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魔法チートのなれのはて  作者: ナベのフタ
義手と奴隷編
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第5話 治療は高額です

 メルスの話を聞いてみると家族の一人が幼い頃に両目を事故で失ってしまったそうだ。街で俺の噂を聞いてもしかしたら俺なら…と、この屋敷に招待したとのこと。


 ほとんど強制連行でしたけどね。


「両目の治療ですか?」

「ああ、そこのエルフの少女と同じように治してもらいたい」

「いいですけど…高いですよ?」


 報酬さえ支払ってもらえれば俺としてはその治療を引き受けることは問題ない。どうせもう噂になってしまっている以上俺が目立つのは避けられないからな。それなら高額な医療費を請求してあまり簡単に人がやって来ないようにしないと。


「はは。聞くのが怖いけどいくら支払えばいいのか教えてもらえるかい?」


 メルスは爽やかスマイルをしているが額に汗を浮かばせている。

 こいつ意外と分かり易いな。


「そうですね~…金貨千五百枚頂きましょうか!」


 チャリーンッ!

 おっ! モグリの名医モードに入りました!


「「なっ!!」」


 おー、二人共驚いているな。でもそんなに驚く金額か?

 金貨千五百枚って一億五千万円ぐらいだろ。貴族の伯爵なら余裕で持っているんじゃないのか?


「貴様ふざけているのか! そんな金額を魔術師ごときに払う必要があると!?」


 騎士様ごっ立腹です。

 魔術師ごときって私は医者だ!


「いや…ラウス君の求める報酬は正当なものだよ。失った目を治すなんて神の奇跡とも言える魔法だ。ただその金額になると私個人で支払える金額ではない」


 えっ、そうなの? 伯爵さん金ないの?


「父を説得する時間が欲しい。すまないがその間この屋敷で待ってもらえないか?」

「いいですけど…」


 あー、なんか大事になりそうで嫌だな。ミスった。何故かブラックJ先生モードが発動してしまってつい金額をふっかけてしまった。

 今更面倒だからやっぱ安くしますとも言えないからな~。


「ラウス君、必ずお金は用意する。だから治療の件は頼む」

「メルス様っ!」


 メルスが俺に頭を下げる。騎士はやめさせようとするがメルスを見て自分も頭を下げた。メルスは貴族だけどいいやつだな。

 

「どうか妹の目を治してやってくれ」


 …今なんと?


「妹? ですか?」

「あ、ああ。診てもらいたいというのは僕の妹のレイン・サルタビコだ。今年で11歳になる」


 なっ、なんだってー!

 お兄さんそれを早く言いなさいな! なんだそうなのか…それじゃあ妹割りが使えるよ。


「それなら金貨五百枚で結構です」

「「…ええっっ!!?」」


 大幅な値下げにめっさ驚くメルスと騎士。


「どうしてだい? こちらとしては嬉しい話ではあるがお金は時間がかかるかもしれないけどちゃんと用意するよ?」

「いえ、当店では『妹割り』というものがございますので問題ありません。治療に関しても手を抜いたりはしませんのでご安心を」

「当店? 妹割り?」

「み、店なのか?」


 メルスも騎士を頭の上に?が出ている。

 これで妹がエルフで家が貧しいのならさらに『妹エルフ割り』が使えて無料になるところだったけど惜しかったね☆


「その代わりにできればお願いをひとつ聞いてもらいたいのですけど」

「何かな?」

「冒険者ギルドでギルドカードを作りたいんですけど年齢制限に引っかかってしまって後二年ほど待つ必要があるんです。

 それをなんとかできませんかね?」

「ああ、それなら問題はないだろう。金貨千枚に比べれば遥かに容易いことだ。僕からギルドマスターに一筆書いておくよ」

「助かります」


 よっしゃー! 冒険者になれる!

 もうただで治療してもいい気分だ! 思わぬところでコネができたぜ!


 メルスは金貨五百枚ならすぐに用意できたので俺は早速患者である妹さんのところへ案内される。先にメルスが妹さんに治療の説明を行うため俺は部屋の外で待機。


「貴方がお医者様ですか?」

「どうも…モグリの、いえ、治癒魔術師のラウスと申します」


 メルスの妹レインとご対面。

 レインはメルスに似ていて金髪おしとやかで美少女といった感じだ。

 この世界では医者というのは薬師や治癒魔術師のことを言うので俺もそう名乗ることにした。


「私の目は本当に治るのでしょうか?」

「ええ、勿論ですよ」


 不安そうな声でレインが聞いてくる。手術に絶対はないけど俺には自身があるし、何より失敗すれば首が飛ぶ。

 どうせ絶対失敗できないのだからレインを安心させてやるほうがいい。


「それじゃあメルスさん。僕とレイン様…にシャラ以外の人は全員部屋の外に出てもらえますか? 今から手術を行いますので」

「手術?」

「ああ、治療のことですよ」

「…分かった。妹を頼む」

「はい」


 メルスは使用人達に部屋を出るようにと指示する。あの騎士は不満そうだったが渋々と部屋を出ていった。


「よしっ、じゃあ始めるか【ホーリー】!」


 部屋の中に光が満ちる。魔法で簡単な除菌をする。

 シャラには特にしてもらうこともないので部屋の扉が開けられないよう頼んでおく。


「あ、あの…」

「大丈夫だよ。痛みはない。今から眠くなる魔法をかける。目を覚ました頃には昔のように目が見えるようになっているから」

「…はい、お願いしますね。治癒魔術師様」


 不安を隠そうと微笑むレインの頭に手を乗せて魔法をかける。

 レインが眠ったことを確認して手術をはじめる。

 義眼のストックというものはないので一から作る必要があるが、魔法で形状を操作できるので時間はそうかからない。

 

 手術中に眼球を取り出すというグロイシーンでシャラが平気か心配で目を向ける。シャラは問題なく俺を見つめていてやや頬を赤くしていた。

 頬が赤いのは血を見ると興奮するとかではなくて俺の手術姿が格好良いからだろうけど、あんなに見つめられると照れるな。



 2時間後。レインの手術は完了した。

 メルスたちはとても喜んでいたがまだレインが目を覚ますまでは安心できない。


それから数時間後にレインが目を覚ますと屋敷で歓喜の声が聞こえた。無事に全てがうまくいったことを知りようやく気が休まる。


「ありがとうラウス君! 君にはいくら感謝してもしきれないよ!」

「ありがとうございます! ラウス様!」


 兄妹に礼を言われてまんざらでもない俺。

 でも今はそれよりももう一つの報酬が気になるので念のため確認しておく。


「ああ、大丈夫。そのことならちゃんと話を通しておくから。それよりも今夜は食事をご馳走させてくれ。妹も君にとても感謝しているからね。それに君と話もしてみたいからね」


 イケメン大興奮。

 まあ俺も貴族の豪華な食事を食べられるのなら文句はないので了承する。

 屋敷にも泊めてもらいメルスは数日後に帰ってくる父親とも会って欲しいと頼んできたがそれはやんわりと断っておいた。

 一応この件に関してはあまり話を広めないで欲しいと頼んだが実際にレインの両目が治った以上隠し通すのは無理だろう。


 俺の平穏があまり崩れないといいのだが…。



 翌日。ギルドに向かうと無事に冒険者登録ができた。

 その日はあの受付嬢じゃなくて驚かせられなかったのが残念だがこれで冒険者として依頼を受けられる。早速シャラとパーティーを組み、パーティー名はメルスの感想が気に入ったので『宝石の腕』にして依頼を受けることにした。


 俺の目標はとりあえずEランクまで上げてダンジョンに潜ることだ。

 ダンジョンのお宝でレアな武器とか手に入るかと思うと今から楽しみで仕方ない。


「そうだ臨時収入も入ったし新しい奴隷を買いに行くか?」


 そのことをシャラに相談してみると反対はされなかったが女性を買うのかと聞かれたときは胸を締め付けられるようだった。その後は「私頑張りますから捨てないでください!」と泣きながら頭を下げてきたのでシャラを抱きしめて優しい言葉をかけてやる。

 なにこれ? 重い…。


 シャラは意外と精神不安定というかこれまでの境遇から仕方ないのかもしれないが俺は奴隷をもう一人は増やしたかった。これから冒険者ランクを上げるのにパーティーを組んで一緒に依頼を受けた方が効率はいい。

 それに護衛に優秀な奴隷がいる方が安心できる。


 この世界には盗賊や魔物、罠に毒、俺の知らない危険が山ほどある。できれば買うのはそういうことに詳しい元冒険者や傭兵何かがいい。

 優秀な護衛がいればそれだけ俺の魔力節約にもなる。


 奴隷は戦闘用に強化させたいので次は男性を買うということでシャラを納得させた。女性の奴隷を増やす場合は相当シャラとの信頼関係を気づいておかないと大変だな。

 













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