しているという贅沢なパーティーである。魔物よりも盗賊に気をつけたほうがいいかもしれない。


 











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